激震! パチンコ機器メーカーは復活できるのか
LIMO / 2018年1月2日 21時20分
激震! パチンコ機器メーカーは復活できるのか
規制強化による買い控え後の注目点を考える
規制強化がパチンコ機器メーカーを直撃
パチンコ・パチスロ関連企業の業績は、全国のホールが規制強化の動きに対応し、新台の導入に慎重になっていることを背景に厳しい状態が続いています。
ここでいう規制強化とは、ギャンブル依存症を抑制するために「のめり込み防止対策」をメーカーに求める法律の施行です。
正式には、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」(風適法)と「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」と呼ばれる法律の2004年以来14年ぶりの改正ですが、これらの法案は2017年9月に公布され、2018年2月から施行されることが決まっています。
今回の改正では、最大出玉(大当たり1回で獲得できる出玉数)がパチンコで2,400個から1500個へ、パチスロで480枚か300枚に、それぞれ約3分の2に減らされています。
また、パチンコの標準的な遊技時間を4時間と想定し、その時間内の出玉が5万円分を下回るように上限を定めています。
このように短期間で大きな出玉獲得を行うことを難しくすることで、パチンコ・パチスロの射幸性(≒ギャンブル性)を抑制し、パチンコホールをより健全な遊び場に変えていくことが目指されています。
ちなみに、パチンコホールは既に認定を受けた機器を最大で3年間設置することができますが、2021年までには新ルールに基づいた機器への入れ替えが求められています。
こうしたことを背景に、新規制に適合した新製品が出揃うまでは様子を見るという買い控え行動がパチンコホールに広がっているのです。
大幅な下方修正を行ったセガサミーと平和
では、実際にどの程度、関連企業の業績が悪化しているかを具体例で見ていきましょう。
「銀河鉄道999」「めぞん一刻 約束」などのパチンコ機を販売している平和(6412)は10月24日に業績の下方修正を発表し、2018年3月期の営業利益を321億円から115億円(前年比▲69%減)に下方修正しています。
セグメント別営業利益は、パチンコ・パチスロ機の製造販売を行う遊戯機事業が期初予想の242億円から49億円へ、また、ゴルフ場運営を行うゴルフ事業も10月の悪天候を理由に117億円から100億円へ下方修正されています。
一方、『北斗の拳』シリーズなどパチスロ機を手掛けるセガサミーホールディングス(6460)も、11月2日に2018年3月期上期決算を発表してから約1か月後の11月30日に遊戯事業の不振を主因に業績予想の下方修正を発表しています。
11月2日に発表された同社の上期営業利益は268億円と、通期予想の200億円を68億円も超過達成していましたが、わずか1か月後に行われた30日の下方修正では、通期の営業利益が130億円(前年比▲56%減)と大幅に下方修正されています。
とりわけショッキングであったことは、通期予想から上期実績を差し引いて試算される下期の営業利益が▲138億円と営業赤字に転落する見通しとなっていたことでした。
パチンコ・パチスロ関連主要5社の営業利益は4分の1に低下見込み
パチンコ・パチスロ関連企業では、上述の2社に加え、SANKYO(6417)、フィールズ(2767)、ダイコク電機(6430)といった会社が上場しています。これら3社は、これまでのところ期初予想を据え置いていますが、業界全体が不透明な状態に置かれているため、楽観はできないと考えられます。
ちなみに、業界5社合計の2018年3月期会社予想営業利益は349億円となり、前年比▲48%減の見込みです。また、下図のように、過去10年間でピークであった2011年3月期の1,493億円に比べると4分の1に低下する見込みとなっています。
2018年、パチンコ・パチスロ機器メーカーは復活するのか
では、今後パチンコ・パチスロ機器メーカーの業績は回復していくのでしょうか。
そのことを考えるために、まず、経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」から、足元のパチンコホールの設置台数や売上の状況を確認したいと思います。
設置台数については、4月から10月まで7か月連続でプラスが続いており、直近の10月は前年同期比+1%となっています。ただし、2014年から2015年は毎月2~3%の増加が続いていたことを考慮すると、底打ち傾向にはあるものの、まだ本格回復の兆しは見えません。
一方、売上高については2014年4月から連続してマイナスが続いており、10月も同▲4.2%となっています。10%を超えるマイナスが続いていた2016年3月から11月に比べると、やや下げ止まりの傾向は見られるものの、まだまだ厳しい状態にあり、「パチンコ離れ」が続いていることが読み取れます。
ちなみに、この「パチンコ離れ」は、長期のトレンドを見ることでいっそう鮮明になります。日本生産性本部の「レジャー白書」によると、パチンコ・パチスロ市場規模(貸し玉料)は、2007年(暦年)の約30兆円から、2010年には約26兆円、2015年には23兆円に減少しています。
また、ダイコク電機の調査資料によると、業界全体の粗利益の規模も、2007年(暦年)の約4.4兆円から2010年には約3.95兆円、2016年には3.11兆円へと減少が続いています。
このため、こうした長期トレンドが大きく変わらないのであれば、規制強化による買い控えが一巡しても、大幅な回復は見込み薄ではないかと考えられます。
今後の注目点
パチンコ・パチスロ市場は、低迷しているとはいえ、20兆円を超える巨大市場です。このため、一夜にしてなくなるような市場ではありません。よって、今後は”遊技機のギャンブル性が抑制されると依存対策になる”という今回の規制強化の効果が実際に表れるかを確かめると同時に、シェア拡大のために機器メーカー各社がどのような新製品を投入してくるかに注目したいと思います。
また、平和がゴルフ場運営事業に多角化したように、パチンコ以外の事業への取り組み、とりわけ、現在政府が成長戦略として掲げている「統合型リゾート(IR)」に関連する市場動向や各社の取り組みにも目配りをしていきたいと思います。
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