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2017年も相次いだ大企業の不祥事、なぜなくならない?

LIMO / 2017年12月31日 10時20分

2017年も相次いだ大企業の不祥事、なぜなくならない?

2017年も相次いだ大企業の不祥事、なぜなくならない?

“たまたま”明るみに出た不祥事は氷山の一角なのか

2017年も相次いだ企業の不祥事

今年2017年も大企業の不祥事が相次ぎました。新聞やテレビのニュースなどで、大企業の不祥事を報じない日が珍しいというような状態が続きました。なぜ、毎年のように大企業の不祥事が明るみになり、そして、一向になくなろうとしないのでしょうか。

「不祥事」の定義とは。業績悪化との明確な線引きは?

まず「不祥事」の定義を、可能な限り明確にしておくことが重要です。

「不祥事」の意味ついては様々な説明が見られるものの、『一定の社会的な地位を持つ個人または団体などが起こした、社会的な信頼を失わせるような出来事』というのが一番ピッタリくるかもしれません。

そして、ここで明確に区別しなければならないのが、「不祥事」と「業績不振」でしょう。たとえば、長年の年月をかけて開発し、満を持して投入した新商品がさっぱり売れずに在庫の山となり、大赤字を計上することになった場合、これは「不祥事」とは言いません。このような事例は数多くありますし、むしろ、期待通りに売れるケースの方が圧倒的に少ないと考えられます。

もちろん、経営判断ミスとして担当者や経営陣は責任を追及されるでしょうが、企業として利潤を追求する行動であったことは間違いありません。結果的に「失敗」となったとしても、これは不祥事ではないはずです。しかし、その経営判断ミスを放置したり、その後の対応を誤ったりするならば、それは十分に不祥事と言えるでしょう。

東芝の原発事業買収は「不祥事」なのか?

2015年から金融市場で大きな問題となった東芝について見ると、歴代社長が関わってきた粉飾決算は間違いなく「不祥事」です。しかし、一連の原発事業問題はどうでしょうか? 東芝が買収した原発事業が業績の大きな足枷となり、その後の債務超過に繋がったのは事実です。

しかし、一方では、東日本大震災の発生前までは、中期的な成長牽引役として金融市場で高く評価されていたことも確かです。また、買収に関しても公正な手続きを踏んでいます。こうした事案を不祥事と呼ぶべきなのか、議論の余地はあるでしょう。

2017年に発覚した大企業の不祥事一覧

さて、そんなことに気を付けながら、2017年に明るみに出た大企業の不祥事を振り返ります。

2月~東洋ゴム工業が船舶などに使う産業用ゴム製品でデータの偽装があったと発表。

2月~事務用品通販アスクルの物流倉庫が大規模火災。完全鎮火まで12日間を要した。

3月~大手旅行会社「てるみくらぶ」が破産手続き。その後、粉飾決算が明るみに。

6月~大手自動車部品メーカーのタカタが欠陥エアバッグ問題で民事再生法の適用を申請、経営破綻。

10月~日産自動車が無資格検査を組織的に行っていたことが判明。

10月~SUBARUでも無資格検査を行っていたことが判明。

10月~神戸製鋼所がアルミ製品の一部の性能データを改ざんして納入していたことを発表。

11月~三菱マテリアルの子会社3社で品質データ改ざんを行っていたことを発表。

11月~東レが子会社で製品の検査データを改ざんしていたと発表。

12月~SUBARUで燃費データ書き換え疑惑。現在も社内調査中。

12月~JR東海のリニア新幹線事業で大手ゼネコン4社に大規模談合が発覚。

大企業の不祥事は氷山の一角

いかがでしょうか。改めて振り返ってみると、色々な不祥事があったことがわかります。しかも、ここに挙げたのは、いわゆる大企業の主だったものだけです。

ちなみに、ここに挙げたもの以外で目に付いたのは、労働問題に係るもの(不当解雇や従業員の自殺に伴う訴訟、過剰残業や賃金不払い疑惑など)が圧倒的に多かったようです。現在、政府が進める「働き方改革」と密接に繋がる問題が、不祥事となって山積したと言えるのではないでしょうか。

また、企業の組織としてではなく、従業員個々が引き起こした不祥事としては、金銭横領、情報漏えい、盗撮など迷惑行為などが大半を占めています。

一向になくならないデータ改ざんに係る不祥事

さて、今年の企業不祥事に戻ると、昨年に引き続いてデータ改ざん問題が目立ちました。

日産自動車やSUBARUで問題になった無資格検査問題も、広義の意味では数値改ざんと捉えることが可能です。しかも、こうしたデータ改善のほぼ全てが長年にわたって横行しており、一部の内部告発を除くと、今回発覚したのは“たまたま”というケースがほとんどでした。

これは逆に言うと、この先も新たな不祥事が突然に明るみに出る可能性があるということでしょう。

社会的制裁が課せられる法整備が必要

また、こうした不祥事が明らかになった企業のうち、てるみくらぶやタカタなど経営破綻したケースを除くと、その多くが社会的制裁を受けたとは言い難い状況にあります。不祥事発覚に株価が下落したり、担当役職員が責任を取って辞任したりしましたが、一過性の事象に過ぎません。これは日本国内における法整備に問題があり、厳しい社会的制裁を課す仕組みそのものが求められるでしょう。

さて、来年2018年はどのような企業不祥事が出てくるでしょうか。こんなことを楽しみにしていてはしかたありませんが、今年2017年の例にもある通り、過去の膿は早く出し切ってほしいと願う年の瀬です。

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