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「小1の壁」の乗り越え方。後悔しないためにできる5つの対策とは

LIMO / 2022年4月10日 14時50分

「小1の壁」の乗り越え方。後悔しないためにできる5つの対策とは

「小1の壁」の乗り越え方。後悔しないためにできる5つの対策とは

週末や来週のはじめに入学式を迎えられる方も多いのではないでしょうか。

お子さんの入学で嬉しい一方、小1の壁に悩む女性も多いでしょう。仕事と子育ての両立が難しくなる「小1の壁」によって、キャリアを中断してしまう女性は少なくありません。

あとから「仕事を続けていればよかった」と後悔しないためにも、「小1の壁」を乗り越えるための対策を5つご紹介します。

「小1の壁」とは

共働き世帯やひとり親世帯などで、小学校入学を期に、仕事との両立が難しくなることを「小1の壁」と言います。

保育園時代よりも子どもを預けておける時間が短くなること、保護者の負担が増えることなどが主な原因です。

保育園時代は早朝保育や夜間の延長保育を利用することで、長時間の仕事に対応することができました。しかし小学校にあがると、登校時間が親の出社時間よりも遅くなる場合が多くあり、そのときの対応策がありません。

また、下校時間も早いので、学童保育を利用できたとしても最長で18時までなど、お迎えが間に合わない人が多く出てくることが考えられます。

さらに、企業側の問題もあります。時短勤務などの制度を利用できるのが「小学校入学まで」としている企業は少なくありません。

他にも、保育園時代は「食事や間食、遊び、学習」など生活全般を委ねられたのに対して、小学生になると、その年齢に応じた自立が促され、それを最初は親がサポートすることを求められるため、保護者の負担が増えます。

こうした「小1の壁」によって、キャリアを諦めたり、仕事を辞めたりするなどの問題が生じています。

「小1の壁」エピソード3つ

実際に「小1の壁」を経験した人たちの声を集めてみました。

<ケース1>

小学校入学を期に正社員での就業を考えていたが、学童は18時まで、朝の旗振り当番は8時まで、下校時の見守り当番は15~17時で、正社員の就業時間と合わず難しい。入社できたとしてもすぐに時短は取りづらい。

また、小学1年生のうちは登校渋りや一人での登下校、留守番などに不安があり、さらに宿題を見たり、持ち物の準備などの負担も大きく、就職活動を延期した。

<ケース2>

朝の旗振り当番と下校時の見守り当番は、子連れでは危ないとの理由で避けるように言われている。しかし、夫は早朝出勤、実家は遠方のため頼れない。

周囲で協力し合うように言われているが、引っ越ししたばかりで知り合いもいない。下の子どもは2歳と生後1ヵ月。結局相談して、車を近くに止めて待たせたり、抱っこやベビーカーでしのいだ。

<ケース3>

出産を期に仕事を辞め、しばらく専業主婦でいたが、子どもが小学校にあがることでパートの仕事を探した。

学童は基本17時まででそこからは延長料金がかかる。パートの時給を考えると延長は利用できない。17時までに迎えに行くには16時で終わる仕事を探さなくてはならず、なかなか見つからない。

また、学童はフルタイム勤務の人を優先するため、利用できるか不安があった。結局、パートの仕事は見つかり、学童も利用できたが、夏休み中のお弁当持参や子どもが行きたがらなくなったことで、1年経たずに辞めてしまった。

国の取り組み「新・放課後子ども総合プラン」

「小1の壁」問題を解決するために、国は「新・放課後子ども総合プラン」を実施しています。

厚生労働省所管の「放課後児童健全育成事業(学童クラブ)」と文部科学省所管の「放課後子供教室」をあわせて、「新・放課後子ども総合プラン」として、総合的な放課後対策事業を行っています。

これによって、学童保育(学童クラブ)に入れなかった待機児童問題が、受け皿が拡大したことによって解消しつつあります。

「学童クラブ」は保護者が労働等により昼間家庭にいない、小学校に就学している児童が対象ですが、「放課後子供教室」は地域の子ども全般が対象となっています。そのため、共働き家庭のみならず、すべての家庭の放課後対策として機能する点は、子どもを持つ親としては助かる制度です。

ただ、施設が足りない、近くにないなど利用できないケースも多く、まだまだ取り組み途中といった印象です。

「小1の壁」を乗り越えるための5つの対策

学童保育は「小1の壁」を乗り越えるための一番の助けとなるものですが、開所時間や保護者の負担増などの問題は引き続き残ります。また、もう一つの強力な助けとなる「実家(祖父母)に頼る」という方法も使えないご家庭は多いでしょう。

