「介護保険が適用されるサービス」にはどんなものがある?種類と内容をわかりやすく解説!
LIMO / 2022年6月5日 14時50分
「介護保険が適用されるサービス」にはどんなものがある?種類と内容をわかりやすく解説!
自宅と施設に分けて受けられる介護保険サービスを確認
介護保険が適用されるサービスについて調べると、情報量が多く、何をどうやって使ったらいいのか戸惑うと思います。
そこで、利用シーンごとに分けて、どんなサービスがあるのか種類と内容を簡潔にまとめました。介護保険サービスの内容を理解するための手引きとしてご活用ください。
「介護保険サービス」とは
介護保険を利用して受けられる介護サービスのことを「介護保険サービス」といいます。介護保険が適用されると、原則、介護サービス料金の1割負担(所得が高くなると2割、3割負担)で利用できます。
介護保険サービスを受けるには、要支援認定(1~2段階)、要介護認定(1~5段階)を受けている必要があります。介護の度合いによって受けられるサービスが決まっています。
要支援認定:介護予防サービス(予防給付)を利用できる
要介護認定:介護サービス(介護給付)を利用できる
施設に入居して介護を受ける施設サービスは、原則「要介護認定者」でないと利用できません。
「要支援認定者」は介護サービス(介護給付)ではなく、要介護状態への進行を防ぐ目的を持つ介護予防サービス(予防給付)となります。予防給付の場合、施設サービスが利用できないなど、利用できるサービスに制限があります。
要支援・要介護の認定を受けたら、「どんな介護サービスを受けるか」「どういった事業所を選ぶか」について、ケアマネージャーと相談してサービス計画書(ケアプラン)を作成します。それに基づきサービスの利用が始まります。
介護保険サービスは大きく分けて2つに分類できます。「自宅を拠点にしたサービス(居宅サービス)」と「施設に入居して受けるサービス(施設サービス)」です。それぞれどんなサービスがあるのか見ていきましょう。
【介護保険サービス】自宅を拠点にしたサービスとは
まずは自宅を拠点にしたサービスを見ていきましょう。
1.訪問介護(ホームヘルプ)
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪問し、食事・排泄・入浴などの介護(身体介護)や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活の支援(生活援助)をおこないます。
2.訪問入浴
自宅にある浴槽での入浴が難しくなった人のために、看護職員や介護職員が自宅を訪問し、持参した浴槽によって入浴の介護を行います(介護予防サービスでの利用も可)。
3.訪問看護
利用者の心身機能の維持回復を目的として、看護師などが疾患のある利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて療養上の世話や診療の補助を行います。主に要介護度が上昇し、医療的なケアが必要になった場合などに利用します。(介護予防サービスでの利用も可)
4.訪問リハビリテーション
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが自宅を訪問し、心身機能の維持回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います(介護予防サービスでの利用も可)。
5.夜間対応型訪問介護
夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問するサービスです。夜間帯(18~8時)に定期的な訪問を受け、排泄の介助や安否確認などのサービスを受けることができる「定期巡回」と、夜間に急に体調が悪くなったなど、緊急時に対応をする「随時対応」の2種類のサービスがあります。
6.定期巡回・随時対応型訪問介護看護
日中・夜間を通じて、定期的な巡回や随時通報への対応など、必要なサービスを必要なタイミングで提供します。また、訪問介護員だけでなく看護師なども連携しているため、介護と看護の一体的なサービス提供を受けることもできます。
自宅にいながら施設に通うサービス5つ
次に、施設に入居して受けられるサービスを確認しましょう。
1.通所介護(デイサービス)
自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として、デイサービスセンターなどの施設に日帰りで通います。施設では食事や入浴などの日常生活上の支援のほか、リハビリテーションやレクリエーションなども提供し、送迎は施設が行います。
2.通所リハビリ(デイケア)
通所介護と同じく送迎サービスが付き、リハビリテーションの施設(介護老人保健施設、病院、診療所など)に通ってリハビリを受けるサービスです(介護予防サービスでの利用も可)。
3.地域密着型通所介護
通所介護(デイサービス)は利用定員19人以上のデイサービスセンターとなりますが、地域密着型通所介護は、利用定員19人未満の小規模のデイサービスセンターとなります。日帰りで食事や入浴、リハビリなどのサービスを受けます。利用者はその施設がある市区町村に住んでいることが条件となります。
4.療養通所介護
療養通所介護は常に看護師による観察を必要とする難病、認知症、脳血管疾患後遺症等の重度要介護者又はがん末期患者を対象にした通所介護(デイサービス)です。医師や訪問看護ステーションと連携して、サービスが提供されます。
5.認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護は認知症の利用者を対象にした専門的なケアを提供する通所介護(デイサービス)です。認知症の利用者が通所介護の施設(デイサービスセンターやグループホームなど)に通い、日常生活上の支援やリハビリなどのサービスを受けます(介護予防サービスでの利用も可)。
「訪問・通い・宿泊」を組み合わせたサービス2つ
訪問や通い、宿泊を組み合わせる方法もあります。具体的に確認しましょう。
1.小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、利用者の選択に応じて施設への「通い」を中心とし、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組合せた地域密着型のサービスです(介護予防サービスでの利用も可)。
