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【小4の壁】最大の敵は算数?算数嫌いにならない秘訣3選。年収に影響する可能性も

LIMO / 2022年4月10日 17時50分

【小4の壁】最大の敵は算数?算数嫌いにならない秘訣3選。年収に影響する可能性も

【小4の壁】最大の敵は算数?算数嫌いにならない秘訣3選。年収に影響する可能性も

小学生の子どもがいると耳にする言葉が「小4の壁」「10歳の壁」。小学4年生頃から学習内容が難しくなり、学力差が出てくるというものです。

とくに算数に関しては苦手意識を持つ子が増えたり、好き嫌いがハッキリしたりしてくるとされます。

文部科学省が行った令和3年度の「全国学力・学習状況調査」から小学6年生の児童質問に「算数の勉強は好きか」という設問では「当てはまる」が40.6%、「やや当てはまる」が27.2%でした。

67.8%の児童が算数を「やや好き」以上であることが分かりました。この数値をみると算数嫌いな子は意外と少ないです。

「算数好き」の子は思った以上にいるが

同じ児童質問で「国語の勉強は好きか」という質問に対し、「当てはまる」と答えた児童は22.9%、「やや当てはまる」が35.7%という結果になりました。「国語の勉強はやや好き以上」という児童は58.6%で、算数よりも10%近く低い数値です。

しかし、「授業の内容はよく分かりますか」では国語では「当てはまる」「やや当てはまる」を合わせると84.3%になりました。一方、算数は84.6%。

このことを踏まえると「勉強は好き」と「分かる」が必ずしも一致するとは限らないことを意味しています。

中学3年生の「全国学力・学習状況調査」では「数学の勉強は好きか」に対し「当てはまる」は31.4%、「やや当てはまる」の回答は27.9%と小学生よりも減少。

授業の内容に関しても同様な傾向がみられており、学年が上がるにつれて算数や数学に苦手意識を持つ子が増えていることが分かります。

今は算数が好きでも、いつ算数が嫌いになるか分かりません。算数に苦手意識を持たないよう対策することが必要です。

つまずき単元を見落とさない

低学年の頃の足し算やひき算の基礎的な問題は、目で見れば数の変化が分かります。もちろん、桁が大きくなれば頭で考える作業が増えますが計算自体が劇的に難しくなるものではありません。けれど、小学4年生から本格的に学ぶ「小数」や「図形の角度」と「面積」は一目ですぐに分かる単元ではありません。

小数の考え方は分数と密接な関係がありますし、高学年で習う割合でも必須です。また、図形は公式といった「ルール」を覚えた上で正しい答えを導き出さなければいけません。

先生の説明を聞いて何となく分かるものから、より自分の頭で考えを深めて問題を解く手段や方法を理解して問題を解く姿勢が求められます。

思考力が問われる単元が小学4年生を境に増えていくため、日頃から学校のテストを確認し「ちょっとこの単元は苦手そう」と感じたらすぐに復習をさせるなど「つまずき単元の傷を広げない」ようにしましょう。

子どもは「周りの子も出来ていなかったから」と安心して事の重大さに気がつかないこともあります。親が客観的にみて「理解が甘い」と感じたらすぐに動き出すことが肝要です。

苦手意識を持たせないように気をつける

一度苦手意識を持ってしまうと払拭するのは容易ではないので、子どもが算数に対して苦手意識を持ち始めたら要注意。基本的な計算問題を解かせて「分かった」という体験を重ねて自信をつけさせていきましょう。

家庭で算数の勉強に取り組ませる場合は、子どもが9割位解けそうなレベルからスタート。いきなり難しいものを与えると、一気に自信を失ってしまいます。

確実に解けるものからスモールステップをし、算数力を鍛えるとともに「やればできる」という前向きな気持ちを子どもが持つことが大切です。

そして、一番気をつけなければいけないのが、親の必要以上の叱責です。「なんでこんな問題も解けないの」という一言で算数への自信をすっかり失ったり、算数嫌いの決定打になったりします。

将来的な進路に直接関係してくる教科だけに、小学生時点で「算数のセンスがない」と思い込ませるような事態にならないようにしてください。

進路を広げる教科であることを教える

算数や数学がどのように社会に出て役に立つのかピンとこない子もいます。自分の親が研究職や日頃から数字を扱う仕事をしていない限り、なかなか算数の大切さを感じられません。

しかし、算数や数学といった理系科目は科学技術の開発や進歩に大きく貢献しています。

そして、高校受験をはじめ入学試験では数学の出来不出来が合否に関わってきます。さらに、高校進学後の進路に数学は大きく関係してくるため、小学校の時に算数嫌いになってしまうと大袈裟ではなく現実的な進路選択の幅が狭くなることを意味しています。

私立文系に狙いを定めていた子が、受験学年になって理系学部に興味を示して進路変更をしても、合格をつかみ取るにはかなりの努力が必要になります。

小学生だと「まだ先のこと」と思い、現実的なこととして受け止められないかもしれません。

また、算数で鍛えられる論理的思考力は社会に出てからも役立つスキルです。他の教科も大切ですが、算数や数学の重要性を「単なる勉強だけではなく人生の選択肢を増やしてくれる教科」と話し、理解させていきましょう。

就職や年収にも関係する

「理系学部出身者の平均年収は文系よりも高い」という話が浸透しています。

RIETIファカルティーフェローであり神戸大学社会科学系教育研究府特命教授の西村和雄氏による「高校時代の履修科目と大学卒業後の年収」によれば、受験の際に数学受験者と未受験者や理系文系の所得差が出ていました。

理系の方が所得は高い傾向にあり、そのなかには医師や歯科医も加わっていますが、ICT技術の進歩や新分野の開発にはエンジニアが欠かせません。専門的な知識を持ち求められる人材であれば自ずと給与が高くなります。

子どもの頃の算数嫌いが進路選択を狭め、さらに所得にも影響があります。算数苦手を放置したままにせず、日頃からフォローして苦手克服を目指していきたいですね。

参考資料

文部科学省 「令和3年度 全国学力・学習状況調査」の4.質問紙調査の結果のうち(1) 回答結果集計[児童質問紙](https://www.nier.go.jp/21chousakekkahoukoku/factsheet/primary.html)

「高校時代の履修科目と大学卒業後の年収」RIETIファカルティーフェロー神戸大学社会科学系教育研究府特命教授西村和雄独立行政法人経済産業研究所 「活力ある日本経済社会構築のための基礎的研究」RIETI政策シンポジウム「人的資本・人材改革」2013年9月6日(https://www.rieti.go.jp/jp/events/13090601/pdf/1-3_nishimura.pdf)

神戸大学社会科学系教育研究府特命教授 西村和雄「学習科目選択と大学卒業後の所得」(https://mathsoc.jp/publication/tushin/1804/1804nishimura.pdf)

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