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ヒューマノイドが続々登場! 倒れても起き上がるカワサキのロボ

LIMO / 2017年12月28日 17時25分

ヒューマノイドが続々登場! 倒れても起き上がるカワサキのロボ

ヒューマノイドが続々登場! 倒れても起き上がるカワサキのロボ

トヨタの「T-HR3」はトルクサーボ技術が見所

産業用ロボットだけでなくヒューマノイドでも日本が先行

ロボットやヒューマノイドと聞くと、古くは『鉄腕アトム』『機動戦士ガンダム』などのアニメ作品や、『ターミネーター』『ロボコップ』などのSF映画に登場するキャラクターを思い起こすのではないだろうか。

現実の世界では、ホンダのASIMOや、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が開発しているロボットたち、大阪大学・石黒研究室の人間に近づけたリアルなロボット、ソフトバンクのペッパーが有名。ヒューマノイドの世界は日本が先行していて、産業用ロボットの世界シェアでは日本がトップだ。

50年の実績があるカワサキのロボット開発

川崎重工業(7012)は、オートバイの製造・販売だけでなく、実は産業用ロボットの世界シェアランキング上位に位置していて、歴史も50年近くあり、経験と実績がある企業でもある。

今回、東京ビッグサイトで開催された「2017国際ロボット展」では、川崎重工業と東京大学が共同で開発中のヒューマノイド(ヒト型ロボット)を公開した。2輪メーカーのヒューマノイドでは、ホンダのASIMOや、ヤマハのMOTOBOTがある。ちなみにヤマハのMOTOBOTは、バイクの操縦を行うという特化した目的で製作されたもので、両者には大きな違いがある。

川崎重工業のヒューマノイドの特徴は3つある。それは、転倒しても壊れないタフなボディを持つ「堅牢性」、部品設定、強度設計などを活用し、安心して長く使える「信頼性」、さまざまなエンジニアたちと共同で開発していくためのベースマシンとしての「オープンプラットフォーム」だ。

手すりにつかまり2足歩行するカワサキのロボ

転んでも起き上がり、壊れないカワサキの等身大ヒューマノイド

2015年に米国で開催された「DARPA Robotics Challenge(DRC)」では、出場したヒューマノイドが転倒すると、どこかが壊れてしまい、競技の続行ができないという事態が起きた。この件により、カワサキではヒューマノイドにとって堅牢性が重要なことを認識し開発に取り組んだ。

具体的には、壊れないようにするために部品の信頼性を上げ、強度設計し、衝撃を受けたときの逃し方を工夫しているという。また、壊れにくくするために、アクチュエーターを現在採用している電動から油圧に変更することも検討している。

精悍なマスクが堅牢性を表現している

重量物も軽々持ち上げ、カワサキの作業着も似合う

同社では転倒しても壊れないヒューマノイドを開発中だが、たとえ転倒しても自分で起き上がれるのも特徴の一つとなっている。将来的には、ヒューマノイドも産業用ロボットと同じく、保証付きの製品として提供することで、安心して使ってもらうことを目指す。

現段階では、二足歩行するには手すりにつかまる必要があるので、人間でいえば生後1年の赤ちゃんといったところ。なお、このヒューマノイドは、まだ名前がなく、2017年12月31日(日)まで、川崎重工業のWebサイトにて、名付け親を募集している。

大の字に寝ている状態から起き上がり、はいはいする

トヨタは片足立ちができるヒューマノイドを開発しブースは大人気

一方、トヨタ自動車(7203)が公表したのは「T-HR3」というヒューマノイド。トヨタとしてはトランペットやバイオリン演奏をしたロボから第3世代にあたるもの。楽器を演奏するという、動作の精密な位置を追求したものから、全身の力(トルク)を自在に取り扱えるロボへと進化した。

一番の特徴となるのはマスター操縦システムだ。これはT-HR3を操縦する人が、ヘッドマウントディスプレイやロボットと連動するアームを装着することで、映し出される映像を見ながら、自分と同じ動きをロボットにさせるというもの。

トヨタのT-HR3。左側にあるのがマスター操縦システムで操縦者が座る

コア技術であるトルクサーボモジュールが、内蔵された高感度のトルクセンサーによって、意図したトルクを出力できるようにモーターを制御する。これにより操縦者にどのくらいの力がかかっているのかを感じる仕組みになっている。

また、周囲の人や物などに接触しても、バランスを維持する全身協調バランス制御を実現。さらには関節の柔軟制御技術により、しなやかな動きを可能にし、2足歩行はもちろんのこと片足立ちも簡単にこなせる。

「T-HR3」は離れた場所から遠隔操作ができるため、利用シーンとしては家事や介護、育児だけでなく、建設作業、医療診断、災害地、さらには宇宙などの極地での作業などがあげられる。

トルクサーボ技術でかなり複雑な動きも楽々とこなす

AIを組み込んだ自律型ロボットと自分の分身となるアバター型ロボット

ロボット開発が進むのはとてもいいことなのだが、作家アイザック・アシモフの唱えた「ロボット工学三原則」の第一条である、「ロボットは人間に危害を加えてはならない」というのは、ぜひ守ってほしいところ。

今回紹介した川崎重工業のロボットやホンダのASIMOは自律型で、トヨタのT-HR3はアバター型ロボットと言えるだろう。どちらも人間に代わってさまざまな作業をしてくれることは同じ。カワサキとトヨタのヒューマノイド、皆さんはどちらがお好きだろうか?

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