初売りの風物詩、百貨店の福袋は儲かっているのか?
LIMO / 2017年12月28日 11時50分
初売りの風物詩、百貨店の福袋は儲かっているのか?
消費者は殺到するが、その満足度はいかに
正月の風物詩となった百貨店の福袋、魅力はそのお買い得感
あと数日で今年も終わりとなり、年が明けての初売りを楽しみにする人も多いでしょう。
一口に「初売り」と言っても広範囲になりますが、消費者の大きな関心を集めるのは、何と言っても百貨店の初売りではないでしょうか。そして、百貨店における初売りの最大の目玉商品が「福袋」です。今や、「百貨店の初売り=福袋」と言っても過言ではありません。
また、近年では百貨店に限らず、スーパーマーケットやユニクロなどの専門小売店でも、初売り開催時には福袋が必須アイテムとなっています。今年は元旦営業を見送る小売店も少なくないようですが、それでも、福袋に対する注目度は変わらなさそうです。
福袋の魅力は何と言ってもそのお買い得感です。しかも、通常では考えられないようなお買い得感が、多くの消費者の購買意欲を新年早々から掻き立てていると考えられます。一体、福袋はどのくらいお買い得感があるのでしょうか。
初売りで並べられる福袋は1,500種類、15万点!
百貨店で販売する福袋は決して1種類ではなく、幅広いバリエーションが用意されています。
たとえば、西武百貨店の池袋本店では、初売りには実用的なものから体験型のものまで約1,500種類、15万点の福袋が並べられるということです。この15万点の福袋を初売りセールスの3日間で売りさばくとしても、1日当り約5万点ということになります。
売れ筋は1袋1万円、中身は5~6万円相当の商品
このように百貨店で販売する福袋は多くの種類があるため、値段にも幅があります。
しかし、多くの消費者が最も欲する、いわゆる売れ筋の目玉商品的な福袋は、1袋1万円のものになっているようです。そして、この1万円の福袋には“5~6万円相当”の商品が入っているというのが特徴です。最近はもっとお買い得感が高まり、“6~7万円相当”とも言われています。
買う前に中身を確認できないという不便さはあるものの(注:最近は無理矢理に開封して中身を確認してから買う人も多いようです)、中高年女性を中心に売り場へ殺到する気持ちも理解できます。
福袋セールスで百貨店側は大赤字を計上しているのか?
どころで、この福袋ですが、百貨店側から見た採算はどうなのでしょうか? ここまで述べてきたことを踏まえると、百貨店側に利益が出ているとは考え難いものがあります。それどころか、大赤字になっている可能性もあります。
たとえば、売れ筋の1袋1万円の福袋に6万円相当の商品が入っているとします。単純に考えて1袋当たり▲5万円の赤字です。これを3日間で合計5万袋売ったとすると、▲25億円の赤字となりますが、前掲の西武百貨店の場合、渋谷や所沢など池袋本店以外の店舗でも販売することを勘案すると、少なく見積もっても▲60億円近い赤字になると試算されます。
今の時代、いくらめでたい正月の初売りとはいえ、このような“出血大サービス”をするとは到底考えらえません。
福袋の中に入っている商品の原価は意外に安い
実は、“5~6万円相当”とある商品の価格は、定価ベースと見られます。百貨店側から見た仕入価格はもっと安くなっているはずです。
福袋の商品企画は夏の終わり頃から始まり、仕入れ先に発注するのは9月頃と推測されますが、仕入れ先から見れば、小売業としては“足の長い”安定したビジネスです。しかも相応の大量購買ですから、仕入れ割引も大きくなります。商品によって異なりますが、通常の仕入れ値の半分くらいになるケースもあるようです。
さらに、福袋に入っている商品は全てが“新商品”や“流行の先端をいく商品”というわけではなく、1サイクル古い商品だったり、場合によっては在庫処分品だったりすることも珍しくないのが実情です。いざ福袋を購入してみたら、見たことがあるような商品ばかりで期待外れに終わったという人も少なくないのではないでしょうか。
それでも消費者にお買い得感、百貨店側のメリットは?
しかし、こうした事情を全て踏まえたとしても、消費者の方にお買い得感が残るのは確かでしょう。百貨店としては、仮に福袋で多少の持ち出しがあったとしても、来店したお客様が他のフロアで“ついで買い”をしてくれたり、リピーターとして再び来店してくれるならば、採算的には決して悪いものではないと考えられます。
2018年の初売りは、福袋を巡ってどのように悲喜交々となるのか注目しましょう。
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