2.看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)は、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問(介護)」に加えて、看護師などによる「訪問(看護)」も組み合わせることができるデービスです。「介護」と「看護」の一体的なサービスの提供が受けられます。
短期間の宿泊や福祉用具の使用も
その他のサービスも確認しましょう。まずは短期間の宿泊です。
1.短期入所生活介護(ショートステイ)
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに短期間宿泊してもらい、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練などを行うサービスです。利用者の心身機能の維持回復、および家族の介護の負担軽減などを目的としています。短期入所生活介護(ショートステイ)の連続利用日数は30日までとなっています(介護予防サービスでの利用も可)。
2.短期入所療養介護
医療機関や介護老人保健施設、介護医療院に短期間入所してもらい、日常生活上の世話や医療、看護、機能訓練などを行うサービスです。療養生活の質の向上、および家族の介護の負担軽減などを目的としています。短期入所療養介護(ショートステイ)の連続利用日数は30日までとなっています(介護予防サービスでの利用も可)。
この他に福祉用具も介護保険の適用となります。
1.福祉用具貸与
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、車椅子や特殊ベッドなどの福祉用具をレンタルするサービスです。
2.特定福祉用具販売
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、レンタルには適さない福祉用具(腰掛便座、入浴補助用具など)を販売します。
【介護保険サービス】施設に入居して受けるサービス
では次に、施設に入居して受けられるサービスを確認していきましょう。
1.介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
寝たきりや認知症などで常に介護が必要で、自宅での生活が難しい方のために、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供します。原則、要介護3以上の認定を受けた方が対象です。介護保険が適用になるのは施設サービス費であり、この他に食費、居住費、日常生活費が別途必要となります。
2.介護老人保健施設(老健)
在宅復帰を目指している方のために、可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、医学的管理のもと、リハビリテーションや必要な医療、介護などを提供します。在宅復帰が前提のため一定期間の入居となります。
3.介護医療院
長期にわたって療養が必要な方のために、療養上の管理、看護、介護、機能訓練など、医療的ケアと介護を一体的に提供します。
4.特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)
指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供します。上記3つの介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院は公的な介護施設になりますが、特定施設入居者生活介護は介護保険の指定を受けた民間の介護施設が提供する介護保険サービスのことをいいます。
民間の介護施設とは、介護付き有料老人ホーム、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、ケアハウス(軽費老人ホームの一種)などが該当します(介護予防サービスでの利用も可)。
【介護保険サービス】地域密着型サービス
地域密着型サービスは原則、その施設がある市区町村に住民票があることが入居の条件となります。小規模な施設で介護サービスを提供します。
1.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症の高齢者を対象にした専門的なケアを提供するサービスです。地域住民との交流のもとで、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などのサービスを受けます。グループホームでは、1つの共同生活住居に5~9人の少人数の利用者が、介護スタッフとともに共同生活を送ります(介護予防サービスでの利用も可)。
2.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
入所定員30人未満の介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が、常に介護が必要な方の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練、療養上の世話などを提供します。
3.地域密着型特定施設入居者生活介護
介護保険の指定を受けた入居定員30人未満の有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供します。
ケアマネージャーに相談を
たくさんある介護保険サービスの中でどれを選んだらいいのか、どんな使い方をしたらいいのか最初は戸惑うことでしょう。しかしそこは介護のプロ、ケアマネージャーにお任せできます。
要支援・要介護認定を受けると、担当事業者のケアマネージャーによってケアプランを作成します。この時にケアマネージャーに本人の希望、家族の希望を伝えて、最適なケアプランを作成してもらいましょう。
不安や疑問などあったら何でも相談しましょう。納得いかない場合はケアマネージャーを変更することもできます。信頼できるケアマネージャーを見つけて、介護生活を無理なく安心して送れる環境を整えていきましょう。
参考記事
厚生労働省:公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/)
厚生労働省老健局:介護保険制度の概要(https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf)
外部リンク
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