クックパッドの業績は減益だが、株価反転のきっかけは何か
LIMO / 2017年12月24日 20時15分
クックパッドの業績は減益だが、株価反転のきっかけは何か
仕事で忙しい時に、また新メニューに挑戦したい時も、料理のシーンに欠かせなくなった「クックパッド」。一方で同社の業績は2017年12月期は第3四半期累計(1-10月期)で見ると減収減益となっています。いったい何が起きているのでしょうか。決算データを見ながらその背景について見ていきたいと思います。
クックパッドの業績はどうなっているのか
同社の2017年12月期第3四半期(以下、Q3)累計決算は、売上収益が対前年同期比▲17%減、営業利益は同33%減でした。2016年12月期通期は対前年度比で増収減益決算であったものの、2017年12月期は現状9カ月間ではありますが、減収減益となっています。
足元の業績は減益が続いているとはいえ、同社の収益率は非常に高いものがあります。2017年12月期Q3累計決算で見ると、営業利益率はなんと40%を超えています。減収減益ではありますが、これぞメディア事業という高い収益率を実現しているといえるでしょう。
クックパッドの事業構成はどうなっているのか
では、高収益体質のクックパッドの売上収益(売上高)はどういった事業で構成されているのでしょうか。
再び2017年12月期Q3累計決算で見ていくことにしましょう。
同社には「インターネット・メディア事業」と「その他事業」があり、売上収益のほとんどを上げているのが「インターネット・メディア事業」です。
そのインターネット・メディア事業において、全社の売上収益のうち約66%を占めるのは「会員事業」です。同事業はクックパッドのプレミアム会員の売上によるものです。また、「広告事業」は全社売上収益の約30%で、この2つの事業で全体の約95%を占めることになります。
したがって、同社の業績やそれに伴う株価の動きを考える際には、この2つの事業の推移や展開について見ていればよいということになります。
もはや国民的サービス! 国内クックパッド平均月間利用者数は5,500万人超
国内のクックパッドの平均月間利用者数は2017年12月期Q3時点で5,528万人。2016年12月期Q4時点の6,416万人から減少しているとはいえ、いまだに5,000万人を大きく超えるユーザーが同社のサービスを利用していることになります。
国内のユーザーのうち半分以上がスマートフォンブラウザを利用しており、料理シーンでスマホが欠かせないアイテムになっていることもうかがえます。
スマホなどで利用されることが多い国内クックパッドですが、その日次利用者数は2017年12月期Q3では約500から600万人のレンジで推移しています。主婦や仕事を持つ女性、料理に興味がある男性などを含めて毎日この人数が利用しているというのは、もはや国民的サービスといっていいのではないでしょうか。
そのサービスに掲載される国内のレシピ数は2017年12月期Q3時点で278万品。現在でも伸び続けています。
海外でクックパッド利用者の多いのはどこか
クックパッドのサービスはもはや国内だけではありません。海外でも既に多くのユーザーが同社のサービスを利用しており、2017年12月期Q3時点で2,924万人の海外ユーザーがいます。
国内の5,500万人超という規模には及びませんが、クックパッドがここまで多くの海外ユーザーに利用されていると知って驚かれる方もいるかもしれません。
では、どの地域で海外のクックパッドは利用されているのでしょうか。実は最もユーザー数が多いのが「インドネシア語圏」で、1,000万人以上のユーザーが利用しています。
インドネシア語圏に次いで多いのが「スペイン語圏」、続いて「アラビア語圏」となっています。日本発のサービスがこうした「英語圏」以外で大きく活用されているのは非常に興味深いところです。
また、海外のレシピ数は103万品。今後、様々な言語圏の中でどこまで伸びていくのか楽しみなところです。
クックパッドの収益を支える事業の足元
国内のプレミアム会員数は約194万人。2017年12月期Q1時点で195万人超であったことを考えると減少していることになります。
では、冒頭に見た会員事業と広告事業について見ていきましょう。
まず会員事業です。やや分かりにくいのですが、会員事業は会員事業売上とレベニューシェア売上から構成されています。会員事業売上については2017年12月期Q3の売上は対前年同期比で増収であるものの、レベニューシェア売上が減収となっています。
また、広告事業の売上も減少傾向となっています。広告事業はネットワーク広告、ディスプレイ広告、タイアップ広告から構成されます。2017年Q3の対前年同期比で見ると、タイアップ広告とディスプレイ広告の減収傾向が目立ちます。
広告事業の季節性としては、過去の傾向を見ると、これまでQ4(10-12月期)が最も大きな売上高を計上していますが、2016年12月期Q4の広告事業の売上高は2015年12月期Q4のそれよりも減少しているため、2017年12月期Q4の売上高が要注目です。
クックパッドの業績と株価を考える際に何に注目すべきか
国内のプレミアム会員数が伸び悩んでいることから、様々な影響も出ているのではないかと推測できますが、これから同社が戦略的に注力しようとしているのが国内料理動画事業です。この展開で今後ユーザーがどのように行動するのかに注目です。
また、海外事業のさらなる進展でグローバルサービスとして伸びしろが期待できるかも確認したいところです。
すでに国内では多くの顧客接点があるサービスで、また収益率の高かったサービスですが、今後の利益成長を求める際にどのような収益化モデルを展開できるのか、またそのモデルでどこまで業績が拡大できるのかが同社の株価に影響してくるといえるでしょう。
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