【教育IT】文部科学省がすすめるGIGAスクール構想とは。目的や現状、問題点も解説
LIMO / 2022年5月26日 17時50分
【教育IT】文部科学省がすすめるGIGAスクール構想とは。目的や現状、問題点も解説
急速にIT技術が発達する日本において、教育分野ではIT化から取り残される現状が続いていました。
こうした状況を打破するために、教育にもIT技術を取り入れる動きが進められています。
「GIGAスクール構想」という言葉を聞いた方もいるかもしれません。今回は令和の教育現場で起こっている教育のIT化やGIGAスクール構想の概要、その問題点等についてまとめていきます。
教育ITとは?教員にも子どもにも必要なIT化
IT技術を活用する教育のことを、ICT教育といいます。
ICT教育とは
ICT教育とは、IT機器を活用しながら実践する教育のことです。例えばこれまでのような紙のドリルを進めるのではなく、計算ドリルソフトなどを活用して、個別の能力に合わせた問題を解くことなどがあります。
「パソコンを使いこなす」ことばかりに意識がいきがちですが、ITはあくまでも手段です。目的はこれまで通り学力の向上であり、そのためのツールとしてITを役立たせるのが、ICT教育の本質といえるでしょう。
教員の負担を軽減するためのIT化
教育現場ではITの波に取り残された部分も多く、これが教員の負担を増す原因でもありました。働き方改革という面でも、教育のIT化はとても意味のあることなのです。
授業を進める上でも効率化が図られますし、問題作成や成績処理でもIT化が進んでいます。これらが進むことで、教職員の業務効率をあげる狙いもあるのです。
文部科学省がすすめる「GIGAスクール構想」とは
ICT教育では2018年度~2022年度にかけた「教育のICT化に向けた環境整備5カ年計画」が立てられましたが、これと並行して2019年12月、文部科学省では「GIGAスクール構想」が打ち出されました。
GIGAスクール構想のGIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、「全ての子どもたちにとってグローバル人材・革新を起こせる人材になるための入り口」を意味します。
これまでの教育で「ノートと筆箱」が必需品だったように、令和を生きる子どもにとってPC等の端末は必須アイテムとなりました。
GIGAスクール構想のもと、児童生徒1人につき1台のPCやタブレット等が配布されるよう進められています。
こうした動きは見られる一方、ICT教育にはまだ多くの課題が残っているのも事実です。
教育ITの現状
文部科学省によると、学校のICT環境整備状況は脆弱かつ危機的な状況だとされています。
教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数を調べた調査では、都道府県により格差が見られたのです。
佐賀県では1.9人/台なのに対し、愛知県では7.5人/台でした(2019年3月現在)。
これを受け、「児童生徒に1人1台端末」及び「高速大容量の通信ネットワーク」を整備することが急務とされています。
2023年度末までには整備が求められていますが、予算の問題もありすべての学校で実現したわけではありません。
ハード面の整備はこれからどんどん進むことが求められます。
【教育IT】ソフトや指導体制も課題に
いくら環境が整備されても、中身が伴わなければ意味がありません。
教員自身が子どもに指導する際に身につけるべき知識も増えるため、これまでITと無縁であった業務に関しては最初の負担が高まります。
1人1台端末があるとはいえ、具体的にどう活用させればいいのかわからない
遠隔授業のやり方がわからない
こうした声が現場の教職員からは上がっています。
現場の指導体制を支えるための施策として、文部科学省では「ICT活用教育アドバイザー」「GIGAスクールサポーター」「ICT支援員」を派遣しています。
ICT活用教育アドバイザー
国が各教育委員会等に手配する専門家です。
ICT環境の効果的な活用を促進するため、指導方法や方針の策定等、専門的な助言や研修支援などを行う人で、大学教員や先進自治体職員など、教育の情報化の知見を有する人が務めます。
GIGAスクールサポーター
国の補助金により各教育委員会等が活用できる専門家です。サポーターを募集・配置し、学校における環境整備の初期対応を行うのが主で、ICT関係企業の人材など、特にICT技術に知見を有する人が務めます。
ICT支援員
各教育委員会等が支援員を募集・配置し、日常的な教員のICT活用の支援を行う制度です。
支援員は業務に応じて必要な知見を有する人が務めます。
教育のIT化には課題が残るとはいえ、国として対策が始まっています。今後ますます教育分野でのIT化は進んでいくでしょう。
まとめにかえて
文部科学省がすすめる教育のIT化についてまとめてきました。
国の構想はあるものの、実際に実施するのは各自治体です。まだ多くの事例が集まっていない現状では、都道府県での格差は続く可能性もあります。
しかし令和を生きる子どもにとって、ICT環境の整備は必要不可欠だと言えるでしょう。日本の学校の授業におけるデジタル機器の使用時間は、OECD加盟国で最下位です。
世界と渡り合う子どもを育てるためにも、都道府県が足並みを揃えて進んでいくことが望まれます。
参考資料
文部科学省「GIGAスクール構想について」(https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_0001111.htm)
文部科学省「ICT活用教育アドバイザー、GIGAスクールサポーター、ICT支援員の概要」(https://www.mext.go.jp/content/20201030-mxt_jogai01-000010768_002.pdf)
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