東京在住・65歳以上高齢者の貯蓄と収入はいくらか

東京に住む高齢者の暮らしとは

内閣府「令和4年版高齢社会白書（全体版）」によると、都市規模別に見た65歳以上人口指数は大都市が133.4と最も高く、次いで「人口30万人以上の都市（大都市を除く）」で124.4（平成27（2015）年=100）。

出所：内閣府「令和4年版高齢社会白書（全体版）」

最も低いのは「人口5万人未満の都市」で89.7となっており、都市規模が大きいほど65歳以上の人口が増加する見込みとなっています。

この要因にはさまざまなことが考えられますが、そもそもの人口の多さや年齢を重ねるほど都市部のほうが暮らしやすいと考える方も多いでしょう。

では、東京都に住む高齢者はどのような暮らしをしているのでしょうか。

今回は東京都福祉保健局の令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」より、東京都の65歳以上の在宅高齢者6000人のお金事情をみていきます。

東京都在住・65歳以上高齢者の主な収入源は「年金と仕事」

同調査より、まず東京都在住の65歳以上の高齢者に主な収入源を聞いたところ、「公的な年金・恩給」が 77.9％、次いで「仕事による収入」が 28.7％、「私的な年金（企業年金、個人年金など）」が22.6％でした。

出所：東京都福祉保健局　令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」

2010年（平成22年度）調査と比べた変化をみると、「公的な年金・恩給」の割合は約15ポイント減少となっています。

年金は昨年度より0.4％減額されましたが、年金だけに老後生活を頼る動きはだんだんと減っているようですね。

一方で、「私的な年金（企業年金、個人年金など）」は10ポイント以上増加しているのがわかります。

東京都在住・65歳以上高齢者の3人に1人が就業。年収100万円台が最多

一般的には65歳で年金の受給スタートとなりますが、東京都在住の65歳以上高齢者のうち、仕事をしているのは31.6％とおよそ3人に1人でした。

出所：東京都福祉保健局　令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」

本人の年収をみると、「100万円以上200万円未満」が25.7％で最多に。

出所：東京都福祉保健局　令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」

次に「200万円以上300万円未満」が21.7％、「50万円以上100万円未満」が17.0％、「300万円以上500万円未満」が12.8％でした。

収入がある人（4515人）に主な収入源を聞いたところ、「公的な年金・恩給」の割合が60.0％で、「仕事による収入」は16.9％となっています。

65歳以上・東京都在住は「貯蓄」をいくら持っているか

では、貯蓄はいくら保有しているのでしょうか。

預貯金・信託・債権・株式・保険などをあわせた貯蓄は「3000万円以上」が17.0％と最も高く、次いで「1000万円以上 2000万円未満」が14.2％、「500万円以上 1000万円未満」が13.7％でした。

出所：東京都福祉保健局　令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」

一方で、「貯蓄はない」と11.4％が答えており、貯蓄が大きく二極化するのがわかります。

出所：東京都福祉保健局　令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」

老後の生活費を大きく左右するのが「住居費」ですが、同調査では78.6％が持ち家となっており、借家・賃貸住宅などが17.7％でした。

借家・賃貸住宅では「民間賃貸住宅」が11.4％、「都・区市町村の区営賃貸住宅」が1.8％、「都市再生機構・住宅供給公社などの公的賃貸住宅」が1.7％、「高齢者向け住宅」が1.7％などとなっています。

まとめにかえて

東京に住む65歳以上高齢者の7割以上は貯蓄が2000万円未満となっており、その生活は決して楽ではないことがわかりました。

収入における年金の割合が減っているため、その分、早くから貯蓄を手厚くしておく必要性は高いでしょう。

また、65歳以上を超えても働く人は3人に1人おり、収入のうち「私的な年金」が占める割合が増えていました。老後資金に備えるためには、今後「仕事」と「私的年金」が特に重要なポイントとなってきそうですね。

今回の統計を参考にしながら、老後資金の計画や住まい、仕事についても考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

東京都福祉保健局　令和2年度東京都福祉保健基礎調査「高齢者の生活実態」（https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/chosa_tokei/zenbun/reiwa2/r2gaiyou.files/gaiyou.pdf）

内閣府「令和4年版高齢社会白書（全体版）」（https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/04pdf_index.html）