60歳の住宅ローン、平均残高は600万円。定年後の返済負担が重い時、どんな救済策があるのか
LIMO / 2022年5月28日 6時50分
60歳の住宅ローン、平均残高は600万円。定年後の返済負担が重い時、どんな救済策があるのか
近年は、定年を間近に控えた60代でも住宅ローンを抱えている世帯が増えているといいます。
30代後半や40代で35年ローンを組むと、60代に入っても返済が長く続くことになります。
これには、晩婚化や出産年齢が上がったことも影響しているかもしれません。
定年後も十分な収入があったり、貯金がしっかりあったりすれば問題ないかもしれませんが、老後資金に余裕がない場合はどうしたらいいのでしょうか。
今回は、60代の住宅ローン残高、さらにローンが残る家庭の老後資金について考えてみました。
1. 60代の住宅ローン残高の平均
まわりの60代世帯は、どのくらい住宅ローンを残しているのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」の「各種分類別データ(令和2年)金融負債の状況等」から、世帯主が60歳代の住宅ローン残高を確認してみます。
【平均:619万円(中央値:500万円)】
50~100万円未満:1.8%
100~200万円未満:0.9%
200~300万円未満:1.8%
300~500万円未満:8.8%
500~700万円未満:6.2%
700~1000万円未満:12.4%
1000~1500万円未満:14.2%
1500~2000万円未満:4.4%
2000万円以上:3.5%
多くの人が属すると思われる中央値は500万円です。
退職金などのまとまったお金があれば完済も間近と感じられる数値かもしれませんが、1000万円以上の住宅ローンを残す世帯も全体の2割以上いると思うと、想像以上に住宅ローンが残っている印象を受けるのではないでしょうか。
2. 老後に突然お金が必要になった時の救済策
年金生活で住宅ローンの返済を続けることは大きな負担でもあります。
しかし、老後に突然お金が必要になるケースもあるでしょう。
そのようなときは、自宅(=不動産)を活用して老後資金を確保することができます。
十分な貯金などがない場合、自宅を担保とした借り入れを行うことができるのです。
ただし、住宅ローンの残債が減っていることが条件となることもあるので、まずは自分の住宅ローンの状況を整理・確認してみましょう。
2.1 不動産担保ローン
不動産を担保に借入をするローンです。
無担保ローンよりも金利が低く長期の借入が可能ですが、万が一返済不可能となった場合は自宅を失うリスクがあります。
また、事務手数料や不動産鑑定費用などの費用が数十万かかり、融資の実行までに1週間程度の期間が必要です。
2.2 リバースモーゲージ
自宅を担保に借入をする高齢者向けのローンで、債務者の死亡後に自宅を売却し、元本を返済する仕組みです。
子どもなどに家を残す必要がない場合に適しており、資金を調達しながら住み続けることができます。
融資枠内で一括・または定期的に融資を受け、返済は利息だけと負担は軽いですが、長生きした場合は存命中に融資限度に達してしまったり、金利の上昇で返済額が膨らんでしまったりするリスクもあります。
また、土地の評価額などで融資がされない場合もあるので注意が必要です。
3. 返済額が大きく毎月の負担が苦しい時の救済策
老後に住宅ローンの返済が難しくなった場合は、毎月の負担を減らすために返済額を抑える方法を検討することが大切です。
また、なんらかの事情で完済の見通しが立たなくなったときも以下のサービスを利用し、生活を立て直すこともできるはずです。
3.1 リ・バース60
対象年齢満60歳以上の高齢者向け住宅ローンで、年金収入のみの方でも利用可能です。
通常の住宅ローンとは違い、毎月利息分のみ支払うので負担が軽くなるのが特徴です。
元金は債務者が亡くなったときに現金で一括返済するか、不動産を売却して返済するかを選べます。
3.2 リースバック
不動産売買と賃貸借契約が一体となった契約のことで、自宅を売却後も家賃を払うことで同じ家に住み続けることができます。
資金繰りが苦しくなると自宅の売却を検討する方も多いですが、引っ越しは避けたいという人にもおすすめです。
しかし、売却価格は市場価格よりも安くなる傾向にあります。
4. 60歳からのローンも可能。しっかり考えた上での行動を心がけましょう
コロナ禍による経済への影響も大きく、働き方や収入の維持に不安を抱えている方も少なくありません。
老後に住宅ローンが払えなくなるのではという恐怖を抱えている方も、複数の回避方法を知っておくだけで少しは安心感が得られるのではないでしょうか。
核家族が増え、かつてのように家を残すことが重視されなくなってきている現代、『家を自分たちの代で使い切る』という意識をもつと老後の暮らしにも余裕が生まれるかもしれません。
リ・バース60のように高齢者向けのローンも選択できる今だからこそ、自分の暮らしと将来の老後資金を見据えつつ、しっかり考えて行動をとりましょう。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」各種分類別データ(令和2年)金融負債の状況等 31.住宅ローン残高(仮借金額回答世帯)(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2020/20bunruif001.html)
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