安くはない「国公立大学」への進学。進学者の半数以上が「高校入学前」から受験勉強をスタート
LIMO / 2022年5月13日 14時50分
安くはない「国公立大学」への進学。進学者の半数以上が「高校入学前」から受験勉強をスタート
「小学校、中学校は地元の公立に行って、高校は公立の進学校、そして大学は国公立へ」ー国公立大学と私立大学の学費を見比べれば、子を持つ親の誰もが一度は考えることかもしれません。
ただ、言うは易く行うは難しで、国公立大学はやはり狭き門であることに変わりはありません。
また、国公立の大学共通テストの科目数は、現在の5教科7科目から、2025年には「情報」を加えた6教科8科目になることが公表されており、国公立大学への進学はますますハードルが高くなるといえるでしょう。
東進ハイスクール・東進衛生予備校でおなじみの株式会社ナガセは、2021年大学入試における東進生の進学先を調査し、受験勉強を始めた時期について聞いています(2021年4月28日公表)。
今どきの大学受験はずいぶん様変わりしています。どのような内容になっているのかを見ていきましょう。
高校入学前から受験勉強をスタートした国公立進学生は50.2%
2021年入試における東進生の進学先大学を「国公立理系・国公立文系・私立理系・私立文系」の4つに分類し、受験勉強スタート時期(=東進入学時期)別にみたものが以下の通りです。
高校入学前にスタートした学生のうち、国公立大学に進学した生徒の割合は50.2%と半数以上。
反面、高3スタートで国公立大学に進学した生徒の割合は33.8%と、スタート時期が早いほど国公立進学者の割合が多く、私立進学者の割合が少なくなっています。
高校入学前スタート者のうち、国公立理系に進学した生徒は35.1%。ただ、スタート時期が遅くなるにつれてその割合は減少しています。一方で、私立文系はスタート時期が遅くなるにつれて割合は増加していき、高3でのスタートは43.9%を占めています。
国公立を受験する場合、5教科7科目をカバーしなければならず、その分受験対策に多くの時間が取られてしまいます。さらに理系であれば、数学のウェイトが高い分、当初から理系を目指した学習が必要になります。
受験のスタート時期が遅くなると、科目数が少なく、数学が不要な私立文系を選ばざるを得ない状況になっているといえそうです。
先取り学習で難関大学受験に対応する中高一貫校
コロナ禍でも勢いが衰えることがない中学受験。そんな中高一貫校の魅力の1つには、中高6年間を通して、大学共通テストや難関国立大学に対応したカリキュラムが挙げられるのではないでしょうか。
もちろん、大学附属の中高一貫校であれば、内部推薦で大学進学が可能ですから大学受験は関係ありませんが、国公立大学への進学を希望するなら、納得のいくカリキュラムだといえるでしょう。
中高一貫校では、基本的に中1、中2で中学校の学習範囲を終え、中3からは先取り学習で高校の内容を学習し始めます。
高2までで高校で習う学習範囲を終わらせてしまい、高3では大学受験のための演習にじっくり時間をかけることができる内容になっています。
私立の中高6年間でかかるお金は700万円越え
魅力的なカリキュラムですが、私立の中高一貫校に子どもを通わせるには、いくらくらい必要になるのでしょうか。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、1年間でかかった学習費総額(学校教育費と学校外教育費の合計)は、私立中学が140万6433円、私立高校が96万9911円ですから、単純に6年間で712万9032円かかる計算になります。
さらに、中学受験のための通塾費用も考慮すると、中高一貫校に子どもを通わせるためには、まとまったお金が必要だといえます。
国立大学に通う学生の世帯収入は平均856万円と高め
比較的、学費が安い国立大学ですが、実際に大学に子どもを通わせている家庭の世帯収入がいくらなのかを見てみましょう。
日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査結果」によると、大学(昼間部)の家庭の年間平均収入額は、国立大学が856万円、公立大学が725万円、私立大学が838万円となっており、国立大学に子どもがいる世帯の収入が最も高いことが分かりました。
また、最も多い世帯収入の価格帯は国立大学が「800万円以上900万円未満」、公立大学が500万円以上600万円未満、私立大学が「600万円以上700万円未満」でした。
全体的に国立大学に子どもがいる家庭の収入は高いといえます。
まとめにかえて
子育て世帯にとって、悩ましい教育費。教育費の中で最もお金が必要な大学進学費用は、国公立か私立かで大きく異なります。
科目数が増えることで、受験生の負担が増す国公立大学。合格するためには、本人の努力だけでなく、親の経済的なサポートもそれ相応に必要であるといえるでしょう。国公立大学の学費は安くはありますが、子どもにかける教育費全体では、必ずしも安いわけではないとも言えます。
そして、大学共通テストや総合型選抜、学校型選抜など、大学受験を取り巻く環境は変化しています。全入時代とはいえ、行きたい大学に入れるわけではありません。
結局のところ、どこを目指すにしても、目標に向かって早い時期から準備することが1番の近道だといえそうですね。
参考資料
株式会社ナガセ「2021 年大学入試 東進生の進学先を調査 国公立大進学のカギは早期スタート 高校入学前スタート者の半数以上が国公立大進学」(https://www.toshin.com/news_release/uploadFiles/NewsReleases/6d3da61829255931a419da4497f05f949a6a6682f71786df9198af6ce601b92920210428104210.pdf)
独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/2020.html)
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」(https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00102.html)
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