認知症介護歴7年の筆者が教える「認知症のサインが隠れる3つの場所」年末年始の実家で要チェック!
LIMO / 2023年12月25日 10時55分
認知症介護歴7年の筆者が教える「認知症のサインが隠れる3つの場所」年末年始の実家で要チェック!
冷蔵庫・お風呂場・クローゼット「それって認知症の初期症状かも」
年末年始の帰省時は、シニア世代の親たちの変化をキャッチできる貴重な機会。特に「認知症の兆候」には早めに気づいておきたいものです。
実は筆者は、実母(80歳)の認知症の兆候に気づけなかったことを後悔している一人。今回は経験談を交えながら「年末年始の実家で確認しておきたい3つの場所」についてお話しします。
認知症のサインを早めにキャッチし、しかるべき医療や介護に繋ぐことはシニアの暮らしとお金を守る第一歩です。
※認知症の症状や進行具合はその人によって異なります。医療機関を受診し、信頼できる医師の指示のもとで、適切な療養・介護を行ってください。
「認知症のサインが隠れているかも」年末年始の実家で必ずチェックしたい3つの場所
認知症の初期症状の中には、ふだんの生活の中で見逃されがちなものが結構あるのです。
筆者の実母(80歳)は要介護3。ここ数年は認知症が進行し、母の介護生活7年目の筆者は「思えばあれが認知症の初期症状だったのか」と思い返すことが多くて……。
いつもよりもゆっくりと時が流れる年末年始。親のささいな変化をキャッチするきっかけは、いつも使うあの場所、この場所に詰まっています。
チェックしたい場所その1「冷蔵庫」
ひとつめが「冷蔵庫」です。冷蔵庫の中をのぞいてみて、以下のような状態がないかをチェックしてみましょう。
賞味切れの食品がたくさん!
食べ物の保存方法が不適切(ラップやふたのない容器に入っている、解凍肉や冷凍食品を冷蔵庫に入れている、傷んだり腐ったりした食品が入れっぱなしなど)
食品のバランスが偏っている(嗜好品ばかり入っている、野菜が少ないなど)
冷蔵庫の中に違和感を感じたら、親が栄養バランスを意識した献立をうまく考えられなくなったり、味覚や食欲が低下しているなどのサインかもしれません。
筆者の母の場合、毎日スーパーで同じものを買って冷蔵庫に放り込んでいました。
ある時期は豚肉の薄切り、ある時は牛乳。常に同じ食品が5~6つ入っている状態。ある日ショウガが10袋近く入っていたのを見て、「これは単なる物忘れとは違うのではないか?」と、主治医に相談することができました。
毎日使う冷蔵庫は、親の食生活や健康状態に関する情報が詰まっている場所。家族でも気軽に開け閉めするため、さりげなくチェックできる場所ですね。
チェックしたい場所その2「浴室まわり(脱衣場・洗面所なども)」
お風呂場は、清潔な生活ができているかを知るためにぜひチェックしておきたい場所。実家のお風呂場を見て、以下のような状態があったら少し気を付けて親の様子を見てあげると良いかもしれません。
お風呂の掃除がされていない、もしくは逆に、最近お風呂場を使った形跡がない
シャンプーやボディーソープの買い置き分が全く減っていない
お風呂に入るのを面倒くさがったり嫌がったりする
お風呂場からも、親の体や心の変化をキャッチできることがあります。
筆者の実家の場合、買い置きのシャンプーやボディーソープがずっと減っていなかったり、洗面所に置くべきハンドソープとお風呂場にあるべきトリートメントがそれぞれ逆の場所に置かれていました。
母の認知症がだいぶ進行してから推測できたのは、「一人で入浴するのが怖い」「嗅覚が衰えて自分の体臭に気づけない」などの原因が折り重なって入浴の頻度が徐々に減っていったのだろうということ。
この兆候に最初に気づいてくれたのはケアマネージャーさん、「血行やリラックスのために、訪問入浴介助のサービスはどうかと勧めてくれました。
チェックしたい場所その3「クローゼット・たんす」
筆者自身が「もっと早くチェックしておけば良かった」と後悔しているのが、実はクローゼットやタンスなどの収納。
親子とはいえお互いにプライバシーがありますから、寝室内の衣料収納を無断で開けることは、個人的には躊躇します。
「着替えを持ってきてあげる」「片付けを手伝おうか?」といった口実で、収納の中身を見る機会を自然に持てると良いかもしれません。クローゼットやたんすの中がこんな状態だったら、ちょっと注意してあげてください。
整理整頓ができていない
衣替えをした形跡が全くない
本来あるべきではないモノが隠されている
整理整頓については、もともとの性格がきちょうめんだった人ならば、すぐに気づいてあげることができそうですね。
真冬なのに夏服しか揃っていなかったり、衣類とは全く関係ない「謎の日用品」などが隠されていたら要注意。
真夏にフリースジャケットを着用!?
筆者の母のケースでは、認知症の診断が下りる数年前から「真夏にフリースや毛糸の靴下を着用」「冬になっても夏の肌掛け布団1枚で寝ている」といった現象がありました。
のちに主治医から指摘されて分かったのですが、このときすでに認知症の中核症状の一つ「見当識障害(※1)」が始まっていたのではないか、ということ。
和ダンスから大量の薬を発見
母は着物が趣味で、嫁入り道具として持たされたたいそうな和ダンスを大切にしていました。
最近ふとしたきっかけでその引き出しを開けてみたところ、樟脳のニオイがするたとう紙の中に、4~5年前の日付で処方された大量の薬を発見!
実はその頃の母は「病院から処方された薬を誰かに盗まれた」とヘルパーさんや訪問看護師さんを疑う発言を連日繰り返し、そのたびに筆者は疲弊していました。
思えばこれも認知症の典型的な周辺症状である「物盗られ妄想(※2)」からくる行動だったのだな、と。ちなみにこのあと、通帳や印鑑が入った金庫の中からも同様に大量の薬が発見されました。
※1 見当識障害:いまの場所や時間、季節が分からなくなること
※2 物盗られ妄想:大切なものをどこかにしまったことを忘れたり、紛失してしまったことを自覚できず「誰かに盗まれた」と妄想してしまうこと
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
認知症の初期症状は早めにキャッチ!親のサインを見逃さないために
今回は、年末年始の実家で「必ず確認したい3つの場所」について、筆者の経験を踏まえながらお話しました。
「いつもとちょっと違う!?」「昔はきちょうめんだったのに……」そんな違和感を覚えたら、いつもより少しだけ丁寧に、親の様子を見てあげてくださいね。
認知症は進行性の病気ですが、早期に発見することで、より適切な医療・介護に繋げることができます。
年末年始は家族が一堂に集まるよい機会。温かい食卓を囲み、話に花を咲かせる時間の前に、ちょっとだけ冷静に「3つの場所」をチェックしてみましょう。
参考資料
厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf)
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