そこで、学童保育だけでは乗り越えられない、実家にも頼れない場合の、5つの対策をお伝えします。

1.働き方を見直す

フレックスタイムや時短勤務を利用できないか、上司に相談をしてみましょう。また、小学生以上のお子さんを持つ職場の仲間がいたら、どのように乗り越えたのかアドバイスをもらうといいでしょう。

とにかく今の仕事を続けることを第一優先にして、その中でできる工夫をしていきましょう。仕事の種類によってはリモートで対応できるかもしれません。

夫婦共働きの場合は、どちらか一方だけが働き方を調整すると後々争いの種になるかもしれません。家計を支えている割合から、一方だけ働き方を変えることが良策であったとしても、夫婦が協力して問題を解決する姿勢は持ちましょう。

どうしても今の仕事と両立できない場合は、パートや転職を考えてみてもよいでしょう。ただし、後々後悔しないように、すべての対策を検討してから決断してほしいと思います。

2.ファミリー・サポート・センターを利用する

ファミリー・サポート・センターとは、子供の送迎や預かりなど、子育ての「援助を受けたい人」と「援助を行いたい人」が、地域で相互援助を行う仕組みです。センターは自治体から委託を受けた法人が運営しています。

料金は自治体によって異なり、また時間帯や内容によっても違いがありますが、1時間の利用で700~900円程度が多いようです。学童保育のお迎えや習い事の送迎、急用時に子どもを預かるなど、ちょっと手を借りたいという時に便利です。

3.民間の学童を利用する

時々、学童のお迎えに間に合わないという場合は、前出のファミリー・サポートを利用できますが、毎回という場合は、遅い時間まで預けることができる民間の学童保育を利用するとよいでしょう。

学校と自宅の送迎サービスが付いている場合もあるので、送迎の負担が軽減できます。また、習い事の代わりとなる学習プログラムが用意されている学童もあります。「習い事をさせたいけど、送迎ができないために断念している」という家庭にとっては利用する価値があります。

公立の学童と比べると料金は高くなりますが、習い事の費用を含めて考えるとリーズナブルという考え方もできるので、検討してみるとよいでしょう。

4.親同士の繋がりを持つ

同じ小学校に通う子どもの親同士で繋がりを持つことは「小1の壁」を乗り越えるために有効です。情報を共有することで、スムーズに準備が進んだり、悩むことが減ったりします。また、お互いに助け合う関係を築いておけば、急用ができた時に預かってもらえるかもしれません。

お互い負担にならない程度の関係を意識して、ママ友、パパ友を作っておけば、気持ちも楽になるでしょう。

5.子どもとのコミュニケーションを大切にする

小学校1年生はまだまだ親の助けが必要な時期です。しかし、保育園時代のように子どもの様子を事細かに報告されることはありません。そのため、子どもの様子を知るためには、子どもとコミュニケーションをとって知るしかありません。

「学校での様子、お友達のこと、勉強のこと、困っていること」などを聞き出しましょう。仕事で遅く帰ってきたとしても、子どもとの会話は疎かにしないようにしましょう。そうすることで、子どもの情緒が安定し、その結果として親の負担も少なくなります。

後悔しない選択をするために

「小1の壁」によって、正社員の仕事を辞めて、パートに切り替えた女性はこれまでにたくさんいたと思います。

女性の働き方による生涯所得を見てみると、正社員として続けた場合は(途中で育休や時短勤務をした場合でも)、2億円を超えるのに対し、正社員を辞めて、パートタイマーで勤務すると半分以下になるという調査結果(※)があります。
※ニッセイ基礎研究所「大学卒女性の働き方別生涯所得の推計」より

一方で、子ども一人当たりの教育費の総額は1000万円~2000万円かかると言われています。

「あの時、仕事を辞めなければよかった」とあとから後悔しないためにも、「小1の壁」を乗り越えるための対策を参考にしながら、利用できる制度はトコトン利用して、仕事との両立を目指してほしいと思います。

参考資料

「新・放課後子ども総合プラン」について 東京都福祉保健局(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/hoiku/gakudou_jidoukan/kodomo_plan.html)

新・放課後子ども総合プラン - 学校と地域でつくる学びの未来(https://manabi-mirai.mext.go.jp/torikumi/hourei-plan/plan/shin-houkago.html)

ファミリー・サポート・センター事業 東京都福祉保健局(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/famisapo.html)

大学卒女性の働き方別生涯所得の推計 ニッセイ基礎研究所(https://www.nli-research.co.jp/files/topics/54356_ext_18_0.pdf?site=nli)

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