専業主婦世帯の貯蓄額は約1500万円。共働き世帯との比較とデータから見える生活とは
LIMO / 2022年5月12日 19時35分
専業主婦世帯の貯蓄額は約1500万円。共働き世帯との比較とデータから見える生活とは
専業主婦・共働き世帯の貯蓄事情を比較
昭和の時代を代表する家族といえば「サザエさん一家」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
平成、令和と年月が流れ、今では核家族化が進み、親子三世代の同居世帯が少なくなっただけでなく、サザエさんのように専業主婦を選ぶ人も少なくなっているのではないでしょうか。
データをみても、厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、子供がいる世帯で仕事をしていない女性、すなわち専業主婦である割合は27.6%とのこと。
4世帯のうち約1世帯は専業主婦世帯ということになりますが、地域によってはこれ以上に少ない可能性もあるかもしれませんね。
私は以前、生命保険会社に勤務しファイナンシャルプランナーとして多くのみなさんのお金にまつわる相談を受けてきました。その経験もふまえ今回は、専業主婦世帯と共働き世帯の年収やお財布事情などを紐解きながら、将来へのお金の備え方についてお話をしていきたいと思います。
専業主婦世帯の平均年収は677万円
女性が専業主婦を選ぶとき、そこに大きく関係するのが年収ですね。まずは、専業主婦世帯の一般的な年収や、貯蓄や負債といったお財布事情を確認していきましょう。
今回は総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2020年」を参考に、「夫のみ有業世帯」すなわち専業主婦世帯の平均をみていきます。
専業主婦世帯の年間収入と家庭のようす
年間収入:677万円
世帯主の年齢:49.5歳
世帯人員:3.22人(18歳未満人員1.05人)
持家率:77.1%
専業主婦の家庭は年収600万円台が一般的なようです。また、持ち家率は8割近く、大学進学を控えた18歳未満のお子様が1人以上いることもわかりました。
専業主婦世帯の貯蓄と負債もチェック
続いて、貯蓄や負債についても確認していきましょう。
専業主婦世帯のお財布事情
平均貯蓄額:1488万円
〈内訳〉
金融機関:1444万円
通貨性預貯金:543万円
定期性預貯金:415万円
生命保険など:292万円
有価証券:194万円
金融機関外:43万円
平均負債額:898万円(うち、住宅・土地のための負債847万円)
純貯蓄額:1488万円-898万円=590万円
平均貯蓄額は約1500万円になり、まとまった貯蓄がある一方、負債については住宅ローンがおよそ800万円残っています。
貯蓄から負債をひいた純貯蓄額が約600万円ということになりました。
大学を控えた子供がいることをふまえると、この先も教育費など大きな資金が必要となるでしょう。自宅外通学や医歯薬学系学部などを選んだ場合は、高額な子育て費用が必要となることが予想されます。住宅ローンの返済も残っていると考えると、決して余裕があるとは言えないかもしれませんね。
続いて、共働き世帯のお財布事情も確認していきましょう。
共働き主婦世帯の平均年収は811万円
ここからは、同調査より、共働き世帯の家庭とお財布事情を確認していきます。
共働き世帯の年間収入と家庭のようす
年間収入:811万円
世帯主の年齢:48.5歳
世帯人員:3.43人(18歳未満人員0.99人)
持ち家率:82.9%
共働き世帯でも世帯主の年齢は48.5歳で、家族3人のうち1人が進学予定のお子さんでしょう。持ち家率は8割を超えます。
共働き世帯のお財布事情
平均貯蓄額:1304万円
〈内訳〉
金融機関:1252万円
通貨性預貯金:444万円
定期性預貯金:366万円
生命保険など:303万円
有価証券:139万円
金融機関外:52万円
平均負債額:970万円(うち、住宅・土地のための負債902万円)
純貯蓄額:1304万円-970万円=334万円
年収は811万円、専業主婦世帯に比べると134万円多い結果となりました。
やはり共働き世帯は年収も上がることがわかりました。
一方で平均貯蓄額が1304万円と、専業主婦世帯に比べて184万円少ない結果となりました。
そのため、純貯蓄額は334万円となり、専業主婦世帯よりも低い結果となりました。
これにはさまざまな要因が考えられますが、夫婦共働きで子育てをする場合、食費や外食費用などがかかる傾向にあるのかもしれません。
また共働きだからという安心感から趣味や旅行への出費が増えているのでしょう。
今回は一般的な専業主婦世帯と共働き世帯のお財布事情を確認しましたが、共働きだから貯蓄が多いとは一概に言えない結果となりました。
専業主婦・共働き家庭ともに準備が必要な老後資金
ここまで、専業主婦世帯と共働き世帯のお財布事情と家庭のようすを紐解いてきました。どちらの世帯も子育て費用や住宅ローンに追われ、なかなか貯蓄にまで手が回らない世代が多いかもしれませんね。
しかし忘れてはならないのは、将来のお金、すなわち老後のお金です。2019年に話題となった「老後2000万円問題」も記憶に新しい方も多いかもしれません。
目の前のお金のことで、頭がいっぱいになりながらも、漠然と老後に不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
そのためにも、夫婦の働き方が決まったら、合わせて「お金にも働いてもらう」ことを検討されてみてもいいかもしれません。
資産運用には「長期・分散・積立」という3つのキーワードがあります。貯蓄とは異なり、資産運用には元本保証はありません。そのため、集中的に投資をするのではなく、リスクを分散しながら積立を長期間で行えるかどうかがカギを握ります。
「老後の資金」は自分でつくる発想を
金融商品や資産運用のスタイルにはさまざまなものがあります。また、効率よくお金を育てていくためには、その中からご自身に合うものを見極める目が必要となるでしょう。
投資初心者の方の場合は、まずは情報収集からスタートしてみませんか?リスクやメリットをじゅうぶん理解したうえで、資産運用のはじめの一歩を踏み出せるとよいですね。
参考資料
厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/index.html)
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