経営危機なのに給料を上げたのはマクドナルドだけではなかった
LIMO / 2018年1月5日 20時20分
経営危機なのに給料を上げたのはマクドナルドだけではなかった
改めて考えたい「天邪鬼経営」の大切さ
大赤字でも給料を上げた日本マクドナルド社長の発言が話題に
日本マクドナルドHD(2702)のサラ・カサノバ代表取締役社長兼CEOが、テレビ東京系の経済番組である『カンブリア宮殿』で、大赤字にもかかわらず社員の給料を上げた件について発言したことがネットで話題となっています。
この番組は、最終損益が▲350億円の赤字に転落した2015年12月期からの同社の復活劇を、社長のカサノバ氏を通して描いたもので、「赤字でも給料を上げた」ことは番組の最後に語られています。
質問した村上龍氏に対して、カサノバ氏は以下のように答えています。
「私たちは人に支えられている。つまり、私たちが成功するためには、まず社員が満足しなければならない。だから給料を上げるのは当然です」
この発言は、人材をモノのように扱い使い捨てにする経営や低賃金を容認する企業が多いなかで”異質”なものと捉えられたようで、ネット上では称賛する投稿が多く見られました。
もちろん同社の復活は、給与を上げたからという単純なものではありません。
番組でも紹介されたように、前社長の原田氏に比べ、カサノバ氏はフランチャイズオーナーや従業員に対して、より丁寧なコミュニケーションを心がけたことや、積極的に現場(店舗)に出向き、顧客の生の声に耳を傾けてきたことも重要なポイントです。
番組内では、カサノバ氏が真摯に従業員や顧客と会話を行う姿が何度も紹介されています。それによって、同社にとって最も重要な資産は人であり、「マクドナルドはピープルビジネスである」という考えが多くの人に伝わったように感じられました。
そして、赤字でも給与を上げるという”常識はずれ”な策を取ったことが、同社の復活劇を象徴しているように思われます。
経営危機時に給料を増やした創業者の驚きの発言
話は変わりますが、赤字でも給与を上げたのは日本マクドナルドの社長だけではありません。
元証券アナリストの村田朋博氏の著作『経営危機には給料を増やす!(https://www.amazon.co.jp/gp/product/4532318793/ref=as_li_qf_sp_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=navipla-22&camp=247&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4532318793&linkId=791cca731e73dd3b69154f26fb0376a3)』(日本経済新聞出版社)には、甲南カメラ研究所(現社名はコーナンメディカル)という光学機器メーカーが同様なことを行い、経営を再建した例が紹介されています。
業績不振に陥った場合、普通の経営者であれば人員削減、給与削減、拠点閉鎖、営業強化などを行うことが一般的ですが、コーナンメディカルの創業者である西村雅貴氏は「給与の30%増」を宣言するとともに、「倒産は早まるので、やめたい人は仕事を早く見つけ、やめたくない人は新商品を作れ」という驚きの発言をしたそうです。
その結果、同社は新製品開発を強化することでカメラ部品から眼科用メディカル機器への業態変更を行い、経営再建に成功しています。
この著作のなかで村田氏は「天邪鬼(あまのじゃく)経営」を推奨、差別化が企業経営において極めて重要なことを説いています。つまり、不景気な時に給与を上げることも「人とは同じことはしない」という意味で、実は差別化戦略の一つであることが理解できます。
このようなことを理解すると、マクドナルドのカサノバ氏が行ったことも、異質と感じられるからこそ意味のある差別化戦略の一つであったのではないかと考えられます。
従業員が報われるためには
最近の報道によると、経団連に所属する大企業の2017年冬のボーナスは1年前と比べてほぼ横ばいだったようで、相変わらず日本の経営者は”シブチン”のようです。最近のように比較的景気がいい時でもボーナスが上がらないのであれば、不景気の時にはどうなるか今から心配になってしまいます。
また、それ以上に心配なのは、カサノバ氏や西村氏のような「経営危機でも給料を増やす天邪鬼な経営者」が、日本ではまだ少数派であることです。
右に倣えではなく、独自の考えを貫き、差別化を重視し、そのことを上手く伝えられるコミュニケーション能力が高い経営者が日本でもっと増えることが望まれます。そうなれば日本企業はより強くなり、もっと従業員も報われるのではないでしょうか。
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