「住民税非課税世帯」とは年収はどのくらい?どんな優遇措置があるのか
LIMO / 2022年5月1日 14時50分
「住民税非課税世帯」とは年収はどのくらい?どんな優遇措置があるのか
年収の目安を給与と公的年金に分けて解説
政府は緊急経済対策として、住民税非課税世帯に10万円を給付する支援を行っており、今年度も新たに非課税となった世帯への給付の方針を固めています。
さて、ここで気になるのが「住民税非課税世帯」という言葉。よく聞く言葉ですが、具体的にどのような世帯を指すのか、年収がいくらだったら住民税が非課税になるのか、分かりやすく解説します。
また、「住民税非課税世帯」が受けられる優遇措置についてもご紹介します。
「住民税非課税世帯」とは
住民税非課税世帯とは、読んで字のごとく、住民税が課税されない世帯のことです。生計を一にする家族全員の住民税が非課税である世帯が該当します。
住民税は「その年の1月1日に日本国内に住所がある者に対して課税される税金」です。
都道府県民税と市町村民税をあわせて、一般的に住民税といいます。前年の所得に対して課税される「所得割」と、個人に均等に課税される「均等割」があり、「所得割」は一律10%、「均等割」は通常、道府県民税1500円と市町村民税3500円を合わせて5000円となっています。
住民税には、低所得者の負担を考慮して、一定の条件に該当する場合には税負担を求めない措置が設けられています。これを非課税制度といい、養っている家族の有無や人数、所得金額などが考慮されます。
非課税となる条件
「所得割」「均等割」それぞれに非課税となる条件があり、住民税非課税世帯は、両方が非課税である必要があります。
「均等割」は自治体によって条件が異なるので、お住まいの自治体の条件を確認してみてください。多くの場合「均等割」の条件に「所得割」の条件が含まれるので、「均等割」で非課税になっていれば住民税非課税世帯の条件を満たすことになります。
ここでは、東京23区の「所得割」「均等割」とも非課税となる条件を紹介します。
(1) 生活保護を受けている方
(2) 障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4千円未満)の方
(3) 前年中の合計所得金額が下記の方
<同一生計配偶者または扶養親族がいる場合>
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下<同一生計配偶者および扶養親族がいない場合>
45万円以下
参考:個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局
東京23区の場合は、前年の合計所得金額が45万円以下であれば、扶養家族の有無にかかわらず非課税となります。
「住民税非課税世帯」年収にするといくら?
「合計所得金額」という言葉が出てきましたが、年収にするといくらになるのでしょうか。
まずは、関連する言葉の説明をしましょう。
収入から必要経費を引いたものが「所得」です。給与の場合は必要経費にあたる「給与所得控除」を引いたものが「給与所得」です。
所得には給与所得以外に「不動産所得、事業所得、利子所得、雑所得」などいろいろありますが、これらを合計したものが「合計所得金額」になります。
収入が給与だけであれば、「給与所得」=「合計所得金額」となります。
ここでは、わかりやすく収入が給与のみ、公的年金のみの場合の年収の目安を表にしてみました。
公的年金の場合、年金収入から公的年金等控除額を引いたものが所得となり、65歳未満と65歳以上で控除額が異なります。
住民税非課税世帯が受けられる優遇措置
住民税非課税世帯に該当すると、以下のような優遇措置が受けられます。
保育料無料(幼児教育・保育の無償化)
3歳から5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無料となる制度において、住民税非課税世帯は、0歳から2歳児についても無料となります。
大学無償化(高等教育の修学支援新制度)
大学などの授業料および入学金が免除または減額される制度です。さらに学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から給付型奨学金を受け取ることができます。住民税非課税世帯の学生は支援額を満額受けられます。
介護保険料の減免
介護保険は原則、40歳以上のすべての人が加入し、保険料を納めなければなりません。保険料率は住民税の課税状況などに応じて段階を設けています。住民税非課税世帯は低い保険料となっています。
高額療養費の自己負担額の軽減
医療費の自己負担額が高額になったときに、自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。住民税非課税世帯はこの自己負担限度額が低く設定されるため、医療費の負担が少なくなります。
国民年金・国民健康保険料の減免
国民健康保険料には所得に応じて負担する所得割額と、加入者全員が負担する均等割額があります。この均等割額が所得と世帯人数に応じて7割・5割・2割に軽減されます。国民年金保険料は住民税が非課税の人は、原則として、申請をすれば全額免除になります。
この他にも、各自治体が独自に支援を行っている場合があります。
住民税非課税世帯の措置は「必要な支援」
住民税非課税世帯は、さまざまな優遇措置を受けられることで、一部で「羨ましい」という声が聞かれることがあります。“優遇”という言葉からなんとなく“得をする”と取られるのかもしれません。
日本の社会保障制度では、母子家庭や高齢単身者、障害者、失業者など、働きたいのに働けない人、働いても収入が十分でない人のためのセーフティーネットが機能しています。それは憲法ですべての人に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しているからです。
このセーフティーネットが捕らえる範囲としてあるのが住民税非課税世帯です。そのように考えれば“優遇”ではなく、必要な“支援”と言えるのではないでしょうか。
参考資料
個人住民税 | 税金の種類 | 東京都主税局(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html#gaiyo_06)
総務省|地方税制度|個人住民税(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html)
大阪市:個人市・府民税が課税されない方 (市税について:個人市民税)(https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000384084.html#TOPPAGE)
幼児教育・保育の無償化: 子ども・子育て本部 - 内閣府(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/musyouka/index.html)
学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度:文部科学省(https://www.mext.go.jp/kyufu/student/koukou.html)
高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html)
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