【生涯賃金】学歴・企業規模別でどのくらい違うのか男女別に確認「退職金」の違いも
LIMO / 2022年6月3日 14時50分
【生涯賃金】学歴・企業規模別でどのくらい違うのか男女別に確認「退職金」の違いも
「生涯賃金」大学・大学院卒、高専・短大卒、高校卒の違いとは
学歴が必要か否かは、人によって意見が分かれるものです。
「仕事には学歴は必要ない」と考える人もいれば、「学歴はあるに越したことがない」と考える人もいるでしょう。
今回は学歴の違いによって収入にどれほど違いが生じるのかという「生涯賃金」に焦点を当てていきます。
労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2021」には、学歴別、企業規模別の生涯賃金について想定されています。どのような内容になっているのかを見ていきましょう。
※生涯賃金…1人の労働者が生涯にわたって得られる賃金の総額のことです。ただ、過去に受け取った賃金の総額を調べた調査結果はないため、既存の統計から推計して算出されています。
生涯賃金「大学・大学院卒、かつ企業規模1000人以上」が最も高い
学校卒業後、同じ企業でフルタイムの正社員を続けた場合の60歳までの生涯賃金(退職金を含めない・2019年)は以下の通りでした。
男女とも、大学・大学院卒の生涯賃金が最も高く、「男性が2億8780万円、女性が2億4030万円」でした。学歴の違いによる生涯賃金の差は、男性より女性の方が大きく見られます。
次に、企業規模別に生涯賃金を見てみましょう。
先ほどの学歴別生涯賃金について、さらに企業規模別に算出したものが上記です。男女とも、最も生涯賃金が高かったのは「大学・大学院卒」かつ企業規模が「1000人以上」で、男性が3億1480万円、女性が2億5870万円。
企業規模が大きくなるほど、生涯賃金も高くなっています。
たとえば大学・大学院卒の男性の場合、企業規模「1000人以上」では3億1480万円に対して、「10~99人」では2億2254万円と、生涯賃金に9200万円以上の開きが見られます。
加えて、企業規模「1000人以上」の高専・短大卒が2億8060万円、高校卒が2億8120万円、企業規模「100~999人」の高専・短大卒が2億3620万円、高校卒が2億3890万円という結果に。
こちらを見ると、学歴より企業規模の方が生涯賃金に大きく影響しているといえそうです。
退職金制度がある企業は約8割
続いて、60歳の定年時にもらえる退職金についても見てみましょう。
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」の退職給付(一時金・年金)制度によると、「退職給付(一時金・年金)制度がある」企業の割合は80.5%。
さらに、退職金制度の形態では、「退職一時金制度のみ」に企業が73.3%と最も多く、「退職年金制度のみ」が8.6%、「両制度併用」が18.1%となっています。
【退職金制度の形態別】
退職一時金制度のみ…77.3%
退職年金制度のみ…8.6%
両制度併用…18.1%
退職給付(一時金・年金)制度を企業規模別で見てみると、「1000人以上」が92.3%、「300~999人」が91.8%、「100~299人」が84.9%、「30~99人」が77.6%となっています。
「1000人以上」「300~999人」といった規模の大きい企業の9割以上で退職給付(一時金・年金)制度があるのに対して、企業規模が小さくなるにつれて、退職給付制度がある企業の割合は低くなっています。
退職一時金「大学・大学院卒」は1897万円。学歴別による差はいくらか
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」の退職給付(一時金・年金)の支給実態によると、「勤続35年以上かつ45歳以上」の定年退職者に対して、支給したまたは支給が確定した退職給付額を退職金給付制度の別で見ると、次の通りでした。
「大学・大学院卒(管理・事務・技術職)」では、「退職一時金制度のみ」が1897万円、「退職年金制度のみ」が1947万円、「両制度併用」が2493万円。
「高校卒(管理・事務・技術職)」では「退職一時金制度のみ」が1497万円、「退職年金制度のみ」が1901万円、「両制度併用」が2474万円。
「高校卒(現業職)」では、「退職一時金制度のみ」が1080万円、「退職年金制度のみ」が1524万円、「両制度併用」が1962万円でした。
退職一時金制度のみを採用する企業が8割弱ですから、「退職一時金制度のみ」の金額を見ると、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)が1897万円、高校卒(管理・事務・技術職)が1497万円、高校卒(現業職)が1080万円と、学歴による金額差が見られます。
生涯賃金に影響する要因はさまざま
生涯賃金は学歴によって違いがありますが、それ以上に働く会社の企業規模の方が、生涯賃金に大きく影響するようです。ただ、中小企業が大部分を占める日本では、そもそも大企業で働くこと自体が非常に狭き門だといえます。
一方で、コロナ禍を経て週休3日制の導入や副業を認める企業など、雇用形態や働き方が変化しつつあり、大企業だから給料は右肩上がりで安泰とも言えなくなってきています。
ただ、会社からの給料だけでなく、起業や副業、投資などお金を得る手段はいろいろありますから、学歴だけに捉われることなく、さまざまな能力を身につけることが生涯賃金というより生涯収入に繋がるといえるのではないでしょうか。
参考資料
労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2021」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2021/documents/useful2021.pdf)
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/index.html)
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