60代の貯蓄を大解剖!無職世帯の貯蓄は「老後2000万円」を超えているか
LIMO / 2022年5月1日 6時0分
60代の貯蓄を大解剖!無職世帯の貯蓄は「老後2000万円」を超えているか
60代の貯蓄のリアル
人生100年時代、老後の生活費を、年金だけですべてまかなうのは難しいでしょう。豊かな老後を過ごすためにも、現役時代のうちから貯蓄をしっかりしておくことが重要です。
2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後資金2000万円問題」が話題になりました。
そもそもこの「2000万円」という金額は、「夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職の世帯が、その後30年間2人とも健在」であることが前提です。
そして、その30年間に「月5万5000円×360カ月(30年)=1980万円」が公的年金以外に必要となるという計算です。
「2000万円」という決して小さくはない金額。この金額を貯蓄できた世帯はどのくらいあるのでしょうか。今回は「60代の世帯」の貯蓄事情をのぞいてみましょう。
60代の貯蓄の実態とは
まずは、「二人以上かつ世帯主が60歳以上の世帯」の貯蓄状況をみていきます。
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、2020年平均の1世帯当たり貯蓄現在高の平均値は1791万円、中央値は1061万円となっています。
平均値は一部の「お金持ち」層によって引き上げられるため、「中央値」を参考にするといいでしょう。
では、貯蓄額の分布もみてみましょう。
60代二人以上世帯の貯蓄分布(割合)
100万円未満:9万8219世帯(7.21%)
100万円~:6万1007世帯(4.48%)
200万円~:4万4434世帯(3.26%)
300万円~:4万3110世帯(3.17%)
400万円~:4万2941世帯(3.15%)
500万円~:4万2055世帯(3.09%)
600万円~:4万2416世帯(3.11%)
700万円~:4万1486世帯(3.05%)
800万円~:3万7089世帯(2.72%)
900万円~:2万7395世帯(2.01%)
1000万円~:8万9261世帯(6.55%)
1200万円~:6万969世帯(4.48%)
1400万円~:5万4371世帯(3.99%)
1600万円~:5万1634世帯(3.79%)
1800万円~:4万2107世帯(3.09%)
2000万円~:10万9934世帯(8.07%)
2500万円~:10万456世帯(7.38%)
3000万円~:11万3721世帯(8.35%)
4000万円以上:25万9164世帯(19.03%)
上記を見ると、最も多い順に「4000万円以上」(19.03%)、「3000万円~」(8.35%)、「2000万円~」(8.07%)、「2500万円~」(7.38%)、「100万円未満」(7.21%)となりました。
4000万円以上の世帯でおよそ2割である一方、貯蓄500万円未満も同じく約2割となっています。
貯蓄には大きなばらつきがあるといえそうです。
次では、「無職の高齢者世帯」の貯蓄事情にフォーカスしていきます。
60代「無職の高齢者世帯」の貯蓄は
さらに、世帯主が65歳以上の「無職世帯」に絞ったデータをみていきましょう。
世帯の貯蓄現在高の推移は、以下の通りとなっています。
2015年・・・2416万円
2016年・・・2350万円
2017年・・・2337万円
2018年・・・2233万円
2019年・・・2218万円
2020年・・・2292万円
どの年度も2000万円以上となりました。退職後の生活に備えて、着実に貯蓄ができている世帯の多さがうかがえます。
それでは、2020年の同世帯の貯蓄の内訳も見ていきましょう。
【世帯主が65歳以上】無職世帯の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯)
通貨性預貯金・・・618万円(27.0%)
定期性預貯金・・・920万円(40.1%)
生命保険など・・・397万円(17.3%)
有価証券・・・348万円(15.2%)
金融機関外・・・9万円(0.4%)
通貨性預貯金…自由に入出金可能な普通預金など
定期性預貯金…金融機関に一定期間預ける定期預金など
生命保険など…生命保険会社の養老保険やこども保険などで、掛け捨ての保険を含まない
60代以降の必要な貯蓄額は人それぞれ
今回は、60代以降の貯蓄事情を解説してきました。
平均額が2000万円を超えている、という結果からは、「退職までに老後資金を準備しておこう」という意識が表れているのかもしれません。
ただ、「2000万円」はあくまでも目安の金額に過ぎません。生活水準や年金受取額などによっては、それ以上の貯蓄が必要になる可能性もあります。
介護が必要になった場合、高齢者施設への入所を検討したり、自宅をリフォームしたりする必要もあるでしょう。一方で、親族からの相続財産がある場合もあります。
老後にいくら必要か、その答えは、やはり「ひとそれぞれ」となるでしょう。まずは、ご自身のマネープランをじっくり考える時間を作ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200561&tstat=000000330001&cycle=7&year=20200&month=0&tclass1=000000330007&tclass2=000000330008&tclass3=000000330009&result_back=1&tclass4val=0)
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