1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

【介護費用】特別養護老人ホーム(特養)は「年金」だけで生活できるのか。月額費用を計算

LIMO / 2022年11月15日 5時50分

【介護費用】特別養護老人ホーム(特養)は「年金」だけで生活できるのか。月額費用を計算

【介護費用】特別養護老人ホーム(特養)は「年金」だけで生活できるのか。月額費用を計算

負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)を使った場合の月額費用も計算

高齢の親の収入が「年金のみ」という場合には、「年金だけで入居できる介護施設はあるのか?」「年金だけで費用がまかなえるのか?」と不安を覚える方もいるでしょう。

介護施設の中でも「特別養護老人ホーム」は、年金だけで入居できる場合があります。

本記事では、ケアマネジャーである筆者が特別養護老人ホームの費用について、年金だけで入居できるのか、またできない場合の対処方法についてご紹介します。

国民年金と厚生年金の平均受給額はいくらか

まずは年金の支給額を確認しておきましょう。

以下は、2020年度の国民年金と厚生年金受給額の平均年金月額です。

出所:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

国民年金で5万円台、厚生年金で14万円台となっています。

特別養護老人ホーム(特養)の主な費用3つ

次に、特別養護老人ホームへの入居にかかる費用をご紹介します。

特別養護老人ホームは公的機関のため、入居一時金などの初期費用は必要ありません。必要な費用は月額費用のみです。その内訳は以下の通りです。

施設介護サービス費

介護サービス加算

居住費

食費

日常生活費(その他費用)

以下で詳しく解説します。

特別養護老人ホーム(特養)の費用1.施設介護サービス費

施設介護サービス費は、施設で介護を受ける際にかかる費用です。要介護度が高くなるほど負担額が増額し、居室のタイプによっても金額に違いがあります。

以下は、要介護度と居室タイプ別での自己負担額の一覧です。

要介護度・居室タイプ別の介護福祉施設サービス費自己負担額(30日間)

出所:厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)」をもとに筆者作成

「多床室/従来型個室」の要介護度1で1万7190円、要介護度5で2万5410円でした(30日間)。

特別養護老人ホーム(特養)の費用2.介護サービス加算

介護サービス加算は、サービスの提供体制や利用者の状況等に応じて加算される費用のことです。その金額は施設や入居者の方の状態によって変動します。

特別養護老人ホーム(特養)の費用3.居住費・食費

特別養護老人ホームの居住費と食費については、厚生労働省が1日あたりの「基準費用額」を定めています。

居室タイプごとの居住費と食費の基準費用額は以下の表のとおりです。

特別養護老人ホームの居住費の基準費用額(日額(30日間))

出所:厚生労働省「令和2年度全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料 補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み」をもとに筆者作成

たとえば従来型個室で3万5130円、食費は4万3350円となっています。

特養は年金だけで入居できるのか?ケース別に解説

特別養護老人ホームに入居すると、毎月どのくらいの費用が必要となるのでしょうか。

前述した特別養護老人ホームの費用をもとに、介護度と居室タイプ別の月額費用の目安を解説し、年金だけで費用をまかなうことができるのか確認しましょう。

月額費用の目安①:要介護3・居室タイプ「多床室」の場合

出所:筆者作成

月額費用の目安②:要介護5・居室タイプ「ユニット型個室」の場合

出所:筆者作成

上記の通り、要介護3の方では約10万円、要介護5の方では約14万円の費用が必要です。

このことから、厚生年金を受給する方の場合は、年金だけで毎月の費用をまかなうことができますが、国民年金のみを受給する方では難しいと言えるでしょう。

年金だけで特養が払えない場合の対処法2つ

年金だけで費用をまかなえない場合には、次のような対処法があります。

軽減制度を利用する

生活保護を受給する

以下で詳しく解説します。

年金だけで払えない場合の対処法1.軽減制度を利用する

特別養護老人ホームで利用できる軽減制度には「負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)」と「高額介護サービス費」があります。

負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)

負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)とは、所得や資産等が一定以下の方に対して、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給される制度です。

その対象者と利用者負担段階は以下の表の通りです。

出所:厚生労働省「サービスにかかる利用料」より筆者作成

利用者負担段階別の負担限度額(日額)は以下の通りです。

出所:厚生労働省「サービスにかかる利用料」より筆者作成

負担限度額は所得段階、施設の種類、部屋のタイプによって異なります。

たとえば、「第2段階で要介護3、居室タイプ「多床室」」の方の月額費用は次のようになります。

出所:筆者作成

先ほどの計算では9万8360円でしたが、負担限度額認定(特定入所者介護サービス費)を受けると5万2160円まで下がりました。

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、同じ月に利用した介護サービスの、利用者負担の合計額が高額になり一定額を超えたときに、超過分が「高額介護(介護予防)サービス費等」として支給される制度です。

なお、この制度は申請を行うことで支給を受けられます。該当する人はサービス利用後に自治体から通知書と申請書が届くため、受け取ったら速やかに申請手続きを行う必要があります。

年金だけで払えない場合の対処法2.生活保護を受給する

年金だけで費用を支払えない場合、「生活保護の受給」も対処法のひとつです。

ただし、生活保護を受給したい場合は、世帯年収の最低生活費に満たないことが条件となっているなど一定の条件を満たす必要があります。

生活保護を受給して特別養護老人ホームに入居したい場合は、自治体の担当窓口やケアマネジャーに相談してみるといいでしょう。

まとめにかえて

特別養護老人ホームは公的施設のため、費用が安く抑えられています。

年金だけでも毎月の費用はまかなえますが、国民年金だけを受給している方では難しい場合があります。

年金だけで支払うことが難しい場合には、所得に応じて負担を軽減できる制度の活用や、状況次第では自治体に生活保護の相談をすると良いでしょう。

参考資料

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000925808.pdf)

厚生労働省「介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)」(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000728262.pdf)

厚生労働省「令和2年度全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料」(https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000282/282180/4-01-1-1seidokaiteinosannkousiryou.pdf)

厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください