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【2022年度・年金制度改正】老後資金が増えやすくなるってホント?改正点をわかりやすく解説

LIMO / 2022年4月14日 17時50分

【2022年度・年金制度改正】老後資金が増えやすくなるってホント?改正点をわかりやすく解説

【2022年度・年金制度改正】老後資金が増えやすくなるってホント?改正点をわかりやすく解説

2022年4月に改正された年金制度には、働く人が老後資金を形成しやすくなる制度が多く盛り込まれました。

少子高齢化に伴う健康寿命の延伸により、長引く高齢期の生活を支える経済基盤の充実を図る狙いがあります。

そこで今回は、年金制度改正法案の4つの改正ポイントを詳しく解説します。

年金制度改正法案の4つのポイントを解説【2022年度版】

2022年4月から施行された年金制度改正法の4つのポイントはこちらです。

被用者保険の適用拡大

在職中の年金受給の要件緩和

年金受給開始年齢の上限が75歳に延長

確定拠出年金の加入条件見直し

それでは詳しく解説していきましょう。

1.被用者保険の適用拡大

パートやアルバイトで働く短時間労働者について、被用者保険(厚生年金や健康保険)の適用範囲が拡大されます。

事業所の企業規模要件を段階的に引き下げ、2022年10月に100人超規模、2024年10月に50人超規模まで適用範囲が拡大されます。

これにより、短時間労働者でも厚生年金に加入しやすくなりました。

出所:厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」

なお、賃金要件(月額8万8000円以上)・労働時間要件(週労働時間20時間以上)・学生除外要件は現行のままとし、勤務期間要件(現行では1年以上)は2ヵ月超に短縮されます。

将来もらえる年金額ですが、厚生労働省が公表している「社会保険適用拡大ガイドブック」によると、年収106万円の人が20年間加入した場合、年額10万8300円の上乗せです。

2.在職中の年金受給の要件緩和

60歳以上で働く人にとってメリットが大きい2つの制度が導入されました。

60歳〜64歳の方が働きながら年金を受け取る際、現行では賃金と年金の合計額が28万円を超えた場合は年金が一部または全額支給停止されますが、4月以降はこの要件が緩和されます。

更に、65歳以降になると毎年1回年金額が改定され、年金額に反映される仕組みも導入されました。

それでは、この2つの制度について詳細を解説していきます。

在職老齢年金制度の見直し

60歳〜64歳まで受け取れる特別支給の老齢厚生年金が対象となる在職老齢年金について、今後は賃金と年金の合計額が28万円から47万円の方は年金が支給停止されなくなります。

現行では60歳〜64歳までの年金支給停止要件である賃金と年金の合計額は28万円、65歳以上では47万円となっていました。今回の改正により47万円に統一された形です。

出所:厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」

ただし、この制度は男性が2025年度まで、女性が2030年までの措置となっております。

在職定時改定の導入

65歳以上で働きながら老齢厚生年金を受け取っている方を対象に、年金額を毎年10月に改定し、納めた保険料が年金額に反映される制度が導入されます。

現行制度では厚生年金の被保険者資格を喪失するまで、年金額の改定はされませんでした。今後は毎年年金額が増加することとなります。

出所:厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」

これにより65歳以上で在職中の方は、就労を継続しながら受け取る年金額を増やせるようになりました。

なお、この制度は在職老齢年金の見直しとは異なり、今のところ期限は設けられていません。

3.年金受給開始年齢の上限が75歳に延長

公的年金は原則65歳から受け取れますが、今回の改正によって60歳〜75歳の間で受給開始時期を選択できるようになりました。

年金を65歳になる前に受け取ることを「繰り上げ受給」、66歳以降に受け取ることを「繰り下げ受給」と呼び、現行の繰り下げ受給の上限70歳が75歳まで引き上げられる形です。

この制度は2022年4月以降に70歳を迎える方(昭和27年4月2日以降に生まれた方)が対象であり、繰り下げ増額率は1月当たり0.7%(10年で最大84%)です。

繰り下げ受給は年金受給額が増えるメリットがある一方、社会保険料や住民税の負担が増す可能性や、加給年金が受け取れない可能性もあります。

繰り下げ受給を検討する方はデメリットも考慮して判断して下さい。

出所:厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」

4.確定拠出年金の加入条件見直し

2022年5月以降、老後の備えとして活用されているiDeCoや企業型DCといった確定拠出年金の加入条件が緩和されます。

また2022年10月からは、企業型DCに加入している方でも労使の合意なくiDeCoに加入できるようになります。

企業型DCの加入可能要件の見直し

厚生年金被保険者が企業型DCに加入できる年齢が、70歳未満に引き上げられます。

ただし企業によって加入できる年齢が異なり、労使が定めた加入資格によっては60歳未満・65歳未満とされるケースもあるので注意しましょう。

また、今回の改正で企業型DCの受け取り時期も60歳〜75歳に拡大されます。

iDeCoの加入可能要件の見直し

iDeCoの加入対象者が拡大され、以下に該当する方も加入できるようになります。

厚生年金に加入している60歳以上65歳未満の方

国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の方

国民年金に任意加入している海外の方

iDeCoの受け取り時期も企業型と同様、60歳〜75歳に拡大されました。

中小企業向け制度(簡易型DC・iDeCoプラス)の対象範囲の拡大

企業の合意や労使合意にもとづく規約の変更といった条件を満たさなくても、企業型DC加入者が本人の意思だけでiDeCoに加入できるようになります。

ただし、加入者本人が掛け金を上乗せして拠出する「マッチング拠出」を利用している企業型DC加入者はiDeCoに加入できません。

また、企業型DCとiDeCoを併用する場合は、双方の掛け金合計額が5万5000円を超えないよう調整する必要があります。

将来の年金や働きながら受け取るメリットが拡大

今回の制度改正により、取り組みやすい老後資金の形成や60歳以上の働き方の自由度が増し、ライフステージの組み立て方がより柔軟になりました。

また年金制度はときどき改正されるので、ご自身が活用できる制度が導入されているかチェックしておくと良いでしょう。

参考資料

厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html)

厚生労働省「被用者保険の適用拡大について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636614.pdf)

厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」(https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/pdf/guidebook_hihokensha_a4.pdf)

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