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4月から「男性育休」が義務化。4つの改正ポイントを施行期日ごとに解説

LIMO / 2022年4月27日 17時50分

4月から「男性育休」が義務化。4つの改正ポイントを施行期日ごとに解説

4月から「男性育休」が義務化。4つの改正ポイントを施行期日ごとに解説

2022年4月以降に男性育休の取得が義務化され、今後は有期雇用労働者の育休取得要件緩和や「産後パパ育休」の取得など、柔軟に育休が取得できる環境が整ってきます。

これまでは会社に妊娠を報告した際、女性は育休取得の有無を聞かれていましたが、男性はお祝いの言葉だけで終わるケースが多かったと思います。

しかし2022年4月以降は少しずつ状況が変わります。

具体的な4つの改正ポイントと制度導入の背景についても解説するので、育休取得を検討している方はぜひ参考にしてみて下さい。

男性育休義務化4つのポイント【施行期日順】

育児介護休業法の改正されたポイントは4つです。

雇用環境整備・個別の周知と意向確認【2022年4月1日施行】

有期雇用労働者の要件緩和【2022年4月1日施行】

「産後パパ育休」(出生時育児休業・ 分割取得)【2022年10月1日施行】

育児休業取得率の公表【2023年4月1日施行】

それぞれ詳しく解説していきます。

雇用環境整備・個別の周知と意向確認【2022年4月1日施行】

こちらの2点について、企業は周知徹底する義務が生じます。

妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備

【妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置】

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た従業員に対し、事業主は以下の項目を周知し、休業の取得意向について確認しなければなりません。

育児休業・産後パパ育休に関する制度

育児休業・産後パパ育休の申し出先

育児休業給付に関すること

労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

2022年4月以降は、男女問わず妊娠を報告された事業主は、必ず育休制度内容の周知や取得の意向確認を行うこととなります。

意向確認の方法は面談(オンライン可)・書面交付・FAX・メールのいずれかです。FAXとメールは従業員が希望した場合のみ実施します。

ちなみに、特別養子縁組や里親でも、養育や受託の旨を報告された場合は上記の周知・意向確認が必要です。

【育児休業を取得しやすい雇用環境の整備】

育児休業および産後パパ育休(次項以降で解説)の申請が円滑に実施されるように、企業は以下のいずれかの取り組みを実施しなければなりません。

育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口設置等)

自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

従業員は短期・長期いずれの場合でも、希望した通りの期間の休業を申請・取得できるようになります。

有期雇用労働者の要件緩和【2022年4月1日施行】

有期雇用労働者が育休を取得するための要件が緩和されます。

これまでは育休を取得する条件として、「引き続き雇用された期間が1年以上」「1歳6ヵ月までの間に契約が満了することが明らかでない」の2つを満たす必要がありました。

2022年4月からは「1歳6ヵ月までの間に契約が満了することが明らかでない」の要件のみとなり、無期雇用労働者と同様の取り扱いとなりました。

ただし事業主が契約更新について名言をしない時は、原則として労働契約の更新が確実にないとは判断されません。

よって、育休申請の時点で労働契約の更新が確実にないと判断できるかが肝心です。

「産後パパ育休」(出生時育児休業・分割取得)【2022年10月1日施行】

産後パパ育休(出生時育児休業)は、法改正により新設された制度です。

この制度では、子の出生から8週間の間に合計4週間分の休業が認められ、2回まで分割して取得することも可能です。(初めにまとめて申請する必要がある)

産後パパ育休の特徴は、受給資格を満たしていると休業開始時の賃金の67%(180日経過後は50%)の育児休業給付を受け取れるほか、休業期間中の社会保険料が免除されます。

申請期限は休業開始予定日の2週間前までとなっています。

ただし労使協定を締結した事業主の場合、次に該当する従業員は産後パパ育休の対象外です。

雇用された期間が1年未満

申出の日から8週間以内に雇用関係が終了する

週の所定労働日数が2日以下

育児休業取得率の公表【2023年4月1日施行】

常時雇用している従業員が1000人を超えている事業主は、育休取得状況を年1回公表することが義務付けられます。

一般の方が閲覧できる媒体(企業ホームページなど)を使って「育児休業等の取得割合」または「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかを公表しなければなりません。

従業員が出向している場合は契約内容にもよりますが、原則育休を管理している事業主の方でカウントします。

育児介護休業法改正の背景と男性育休取得の現状

制度改正の背景には、男性の育休取得率が女性と比べて圧倒的に低いことが挙げられます。

2020年時点の育児休業取得率は、女性が81.6%に対し男性は12.65%と低調に推移しており、現行制度だけでは男性育休が取得しにくい現状が浮き彫りとなりました。

出所:厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」

育児休暇の期間も男女で大きな差があります。女性は9割近くが6ヵ月以上取得しているのに対し、男性は5日未満が36.3%、8割が1ヵ月未満となっています。

しかし、男性側も育休が取得しにくい現実があります。厚生労働省の調査によると、育休を取得しなかった理由は次の3つが上位を占める結果となりました。

    収入を減らしたくなかったから 41.4%

    職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、または会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったから 27.3%

    会社で育児休業制度が整備されていなかったから 21.3%

このように業務の都合や職場の雰囲気によって育休を取得しにくい現状を受け、業務と調整しやすい柔軟な制度や取得しやすい職場環境の整備が急務であると判断されました。

なお事業主が育休取得を拒否した場合は育児介護休業法第12章 雑則により、以下のような制裁措置が課されます。

厚生労働大臣からの報告要請、助言、指導勧告

違反会社名及び違反行為内容の公表

20万円以下の罰金

産後女性のケアはとても大切

男性育休が「子の出生から8週間の間に合計4週間分の休業」とされているのは、産後女性の身体は約6〜8週間静養する必要があるためです。

この期間に無理をすると、多くの不調を抱えたまま育児しなければなりません。ぜひ命がけでお子様を産んだ奥様を労ってあげて下さいね。

参考資料

厚生労働省「育児・介護休業法の改正について」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf)

厚生労働省「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000137179.pdf)

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