「年収1000万円」は日本で数パーセント?手取りや貯蓄額はどれくらいか
LIMO / 2022年4月21日 19時35分
「年収1000万円」は日本で数パーセント?手取りや貯蓄額はどれくらいか
年収1000万円のお金事情を探る
「年収1000万円」と聞くとどのようなイメージでしょうか。
「1000万円プレイヤー」などと呼ばれ、裕福な暮らしをしている人が多いといったイメージでしょうか。
国税庁が発表した「令和2年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本人の給与所得者の平均年収は433万円となっています。
つまり、年収1000万円の人は平均年収の2倍以上を稼いでいることになります。
良い家に住み、豪華な食事を摂り、好きなことに自由にお金を使えるような、そんな暮らしぶりを想像してしまいそうです。
果たして年収1000万円を稼ぐ人や世帯の暮らしぶりや貯蓄状況はどうなっているのか。
今回は、そんな「年収1000万円」を稼ぐ人にスポットをあててみたいと思います。
年収1000万円、実際の手取りはいくら?
「年収1000万円」と言っても、その全額が使えるお金というわけではありません。
「額面」と「手取り」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
実際に受け取る給与は、「額面」から、社会保険料や税金を引かれた後の金額になります。
これが「手取り」です。
現在日本では「累進課税制度」という制度がとられており、収入が高い人ほど多くの税金を納めていることになります。
もちろん家族状況などによって実際の税負担額は変わってきますが、一例として、独身の場合、特に税金対策などをしていなければ、手取りの給与額はおよそ720万円になります。
年収1000万円世帯、貯蓄額はいくら?
次に、視点を「世帯」に移してみます。
年収1000万円世帯の貯蓄状況に注目してみましょう。
金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査「二人以上世帯調査」(令和2年)」を参考にすると、以下のようになります。
《年収1000万円以上1200万円未満世帯》貯蓄の分布
金融資産非保有:4.0%
100万円未満:2.0%
100~200万円未満:5.0%
200~300万円未満:3.0%
300~400万円未満:2.0%
400~500万円未満:4.0%
500~700万円未満:7.0%
700~1000万円未満:10.0%
1000~1500万円未満:11.0%
1500~2000万円未満:11.0%
2000~3000万円未満:12.0%
3000万円以上:28.0%
無回答:1.0%
平均値:2386万円
中央値:1500万円
いかがでしょうか。
「平均値」でみた場合、2000万円以上の貯蓄があるというデータが出ていますが、「平均値」を鵜呑みにしてはいけません。
「平均値」は、一部の極端に大きな数値に引っ張られてしまいます。
極端な例ですが、年収2000万円、500万円、200万円の社員が1人ずついた場合、「平均年収」は900万円になります。
これでは、あまり実態を捉えているとは言いにくいですね。
「中央値」は、データを小さい順に並べた時に、ちょうど真ん中に来る値を示したものです。
よって、「平均値」ではなく、「中央値」でみた方が、より実態に近いといえます。
中央値は「1500万円」となっており、「1000万円以上」という範囲でみた場合も62%と、約6割の人が、貯蓄も1000万円以上保有していることがわかります。
さて、年収1000万円以上を稼いでいる世帯は、過半数が1000万円以上の貯蓄を有している一方で、約4割の世帯では中々貯蓄ができないといった状況であることもわかります。
生活水準が高くお金を貯められない、児童手当など所得制限によって公共サービスの恩恵を受けられない、など理由は様々です。
ただそれでも、前者の理由であれば、どこかに貯蓄を増やしていくヒントが隠されている可能性も十分にあります。
「今の生活」が大事であるのと同じくらい、「将来の生活」に対しても真剣に向き合っていく必要があります。
年収1000万円を稼げる人は一握り
個人でみた場合、先ほどの民間給与実態統計調査によると、令和2年分の年収「1000万円超 1500万円以下」に該当するのは全体の3.4%の人だけです。
男女別でみても、男性が5.2%、女性が0.7%となっており、年収1000万円を超えるのは非常に狭き門であることといえます。
一方で、世帯でみた場合、少し前の調査にはなりますが、厚生労働省が発表している「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、「世帯年収1000万円以上」を超えているのは、全体の12.1%となります。
※編集部注:2020年の調査は新型コロナウイルスの影響で中止となっています。
個人で1000万円を超えるより、夫婦それぞれで500万円ずつや、600万円と400万円など、世帯として考える方がハードルはグッと下がります。
年収1000万円超の人に活用してほしいこと
年収1000万円を超える人に積極的に活用していただきたいのが、「節税」です。
冒頭にも触れましたが、日本は累進課税制度を導入しており、収入が高いとその分だけ引かれるお金も大きくなります。
身近なもので例を上げると、「iDeCo」や「ふるさと納税」、「住宅ローン控除」、「医療費控除」など様々です。
税金を払うだけでは手元には何も残りませんが、先ほど例を上げたものを活用すれば、資産や物、住宅などが手元に残ることになります。
ただ単に税金を払うのではなく、賢いお金の使い方を実践すると、より暮らしが充実してくるのではないでしょうか。
参考資料
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/minkan.htm)
厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)
金融広報中央委員会「会計の金融行動に関する世論調査「二人以上世帯」(令和2年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2020/20bunruif001.html)
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