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アウディが先陣、自動運転車が「レベル3」になると何ができる?

LIMO / 2017年12月20日 21時25分

アウディが先陣、自動運転車が「レベル3」になると何ができる?

アウディが先陣、自動運転車が「レベル3」になると何ができる?

長距離ドライブが増える帰省シーズンに考える

スマホを見ながらの長距離ドライブには「レベル3」が必要

普段はあまり長距離ドライブをしなくても、年末年始の帰省時などには車を使うことを検討される方も多いのではないでしょうか。特に家族で移動する場合は、コスト面での優位性は見逃せないポイントです。

たとえば、東京から京都へ行く場合、新幹線では大人1人で片道1万3,080円(普通車自由席正規料金)に対して、東京-京都間(約430キロ)のETC料金は通常料金で9,900円(休日割引で7,210円)、燃費10km/リッターでガソリン単価が130円であればガソリン代は6,000円弱です。

よって、2人以上で移動するのであれば、自家用車を持っていれば車のほうが断然お得ということになります。

もちろん移動時間では、新幹線のぞみで約2時間20分、車では、渋滞に全く巻き込まれず、かつ休みなしという前提でも高速道路で約4時間半はかかりますので、新幹線が圧倒的に優位です。

また、車の長距離運転には“疲れ”がつきものです。また、運転者は運転に集中しなくてはならず、スマホなどを見ることはできません。このことが自動車で移動することの大きなハードルとなっているのではないでしょうか。

そこで期待されるのが、今、話題となっている「自動運転技術」です。ただし、スマホを見ながら移動するためには、「レベル3」という日頃あまり耳にしない自動運転機能が必要と言われています。

では、いったいレベル3とはどのようなものなのか、また、いつから使えるようになるのか、今回はそのことについて考えてみたいと思います。

自動運転には「レベル1」から「レベル5」までのランクがある

自動運転技術は、米国自動車技術会(SAE)による定義が一般的となっており、自動運転機能のない一般の車が「レベル0」であるのに対して、自動運転車は以下の1から5のレベルに分けられています。

レベル1(運転支援):自動ブレーキなどのアダプティブクルーズコントロール(ACC)が装着された車

レベル2(部分的な自動運転):部分的な自動運転が可能だが、運転者は常に監督することが必要

レベル3(条件付き自動運転):「高速道路のみ」といった条件がついた自動運転車。ただし、緊急時には運転者の支援が必要

レベル4(高度自動運転):高度な自動運転車。ドライバーが関与しない完全自動化を実現

レベル5(完全自動運転):完全な自動運転車。ドライバーも不要

最近では、軽自動車にも自動ブレーキが標準装備されてきています。このため、レベル1は、もはや当たり前の技術として普及が進んでいると言えます。

また、レベル2も米国の高級EV車である「テスラ」や、日産の「セレナ」には搭載されており、既に普及段階に入っています。ただし、車はハンドル操作や加減速をサポートするだけで、運転手は常にクルマを監督し、ハンドルに触れていることが求められます。

また、万が一、事故が起きた場合の責任の所在も、一般的な自動車と同様に、レベル2までは運転者に帰属します。このため、運転をしながらスマホや読書に没頭することは原則としてできないことになります。

レベル3で先陣を切るアウディ

このように、自動運転の技術レベルは、数字が大きくなるほどドライバーの運転への関与義務が少なくなり、ドライバーの運転操作からの解放が進むことになります。つまり、技術的な難易度だけではなく、法整備の重要性も高まることになるわけです。

このため、1年くらい前まではレベル3以降の実用化はまだまだ先と考えられていました。しかし、2017年夏にアウディが市販車で初めてレベル3相当の自動運転機能を搭載した新型セダン「Audi A8」を発表したため、状況が一変してきました。

実際に自動運転が可能となるのは2018年から、また、法律が整ったドイツの高速道路のみで、最高速度は60キロまでという「条件つき」とはなりますが、Audi A8はアクセル、ブレーキ、ハンドルの操作全てをシステムが行い、緊急時を除くと運転者の操作は不要となります。

日本での発売時期は現時点では未定ですが、こうした車を日本でも運転することができるようになれば、スマホを見ながらでも長距離を車で帰省することが可能になるでしょう。

日本でのレベル3の実現は2020年頃から

もちろん、日本の自動車メーカーもレベル3の開発を進めています。

トヨタ自動車(7203)では、「Highway Teammate」と呼ばれる自動運転システムの開発を進めていますが、2020年をめどに、高速道路での合流、車線維持、レーンチェンジなどが可能なレベル3相当の自動運転車の市場投入を目指しています。

また、日産自動車(7201)では、「プロパイロット3.0」と呼ばれるレベル3相当の自動運転技術を2020年までに実用化するとしています。

さらに、本田技研工業(7267)でも、2020年をめどに高速道路でのレベル3相当の自動運転を実用化する考えを示しています。

まとめ

2020年というとまだ先のようですが、来年はもう2018年であり、あと2年しかないというところまできています。また、少し前まではSFの世界のように考えられていた自動運転も、人間ではなく、車が主体となるレベル3の時代がもうすぐそこまできています。

もちろん、本格的な普及が進むためには、事故時の責任問題の明確化など、法整備の拡充が進むことなどが条件となります。ただし、こうしたハードルを乗り越えられなければ、レベル3よりもさらに難易度が高いレベル4、レベル5へと進むことはできないでしょう。

このため、2018年は、先陣を切るAudi A8が事故を起こさずに順調に普及が進むのか、またレベル3における時速60キロなどの条件がさらに緩和されるのかといった点に注目していきたいと思います。

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