50歳代女性の約8割が就業。老後2000万円問題の意識も?
LIMO / 2022年11月6日 6時50分
50歳代女性の約8割が就業。老後2000万円問題の意識も?
50歳代は教育費に介護、老後資金などお金の不安が尽きない
50歳代は年収がピークに達する人が多い年代であるものの、子どもの進学費用や親の介護費用など出ていくお金が多いことも事実。
また、定年退職まで残りわずかという50歳代には「老後資金問題をクリアしなければならない」という焦りが他の世代よりも出てきます。
そうした中、50歳代女性の中には「子育てが落ち着いたし再就職したい」といった思いを抱えながらも、年齢を理由に一歩踏み出せない人もいるでしょう。
そこで今回は、50歳代の女性の就業事情について考えていきましょう。
50歳代は「出費がもっとも多い年代」という見方も
50歳代は老後資金づくりのラストスパートだという意見も少なくありません。
一方で「50歳代は出費がもっとも多い年代」であり、思うように貯蓄できないという見方もあります。
親が50歳代になる頃には子どもがある程度自立できる年齢に達する家庭も多く、親離れ・子離れしている家庭も多いでしょう。とはいえ、ほとんどの場合、この年代になると教育費の負担がピークに達します。
子どもが大学に進学する場合、学費や下宿代などで4年間にわたって年間100万円以上かかることも珍しくありません。
また、高齢の親を経済的にサポートしたり、介護費用の一部を負担したりというご家庭もあります。
大きな出費が続くために月々の給料やボーナスを貯蓄にまわせないばかりか、これまでに貯めてきたお金を切り崩して生活の足しにしているご家庭も多いです。
50歳代女性の約7~8割が働いている
厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」によると、2019年における50歳代女性の就業率は50~54歳で約80%、55~59歳で70%前半です。
女性の就業率が最も高い年代は25~29歳で82.1%、30歳代になるとわずかに下がるものの、20~54歳までの女性の就業率はほぼ横ばいといえるでしょう。
「50歳代女性の再就職が難しい」という見方はウワサにすぎないのか?
世間では、歳を重ねるにつれて新しい職場で働き始めることが難しくなるという声も少なくありません。
しかし、以下のデータを参照する限り、50歳代女性の再就職の難易度は他の年代と比べて大差ないと言えるかもしれません。
厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」によると、50~54歳の入職率は10%、離職率は10.2%、55~59歳の入職率は7.8%、離職率は9.1%です。
50歳代前半は入職率と離職率にほとんど差がなく、50歳代後半についても入職率と離職率の差は1%弱にすぎません。
あわせて、入職者の割合に占めるパートタイム労働者の割合についても確認しておきましょう。
50歳代の女性の入職者に占めるパートタイムの割合は半数以上におよびます。
同年代の男性の入職者に占めるパートタイムの割合が2割前後であることを考慮すると、パートタイムで働く女性の多さは注目すべき点と言えるでしょう。
入職する女性の半数以上がパートタイムを選択する事情として、正社員で再就職することの難しさだけでなく、各家庭の事情があることも考慮しなければなりません。
50歳代になると子育てが落ち着いてくるとはいえ、お子さんが中高生の場合は塾の送迎やお弁当作り、学校行事など、育児にあてなければならない時間は少なからずあります。
また、子どもの年齢にかかわらず、家事や介護などを自身の役割として考える女性は現代においても多くいます。
多くの女性が仕事において自己実現よりも「家事との両立」を重視している?
経済産業省 中部経済産業局「女性の就業意識に関する調査報告書」によると、女性が勤務先を選ぶにおいて重視する条件として多いのは下記の5項目です(上位5項目を抜粋)。
通勤がしやすいこと 45.7%
給与の額が希望に一致すること 37.2%
勤務時間が合う、都合に合わせて勤務できること 31.4%
希望する曜日が休日であること 30.4%
希望する雇用形態であること 27.7%
上位にランクインした5つの条件に共通するのは、ライフスタイルに合わせた働き方ができるかにかかわるという点です。
特に、通勤のしやすさを重視する女性が多い傾向に。家事と仕事を両立している女性にとって、通勤時間は重要なポイントになります。
また、通勤時間が短ければ、それだけ長い時間働けると考える女性も少なくないはずです。
一方、「勤務先が希望する業種であること」(21.7%)や「これまでの自分のキャリアが生かせること」(5.5%)は、前述の条件の下にランクインしています。
【老後2000万円問題】50歳代パート主婦の奮闘ぶりは社会現象にも!?
2021年秋、老後2000万円問題が題材となった映画「老後の資金がありません!」が公開され、多くの観客から共感を呼びました。
この映画の主人公である後藤篤子(天海祐希)は53歳のパート主婦。篤子は自由奔放に振る舞う家族を傍らにして節約に励みます。
自分のために使うお金といえば、月額5000円のヨガ教室程度。使い古したバッグを片手にした彼女はショーウィンドウに飾られたバッグに憧れを抱くものの、購入をためらいます。
篤子のように「家族の暮らし」や「老後資金の準備」を優先し、自分のことを後まわしにしてしまう主婦の方は少なくないと見受けられます。
まとめにかえて
50歳代の就業率は意外と多く、また入職率も低いわけではありませんでした。
ただ仕事に家事に介護や老後準備にと、日々奮闘される方々が多いでしょう。
一日の中で「ほっと一息つく時間」も大切にしてみてくださいね。
参考資料
厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」(https://www.mhlw.go.jp/content/000735866.pdf)
厚生労働省「-令和3年雇用動向調査結果の概況-」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/22-2/dl/gaikyou.pdf)
経済産業省 中部経済産業局「女性の就業意識に関する調査報告書」(https://www.chubu.meti.go.jp/b32jinzai/jinzai_bank/anketo_zyosei.pdf)
映画「老後の資金がありません!」公式サイト(https://rougo-noshikin.jp/)
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