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2018年も電子情報産業は絶好調〜国内生産額も回復基調

LIMO / 2018年1月22日 17時20分

2018年も電子情報産業は絶好調〜国内生産額も回復基調

2018年も電子情報産業は絶好調〜国内生産額も回復基調

投信1編集部による本記事の注目点

電子情報産業の2017年の世界生産額は前年比6%増の2兆7401億ドルと、過去最高の市場規模に達する見込みで、分野別ではディスプレー、半導体、ソリューションサービスが過去最高の生産額を記録するようです。

2018年を見据えると、IoTビジネスの台頭を背景に、スマホの高速化、あるいはクルマの電装化率向上を牽引役として、電子部品・デバイス分野のさらなる成長が期待できます。

過去最高値の記録更新が続出する電子情報産業界の絶好調を支えるのが、キラーアプリの存在で、それこそがCPS(Cyber Physical System)/IoT市場の拡大です。

「赤本」の最新版公開

電子情報技術産業協会(JEITA、東京都千代田区大手町1-1-3)は、2017年12月19日付で「電子情報産業の世界生産見通し」を公開した。

同調査レポートは、表紙が赤いことから通称『赤本』と呼ばれ、07年から年1回、継続的に実施されているもの。提示の市場数値は、JEITA会員各社からのアンケート調査結果を取りまとめ推計したもので、業界内での評価も信頼性も高く、次年のマーケット動向を探るための重要な指針となっている。

表題の電子情報産業が示唆する領域は、(1)電子機器、(2)電子部品・デバイス、(3)ソリューションサービスの主要3分野。(1)の分野は、薄型テレビやスマートフォン(スマホ)を含む携帯電話、サーバー・ストレージ、プリンター、医用電子機器など総計13種で構成。(2)は、抵抗器やコンデンサー、インダクターに代表される受動部品をはじめとする各種電子部品、ディスプレー、半導体の電子デバイス群で構成する。

そして(3)は、SI開発やアウトソーシング、ソフトウエアを示唆する。SI開発とはコンサルテーションからシステム構築を含む企画・設計・開発・納品を担う領域。アウトソーシングとはハードウエア/ソフトウエアの保守サービス・リモート監視・クラウドサービスを担う領域のことである。

18年の世界生産額は4%増

電子情報産業の17年の世界生産額は前年比6%増の2兆7401億ドルで、過去最高の市場規模に達する見込み。分野別では、ディスプレー、半導体、ソリューションサービスが過去最高の生産額を記録するようだ。

18年を見据えると、IoTビジネスの台頭を背景に、ITソリューションサービスの需要拡大とともに、スマホの高速化、あるいはクルマの電装化率向上を牽引役として、電子部品・デバイス分野のさらなる成長が期待できる。このため、18年も引き続きプラス成長が継続する見通しで、同年の世界生産額は対17年比4%増の2兆8366億ドルと推定している。

とりわけ注目は電子部品群で、半導体の使用量増大に伴い、デカップリングやノイズ除去などを担う電子部品の生産額は、これまでの過去最高値を塗り替える可能性が高いと予測する。

なお、電子情報産業界における日系企業のシェアは、17年も16年と同様、13%のシェアになると見込んでいる。

日系企業の躍進も継続

一方、日系企業の動きに注目すると、17年の海外生産分を含む世界生産額は、同5%増の38兆5403億円に達する見通し。

今後を見通すと、東京オリンピック・パラリンピック開催の20年に向けたインフラ整備の進展、ADAS(先進運転支援システム)から自動運転の域を狙うクルマの電装化加速、そしてIoT化による高機能・省エネ・高信頼性のニーズ拡大により、電子デバイス群の需要増は確実。これを後押しにプラス成長は継続し、18年の日系企業の世界生産額は同2%増の39兆2353億円に達すると推定している。

これに呼応し、日本国内での生産額も回復基調になるようだ。日系企業による国内生産額は、電子デバイスの輸出増加などを背景に、同7%増の12兆278億円で、2年ぶりのプラス成長が見込まれる。18年に関しても、医用電子機器などの国内需要回復が期待できるため、対17年比2%増の12兆2955億円と右肩上がりの成長が継続する。

CPS/IoT市場拡大への期待

過去最高値の記録更新が続出する電子情報産業界。この絶好調を支えるのが、キラーアプリの存在。それこそがCPS/IoT市場の拡大である。CPSとはCyber Physical Systemの略。

JEITAでは電子情報産業の世界生産見通し公開と同日付で、「注目分野に関する動向調査2017 CPS/IoT利活用分野別世界市場」もオープンにした。

CPS/IoTの市場規模は、16年に世界で194.0兆円、日本で11.1兆円だったものが、30年には世界で404.4兆円、日本で19.7兆円とそれぞれ約2倍の成長になると推定。ネットワークにつながる電子機器とソリューションサービスのさらなる拡大が牽引役となり、各種電子機器のIoT化率は30年に80%を超える見込みである。

利活用分野別に見ると、30年に向けて年平均の成長率が著しいと予想される分野は「農業」で、年平均20.2%と最も高い伸び率になりそうだ。農業に続くのが医療・介護の10.9%、流通・物流も10.4%の成長を見込んでいる。

日本市場のみに限定すると、流通・物流と医療・介護の利活用分野の成長が著しく、それぞれ30年までに2.4兆円、1.3兆円と大きく成長する。

両分野伸長の背景には、就労人口減少による人手不足、少子高齢化、地方の過疎化など、様々な社会課題が浮上してくる。その解決策の1つがCPS/IoTの活用で、現代社会が抱える課題と電子情報産業躍進の間には、密接な関係が生まれてきそうな気配がする。

今回、本稿で報告した「電子情報産業の世界生産見通し」と「注目分野に関する動向調査2017」の両調査レポートは、JEITA会員外でも入手できる。価格は前者が6480円、後者が3240円。詳細問い合わせは、JEITA総合企画部統計室(Tel.03-5218-1052、担当:高瀬/小島)まで。

電子デバイス産業新聞 編集部 記者 松下晋司

投信1編集部からのコメント

将来、機械が人間にとって替わるという議論が盛んになっています。これは機械が人間の仕事を奪うという側面もあるものの、日本の現実としては少子高齢化に伴う人手不足の置き換えという文脈が大きいと思われます。CPS/IoTが課題先進国である日本でどのような使い方がされるかは、両領域のアプリケーションが今後グローバルレベルで裾野を広げていくうえで大いに注目されるでしょう。

電子デバイス産業新聞×投信1編集部

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