吉野家、「から揚げ戦略」で革新遂げるか。好決算・親子丼・経営計画は役員の不適切発言で台無し
LIMO / 2022年5月1日 12時10分
![吉野家、「から揚げ戦略」で革新遂げるか。好決算・親子丼・経営計画は役員の不適切発言で台無し](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_29327_0-small.jpg)
吉野家、「から揚げ戦略」で革新遂げるか。好決算・親子丼・経営計画は役員の不適切発言で台無し
吉野家ホールディングス(9861)子会社の吉野家は役員の社外活動での不適切発言が大きな注目を集めることになりました。
その吉野家、実は役員の失言に先立ち発表した中期経営計画で、「牛丼とから揚げの店」を目指すと宣言しています。
役員の失言に注目が集まり、10年ぶりの復活となった力作・親子丼の船出も質素な形となってしまった吉野家ですが、今後「牛丼とから揚げの店」に脱皮できるのか、その行方が注目されます。
![](https://limo.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/-/img_2b2b510805160b795efda42a57dd96cf2754936.jpg)
1. 常務の不適切発言で炎上した吉野家
牛丼チェーン店の吉野家が、大学の社会人講座における常務取締役の不適切発言で大炎上しました。
社外活動での不適切発言であり会社としては関知していない、として早々に常務取締役は解任され火消しが行われています。
その吉野家は常務の不適切発言騒動に先立つ2022年4月13日、2022年2月期の決算発表を行うとともに、中期経営計画を発表しています。
本来は決算や中期計画が注目される所ですが、役員の不祥事という変な部分が注目される結果となりました。
2. 支援金効果もあり吉野家の2022年2月期の経常利益は156億円を計上
吉野家が発表した2022年2月期決算は下記となりました。
2021年2月期と2023年2月期予想と合わせてご覧ください。
2021年2月期 売上高1,703億円、営業利益▲53億円、経常利益▲20億円、当期純利益▲75億円
2022年2月期 売上高1,536億円、営業利益24億円、経常利益156億円、当期純利益81億円
2023年2月期(予想) 売上高1,680億円、営業利益34億円、経常利益54億円、当期純利益35億円
コロナ禍により吉野家も2021年2月期は赤字計上を余儀なくされました。
しかし2022年2月期は営業利益の段階で黒字化し、脱コロナ禍が進んでいる決算です。更に時短協力金などにより、経常利益は156億円と150億円を突破しました。
そして2023年2月期は増収増益(営業利益ベース)の予想を開示しています。
3. アフターコロナを見据えた中期計画、吉野家は“牛丼とから揚げの店”を目指す
吉野家は決算の発表とともに中期経営計画も発表しました。
今後の3年間で設備投資300億円とM&A100億円の総額400億円の成長投資を行い、最終年度の2025年2月期に売上高1,800億円、営業利益70億円を目指す計画です。
中期経営計画の中で吉野家の店舗は、既に一部店舗で提供がスタートしているから揚げを第2の柱として育成することを目指しており、吉野家を「牛丼とからあげの店」とする計画をかかげています(なお、吉野家とは別の複数ブランドでラーメンを第3の柱とする計画)。
またから揚げの主力商品化に加えて、同じ鶏肉メニューとして10年ぶりの復活となる「親子丼」を2022年4月19日に発売開始しました。
本来なら親子丼のデビューは積極的なPRも行われる予定でしたが、常務の不祥事により静かなスタートを余儀なくされています。
4. 吉野家の株価は静かな上昇が続く
中期経営計画の出ばなを役員の不適切発言でくじかれる形となった吉野家ですが、株価は静かな上昇を続けています。
2021年の吉野家の株価は年間を通じて着実な上昇が続きました。
2021年始め2,000円を割れていた株価は、2022年に入り2,300~2,400円台を前後する状態が継続中です。
吉野家の株価は役員の不適切発言が報じられた後の2022年4月18~19日は続落しました。
しかし2,300円台のレンジは維持しており、不適切発言の株価に対する影響は限定的です。
中期計画の実行により株価上昇を今後も継続できるのか、という点が注目されます。
5. 吉野家は「牛丼とから揚げの店」に脱皮して再成長を実現できるのか?
吉野家は中期経営計画の柱として吉野家の店舗を「牛丼とからあげの店」とする計画を押し出しています。
しかし中期経営計画の最初の一手でもあった親子丼の投入は、役員の失言で出ばなをくじかれてしまいました。
吉野家はコロナ禍の中で赤字計上はあったものの、これまでのテイクアウトの取り組みなどにより、外食チェーン店の中ではアフターコロナに向けて早期に体制の立て直しができた1社といえます。
その反転攻勢の狼煙としての中期経営計画だった訳ですが、役員の失言という変な部分にスポットライトが当ってしまいました。
幸先よいスタートとはならなかった吉野家の中期経営計画ですが、吉野家の店舗を「牛丼とからあげの店」とする計画が成功し再成長は実現できるのでしょうか。
今後の吉野家の業績及び株価の行方が注目されます。
参考資料
株式会社吉野家ホールディングス IR情報(https://www.yoshinoya-holdings.com/ir/)
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