資産運用のアドバイス・フィーは下がるのか
LIMO / 2018年1月11日 21時40分
![資産運用のアドバイス・フィーは下がるのか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_4927_0-small.jpg)
資産運用のアドバイス・フィーは下がるのか
英国に学ぶ-そもそも「アドバイス」の定義とは
英国の資産運用に関するアドバイス市場の調査
前回の記事『ファイナンシャル・アドバイザーの生き残り策、英国での変化(http://www.toushin-1.jp/articles/-/4815)』でアドバイス・ギャップの存在に触れました。
手数料からアドバイス・フィーにシフトするなかで、資金の少ない投資家には、相対的にアドバイス・フィーが高くなることで、アドバイスを受けたくない、受けられない人が増えます。またアドバイザー自身も富裕層にシフトすることで、小口投資家が置いていかれたとも言われています。
これに対して、英国金融当局は、2015年8月に資産運用に関するアドバイス市場の調査に着手しました。これがファイナンシャル・アドバイス・マーケット・レビュー(Financial Advice Market Review;FAMR)と呼ばれるもので、2016年3月にはそのまとめとなる最終報告書が出されました。
その内容は、「消費者がアクセスしやすい環境」と「消費者が受け入れやすいサービス価格」を創ることを中心に28項目の提案でまとめられています。
「消費者がアクセスしやすい環境」を創り上げる施策のひとつとしてまとめられたのが、2017年3月にワーキング・グループから出された、「5つの経験則と促進策~英国消費者の金融健全度の改善に向けて」です(『消費者に響く「お金に関する経験則」とは?(http://www.toushin-1.jp/articles/-/4123)』を参照)。
アドバイスのコストダウン
また「消費者が受け入れやすいサービス価格」を追求する提案のもとでは、アドバイス・フィーの引き下げを図る努力が進められています。具体的には、①ロボ・アド等の廉価なアドバイス・サービスの拡大、②アドバイス・コストの引き下げ、③アドバイスの定義の明確化で無料かつ高度なガイダンスの充実、といった点に大別できそうです。
フィンテックを活用してアドバイスの自動化等を図ることやアドバイスのコスト(マーケティング、人材育成、技術開発投資、保険、法令順守のためのデータ収集、適合性確認プロセス等のコスト、法令関連コストなど)を削減することは、アドバイス・フィーを引き下げることにつながります。
オンライン上で投資一任勘定を行うロボ・アドバイザー企業が頭角を現していますし、英国金融当局は、2016年5月にフィンテックに関連するアドバイス部門を設置して、金融機関がより安価なアドバイスを提供できるようにサポートしています。
金融行為規制機構(Financial Conduct Authority; FCA)内に設置されたこの部門では、個別金融機関がフィンテック開発を進める際の規制上の要件や手続きなどを1対1でサポートし、最終的には個別サポートの結果を公開することになっています。
FAMRの報告書には「技術革新がこうしたアドバイスのコストを下げ、金融機関が消費者に対してより効率的に強固な関係を維持できるようになる」と言及しています。
アドバイスとは何か
もうひとつがアドバイスの定義です。そもそもアドバイスは料金を取る対象の「サービス」であること、その前段階の情報提供はガイダンスと呼んで区別しています。
アドバイスの定義が厳密・明確になれば、ガイダンスがしやすくなり、消費者への総合的なサービス・コストは相対的に低下するはずです。FAMRでは、「アドバイスの定義をより明確にすることによって企業が高いレベルのガイダンス(無料)を消費者に提供できるようにする」と指摘しています。
英国財務省が定めたアドバイスの新しい定義は2018年1月3日から施行され、同年にスタートする第2次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive II; MiFID II)とも整合性がとられることになっています。
ちなみにMiFID IIで定義されている個人推奨の定義は、①推奨を含んでいる、②その推奨が金融商品の売買等に関連している、③相手に適切なもの/状況を考慮してのものである、④複数の顧客に一度に提供されたものではない、⑤投資家または潜在的な投資家(またはそれぞれの代理人)に対して行われたものである――といった条件を含んでいるものとなっています。
<<これまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E9%87%8E%E5%B0%BB%20%E5%93%B2%E5%8F%B2)>>
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「水をくれ!」 株主総会で“モンスター株主”はなぜ現れる? 上場企業が覚悟すべき「投資単位引き下げ」のリスク
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月19日 9時40分
-
フィデリティ、23カ国・地域のウェルビーイングや金融行動を調査
PR TIMES / 2024年7月18日 19時15分
-
ファイナンシャル・ウェルビーイングを実現する世の中の動き
Finasee / 2024年7月18日 11時30分
-
お金の悩みに「良質なアドバイス」がもらえる!金融経済教育推進機構の「J-FLEC認定アドバイザー」の活用術【FPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月18日 11時15分
-
実は上がっている?「日本の幸福度」―世界幸福度ランキングからひも解く「お金と幸せ」のシンプルな解決策
Finasee / 2024年6月27日 12時0分
ランキング
-
1「土用の丑の日」物価高でも…あの手この手の“うなぎ商戦” 大手スーパーの目玉は「超特大」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 19時59分
-
2小林製薬、会長と社長が辞任へ…「紅麹」サプリ問題の対応遅れで経営責任明確化
読売新聞 / 2024年7月22日 21時37分
-
3「地方に多いホームセンター」が都会進出を狙う訳 人口減少が進む中、大手を軸に再編が進行
東洋経済オンライン / 2024年7月23日 8時30分
-
4世界最大級・ファンボロー国際航空ショー開幕…三菱重工など日本企業14社も出展
読売新聞 / 2024年7月22日 21時54分
-
5「最高益の会社」の株価が上がらない当然の理由 相場に影響を与えるのは過去のデータではない
東洋経済オンライン / 2024年7月22日 16時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)