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【就活生注目】30年前の就職先人気ランキング上位のその後は? 栄枯盛衰を株価に見る

LIMO / 2018年1月26日 20時20分

【就活生注目】30年前の就職先人気ランキング上位のその後は? 栄枯盛衰を株価に見る

【就活生注目】30年前の就職先人気ランキング上位のその後は? 栄枯盛衰を株価に見る

新年に入り、就職活動に向けて企業研究などを始めている就活生もいるのではないでしょうか。その一方で、最近ではAI(人工知能)や機械化、自動化といったキーワードが目立つようになり、自分が希望する就職先に勤めても将来が不安という方も少なくないかもしれません。

今回は、企業や産業の変遷について歴史を振り返りながら考えたいと思います。

30年前、就職人気上位の企業はどこだった?

毎年、様々な出所から学生に人気のある企業のランキングが公開されています。今回は歴史を追うにあたって、リクルートの「就職ブランド調査」のデータ(http://www.recruit.jp/news_data/library/pdf/19990419_02.pdf)をもとに見ていきましょう。

30年前の文系男子の人気ランキング

1988年当時の調査名称は「大学生男子の人気企業調査」ということで、男子のみが調査対象となっていました。まずは文系学生に人気があった企業ランキングを見ていきましょう。

同調査では上位20社が公表されていますが、ここでは産業別に整理します。

情報通信:日本電信電話(1位)

保険:東京海上火災保険(2位)、日本生命保険(4位)、第一生命保険(9位)、大正海上保険(17位)

不動産:三井不動産(3位)

銀行:住友銀行(5位)、富士銀行(6位)、三和銀行(8位)、第一勧業銀行(12位)、住友信託銀行(13位)、三菱銀行(14位)、三菱信託銀行(15位)、三井銀行(19位)

商社:伊藤忠商事(7位)、三井物産(10位)、三菱商事(11位)

運輸:全日本空輸(16位)

食品:味の素(18位)

電機:日本電気(20位)

注目すべきは、1987年2月に上場し投資家に非常に人気のあった日本電信電話(NTT)がランキング第1位となっていることです。当時も安定した企業であることは多くが認めるところだったでしょう。学生の安定志向の姿勢は、当時も今も変わらないということなのでしょうか。

また、東京海上火災保険(現東京海上日動火災保険。持ち株会社は東京海上ホールディングス)、日本生命保険、第一生命保険、大正海上保険(1991年に三井海上火災保険に名称変更。持ち株会社はMS&ADホールディングス)といった保険会社が上位を占めているのも特徴的です。

銀行は信託銀行も含めて上位20社に8つもランキング入りするなど、当時から人気の就職先だったことが分かります。とはいえ、現在の学生にはピンとこない銀行名が多いのではないでしょうか。

富士銀行や第一勧業銀行は日本興業銀行とともにみずほ銀行として統合されています。当時は、銀行がここまで再編されるとは思われていなかったでしょうが、1990年後半以降、メガバンクを中心に経営統合や再編が進むことになります。

一方、商社は現在でも人気の就職先ですが、当時はNTTや保険、銀行に押される形で、伊藤忠商事でも第7位、三菱商事は11位となっています。

30年前の理系男子の人気ランキング

では、理系学生に人気のあった就職先はどのような企業だったのでしょうか。

電機:日本電気(1位)、日立製作所(3位)、ソニー(4位)、日本IBM(5位)、松下電器産業(6位)、富士通(7位)、三菱電機(8位)、東芝(10位)、日本DEC(17位)

情報通信:日本電信電話(2位)

自動車:本田技研工業(9位)、トヨタ自動車(11位)、日本電装(15位)

建設:鹿島建設(12位)、清水建設(13位)、大成建設(18位)、大林組(19位)

電力:東京電力(14位)

機械:三菱重工業(16位)、川崎重工業(20位)

理系のランキングなので当然かもしれませんが、電機や建設(ゼネコン)が多く、かつ自動車や機械よりも人気が上位になっているのが特徴です。

人気ランキング上位の企業はその後どうなったのか

ここでは、人気ランキング上位企業の株価がどうなったかについて見てみましょう。株価は業績をそのままあらわすものではありませんが、業績と将来の成長性を加味したものと言えます。30年前の1988年3月末の株価を100として、2018年1月22日時点での株価を見てみました。

すると、株価で特徴的だったのは自動車産業です(以下、カッコ内は株価指数)。本田技研工業(471)、トヨタ自動車(429)、デンソー(日本電装、412)の株価がいずれも4倍以上になっていました。

一方で、当時人気のあった電機や日本電信電話(NTT)の株価指数は冴えません。日本電気(NEC)は30年で約7分の1の15、日立製作所は70、富士通は54、東芝は43、NTTは45となっています。

先述のように、1988年当時の理系男子の間では自動車産業よりも電機産業の方が人気がありました。ところが、30年後の株価では自動車産業の企業の方が上昇していることが分かります。この30年間、電機メーカーのリストラや事業再編の話が多かった一方で、自動車メーカーの相対的な好調さが記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

また、文系男子の人気ランキングで銀行や保険に押されていた商社も、この30年で株価は2倍以上になっています。株価指数は、伊藤忠商事(273)、三井物産(217)、三菱商事(233)という結果です。

まとめ

こうしてみると、30年前の人気ランキング中では相対的に下位にあった業種とその関連企業の株価が大きく上昇していることが分かります。30年先のことなどは誰にも分からないので、人気ランキングを意識しすぎることなく、自分に合った企業を見つけることのほうが重要だということが言えそうです。

また、個別企業の研究も必要ですが、産業の行く末がどうなるのかということも念頭に調べていく必要性があるのではないでしょうか。

現在の人気職種である銀行や自動車も、FinTech(フィンテック)や自動運転といったテクノロジーの変化により、従来の競争ルールとその中で確立された優位性が機能しない局面も想定されています。柔軟に対応できる姿勢そのものが問われていると言えるかもしれません。

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