大卒の新卒で3年以内の離職者割合と2年で退職した女性のその後。「まずは3年」は正しいのか
LIMO / 2022年6月15日 14時50分
大卒の新卒で3年以内の離職者割合と2年で退職した女性のその後。「まずは3年」は正しいのか
新卒(大卒)で「入社3年以内に辞める人」業種別や過去30年間の推移とは
新卒で入社された方は仕事をはじめて2カ月が過ぎ、だんだん慣れてきたと実感している頃ではないでしょうか。
一方で、「思っていたのとは違う」「自分に合わないかもしれない」と悩まれる方も中にはいるでしょう。
もしかしたらこの仕事は合わないかもしれないと思っても、転職を思いとどまる一つに「まずは3年」という考えがあります。
転職をしたいけれど、まだ社会人になったばかりだし、3年は頑張ったほうがいいのかもしれないと悩んでいませんか。
実際に若い世代の離職率について見ながら、2年で辞めたAさんのその後も見ていきます。
大卒で「入社3年以内に辞める人」は約3割
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況を公表します」によると、2018(平成30)年3月の新卒の離職率は以下の通りです(2021年10月22日公表)。
平成30年3月新卒の離職率:1年目・2年目・3年目(合計)
中学卒:35.8%・12.5%・6.8%(55.0%)
高校卒:16.9%・11.9%・8.1%(36.9%)
短大卒:17.9%・13.0%・10.6%(41.4%)
大学卒:11.6%・11.3%・8.3%(31.2%)
大卒の離職率は31.2%という結果に。大卒の場合、1年目と2年目で辞める人が11%台、3年目が8.3%です。
「大卒で入社3年以内に辞める人」事業所規模と業種別の割合とは
同資料より、事業所規模と業種による違いも見てみましょう。
まずは事業所規模別の大卒の就職後3年以内の離職率です。
上記を見てわかるように、「5人未満」が最も多く平成30年3月卒で56.3%と半分以上。
事業所の規模が大きくなるほど減っていき、「1000人以上」では24.7%です。
これは業務量や業務時間、また給与や福利厚生なども関係しているのでしょうか。
産業別の離職率も確認します。
全体の合計は平成30年3月卒で31.2%
平成30年3月卒をみると最も多いのは「宿泊業、飲食サービス業」で51.5%とおよそ半数(その他を除く)。次に「生活関連サービス業、娯楽業」(46.5%)「教育、学習支援業」(45.6%)「医療、福祉」(38.6%)。
少ないのは「電気・ガス・熱供給・水道業」(11.1%)「鉱業、採石業、砂利採取業」(11.5%)「製造業」(19.0%)「金融業、保険業」(24.2%)でした。
国税庁の「令和2年分 民間給与実態調査統計」によれば、業種別に平均給与で最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」(715万円)「金融業、保険業」(630万円)です。
業種を見ると給与の高さや安定性も関係していることが考えられます。
過去約30年間の新卒離職者(大卒)はどれくらいか
同資料より、1985(昭和62)年~2018(平成30)年の大卒の就職後3年以内離職率の推移を確認しましょう。
上記を見ると、1995(平成7)年~2015(平成30)年は基本的に約3割で推移しています。リーマンショックが起きた翌年2009(平成21)年のみ28.8%ですね。それ以前も基本的には20%台半ば~後半で推移しています。
早く辞めるとなると「今どきの若者は…」なんて言葉も意識していますが、大卒で入社3年以内に辞める人の割合は昔からさほど変わらないようです。
2年で退職した女性のその後
これまでの結果を見ると、入社3年以内で辞める人は昔からおよそ3人に1人いること、その割合は事業所や業種によって異なることがわかりました。
昔から言われている「まずは3年」が正しいかどうかは、その理由によって異なるでしょう。
大卒で大手金融機関に就職したAさんは、「まずは3年」に悩んだものの2年で退職。
実際に仕事をする中で向き・不向きややりたいことが明確になり、その後パートやフリーランスを経て無事希望の職種へ就職したそうです。
その間に出産を経験し、産前は意識していなかった出産・育児による仕事への影響も感じたとのこと。
転職エージェントにも相談をしていたAさんは、「未経験の職業に就きたいなら20代がベスト。もしくは30代前半までが良い」と言われたそう。
「共働きが増えていますが、女性の場合はまだ出産・育児にキャリアが影響されることが多いのも現実。ライフイベントも考慮しながら、やりたいことやできること・できないことを明確にして早めに決断した方がいいかもしれない」と感じたようです。
新卒3年以内に離職する理由はさまざま。大切なのはその理由と、自身の適性や希望と向き合うことかもしれません。
結局、何が正解かは後にならなければわからないもの。
「まずは3年」という言葉だけに惑わされず、これを機に長い目で自分の人生について考えみるのもいいでしょう。
参考資料
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」(https://www.mhlw.go.jp/content/11652000/000845829.pdf)
国税庁「令和2年分 民間給与実態調査統計」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2020/pdf/000.pdf)
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