40~50代「年収500~750万円未満世帯」みんなの貯蓄はいくら?老後の収入源「就業による収入」は増加傾向に
LIMO / 2022年5月4日 18時50分
40~50代「年収500~750万円未満世帯」みんなの貯蓄はいくら?老後の収入源「就業による収入」は増加傾向に
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」を考察
40~50代は住宅ローンを抱えながら、教育費を払い、老後資金にも備えていく方が多い年代です。
年代的には収入が上がる傾向にあるものの、子どもの年齢も上がり何かと出費が多いご家庭が多いもの。家計のやりくりや貯蓄方法に最も複雑になる年代といえるでしょう。
少し前の調査にはなりますが、厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、2018年の児童のいる世帯の雇用者所得(世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で税金や社会保険料を含む)は651.8万円ですから、子育て世帯の平均世帯年収は「600万円台」と言えます。
老後資金も自分で備える必要がある今、40~50代でみんなどれくらい貯蓄を保有しているのか気になる方もいるのではないでしょうか。
今回は40~50代の「年収500~750万円未満世帯」の貯蓄について、平均や中央値、その内訳を確認していきます。
40代「年収500~750万円未満」貯蓄の中央値は480万円
今回は金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」をもとに見ていきます。
同調査は2021年9月3日(金)~15日(水)まで、全国5000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満でかつ世帯員が2名以上の世帯)に行われています。
こちらより40代「年収500~750万円未満」の金融資産保有額を確認しましょう。
40代「年収500~750万円未満」の金融資産保有額
平均961万円・中央値480万円
金融資産非保有:20.8%
100万円未満:5.7%
100~200万円未満:8.7%
200~300万円未満:5.7%
300~400万円未満:4.1%
400~500万円未満:4.4%
500~700万円未満:10.9%
700~1000万円未満:10.1%
1000~1500万円未満:9.0%
1500~2000万円未満:6.6%
2000~3000万円未満:7.4%
3000万円以上:4.6%
無回答:1.9%
40代の年収500万円台、600万円台、700万円台前半の家庭の貯蓄の平均は961万円でした。1000万円に近い水準ですね。
ただ平均は一部の中央値に引っ張られます。より実態に近い中央値をみると480万円でした。
内訳をみると、貯蓄のある世帯では最も多い順に「500~700万円未満(10.9%)」「700~1000万円未満(10.1%)」「1000~1500万円未満(9.0%)」「100~200万円未満(8.7%)」。
500~1000万円未満が約2割、1000~1500万円が約1割とまとまった貯蓄を保有しています。
一方で100~200万円未満も1割弱と多く、金融資産ゼロ世帯は約2割。およそ3世帯に1世帯は貯蓄200万円未満です。
貯蓄状況はそれまでの世帯年収の推移やお住まいの地域、子どもの人数などによっても異なります。
現段階では、同程度の世帯年収であっても、貯蓄にバラつきが出ることがわかりました。
50代「年収500~750万円未満」貯蓄の中央値は500万円
次に50代世帯を見ていきましょう。
50代「年収500~750万円未満」の金融資産保有額
平均1134万円・中央値500万円
金融資産非保有:18.1%
100万円未満:6.0%
100~200万円未満:8.0%
200~300万円未満:4.3%
300~400万円未満:5.4%
400~500万円未満:4.7%
500~700万円未満:8.7%
700~1000万円未満:10.0%
1000~1500万円未満:8.0%
1500~2000万円未満:5.7%
2000~3000万円未満:7.4%
3000万円以上:11.0%
無回答:2.7%
平均は1000万円を超えましたが、中央値は500万円と40代とさほど変化がありません。
内訳は貯蓄のある世帯で最も多い順に「3000万円以上(11.0%)」「700~1000万円未満(10.0%)」「100~200万円未満(8.0%)」「1000~1500万円未満(8.0%)」。
50代では最も多い貯蓄が「3000万円以上」で約1割。貯蓄を1000万円以上保有している世帯が32.1%です。
貯蓄ゼロ世帯は40代に比べて減るものの約18%。貯蓄200万円未万世帯も32.1%と、貯蓄の二極化傾向が見られました。
50代ならまだ住宅ローンが残っている方も多いでしょう。教育費は落ち着く方が多いですが、住宅ローンを払いながら十数年で老後資金を準備することになります。
老後の収入源「就業による収入」が年々増加傾向に
2019年には老後、年金以外に2000万円必要という「老後2000万円問題」が話題となりました。「年金だけでは老後生活できない」と考える方は多いでしょう。
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金の全体の平均年金月額は5万6252円、厚生年金は14万4366円です。
先ほどの金融広報中央委員会の調査より、全体の「老後の生活費の収入源(3つまでの複数回答)」について、2012~2021年の推移を見ていきましょう。
2021年は多い順に「公的年金(71.1%)」「就業による収入(49.1%)」「企業年金、個人年金、保険金(37.7%)」「金融資産の取り崩し(27.6%)」です。
老後は年金だけでなく、働いたり、企業年金や個人年金、金融資産から生活費をまかなおうと考えるのが一般的となっていますね。
2012~2021年の推移では「公的年金」が約9ポイント減少する一方、「就業による収入」は約6ポイント増加。
「企業年金、個人年金、保険金」と「金融資産の取り崩し」はほぼ増減していませんので、「年金には頼れず、老後も働く必要がある」と考える方が増えていると分かります。
まとめにかえて
今回の結果をみると、40~50代の貯蓄中央値は500万円ほどと2000万円には遠い結果となりました。同程度の世帯年収でも貯蓄の二極化が激しいもの。ご家庭状況により貯蓄事情はさまざまですが、早いうちからマネープランについては意識して動きたいものです。
また、老後は年金に頼れず、長く働こうと考えている方が増えています。40~50代から、老後の働き方についてもイメージしておきたいですね。
老後の収入源として「企業年金、個人年金、保険金」「金融資産の取り崩し」を考える方も多いので、こちらに対する対策も必要です。今はiDeCoやつみたてNISAといった運用益が非課税になる制度もあるので、これらもあわせて検討しても良いでしょう。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2021/21crossf001.html)
厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)(https://www.mhlw.go.jp/content/000925808.pdf)
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