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2022年【キラキラネーム】はどうなる?法律が変わる影響や改名手続きとは

LIMO / 2022年6月18日 17時50分

2022年【キラキラネーム】はどうなる?法律が変わる影響や改名手続きとは

2022年【キラキラネーム】はどうなる?法律が変わる影響や改名手続きとは

1990年代頃から子どもに個性的な名前をつける、いわゆる「キラキラネーム」が増えてきたとされています。子どもに強烈な名前をつける親の存在が知れ渡るきっかけとなったのが、1993年から1994年にかけて起きた「悪魔ちゃん騒動」です。

国会でも親の命名権や名前の付け方などが議論されるほど物議を醸しましたが、その一方で「他の子と違う名前を付ける」という考え方が浸透していきます。

そんなキラキラネームが法改正により転換期を迎えようとしています。

デジタル化で戸籍に「氏名の読み」を記入することに

出生届には氏名の読みを記入する欄がありますが、現行の戸籍にはありません。しかし、官公庁でデジタル化が進んでおり、それに伴い戸籍の申請書に読み仮名を記載する法改正が行われる予定です。

中間試案の3案はいずれも、許容範囲の程度はあるものの「キラキラネーム容認」とメディアが報じ、注目を集めています。また、複数の報道メディアでは、法務省関係者の話として「光宙」を「ピカチュウ」と読むのは認められる方針だと紹介しています。

一目で読めない名前を持つ子どもも珍しくなく、こうした流れを受けて法務省の審議会でもキラキラネームの存在を念頭に置いて審議会を開き、試案をまとめているといえます。

それでは、「キラキラネームが認められた」という風潮で報じられることで個性的な名前の子が増えるようになるのでしょうか。

筆者も実際に子育てをしていますが、「素直にそのまま読める名前の子」の方が年々少数派になっていることを感じます。「クラス全員の子の名前の読み方を一発で当てた」という方はほとんどいないでしょう。

同じ漢字だけれど読み方が違う、というのはよくありますし、逆に同じ名前だけれど漢字が違うということも珍しくありません。

そのため、戸籍に関する法改正が施行されても、一気にキラキラネームが増えることは考えにくいです。すでに個性的な名前を持つ子がたくさんいます。

研究対象にもなっているキラキラネーム

インターネット上では「キラキラネームだと就職活動に不利」「名前と成績の関係性」などを指摘する声も散見しますし、キラキラネーム当事者の悩みも検索すればすぐに見つけられます。

もちろん、噂の域を超えないものもありますが、実は「特徴的な名前のある子」というのは大学といった研究機関での調査対象にもなっていることはあまり知られていません。

東京理科大学の荻原祐二助教授が2021年に発表した「近年の新生児の名前を初見で正しく読むことは難しい~18種類の「大翔」、14種類の「結愛」~」では、2004年から2018年に生まれた新生児の名前を対象にその傾向を調査、分析しています。

「名前に使用できる漢字の読みに制限がなく、漢字の一般的な読みや名のりに加えて、自由に読みを与えられる点が挙げられます。これは、日本と同じように名前に漢字を用いている一方で、ほとんどの漢字が決まった読み方をする中国とは異なります」

とあるように、日本での漢字の読み方も学校では「このように読む」と教えられますが、名づけ方に関してはその考えが崩れています。例えば「騎士」で「ナイト」と名前をつけるほど、漢字に対するルールが寛容的な空気が漂っています。

また、一括りに「特徴的な名前」と言っても、やはり程度はさまざまです。通常の読みとは違うけれど浸透している名前もあれば、漢字の意味を英語の読みにしていたり、完全に当て字で読み方を聞かない限り判読不可能な名前もあります。

研究の中でピックアップしている「大翔」では18種類、「結愛」は14種類もの読み方に分類されていると指摘しています。全く同じ漢字であっても多様な読み方ができる時代になっています。

このように言語学的な視点に立つと、「名前と漢字」というのは興味深いテーマです。そして、多くの人が関心を寄せるもはや都市伝説化している就職や成績との関連性が調査される日もくるかもしれません。

改名の手続きの認知をあげることも必要

何かと話題を呼ぶキラキラネームですが、当然ながら名前を付けられた子どもは生まれたばかりの赤ちゃんですし、名前を選ぶことは不可能です。特徴的な名前だから故に、成長する中で周りから揶揄されたりして不快な気持ちになる可能性もあります。

子を思い、命名した親の気持ちも理解したいが、子ども自身が精神的に追いつめられているならば改名も現実的な選択になります。法律的には改名は15歳以上であれば自分で手続きが可能です。

出所:裁判所「名の変更許可の申立書(15歳以上)」

裁判所の公式ホームページには「正当な事由によって、戸籍の名を変更するには、家庭裁判所の許可が必要です」と明記されています。正当な事由とは「名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合」となっています。

申立書の申し立ての理由の記入欄では、

奇妙な名である

正確に読まれない

同姓同名者がいて不便である

異性とまぎらわしい

外国人とまぎらわしい

神官・僧侶となった(やめた)

通称として永年使用した

その他

から理由を選ぶことになり、名前を変更する具体的な事情を記します。

家庭裁判所での手続きとなると、普通の生活を送っていると別世界のような場所で「改名は難しい」と感じてしまいます。しかし、制度上は15歳以上なら申し立てができるのでそこまでハードルは高いものではありません。

大切な我が子の未来を考えたい

「我が子に特別な名前を」という気持ちが、読みにくい名前の増加を助長しました。その反面、全ての子どもが自分の名前に誇りを持つのかと言われれば、そう断言できない面もあります。

生まれてきたばかりの我が子への、最初のプレゼントが命名です。

目の前の乳児ではなく、成長し社会人になり老齢になっても子どもが名乗っていても恥ずかしくないような名前をつけることが、本当のプレゼントと言えるのではないでしょうか。

参考資料

法務省「戸籍法等の改正に関する中間試案」(令和4年5月17日)(https://www.moj.go.jp/content/001373661.pdf)

東京理科大学教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部 荻原祐二助教授「近年の新生児の名前を初見で正しく読むことは難しい~18種類の「大翔」、14種類の「結愛」~」(https://www.tus.ac.jp/today/archive/20210705_2485.html)

裁判所「名の変更許可」(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_20/index.html)

裁判所「名の変更許可の申立書(15歳以上)」(https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/2019_nanohenkou_m.pdf)

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