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演繹法と帰納法、どっちがどっちだっけ?

LIMO / 2018年1月30日 17時20分

演繹法と帰納法、どっちがどっちだっけ?

演繹法と帰納法、どっちがどっちだっけ?

ロジカルな人の頭の中

 プライベートでもビジネスでも、筋道立てて結論を導き出して、それを相手に伝えようとするとき、私たちはごく自然に論理的な展開を行っています。そして、あらゆる論理的展開は「演繹法」と「帰納法」によって成り立っています。

 みなさんも、おそらく学校の授業で習ったはずの演繹法と帰納法ですが、意外とこの2つの違いを覚えている方は少ないのではないでしょうか? ここでは、『問題解決のためのロジカルシンキング』の著者、生方正也さんが、いまさら聞けない演繹法と帰納法の違い、そしてビジネスでの役立て方を解説します。

演繹法は「一般論」から結論を導き出す

 演繹的な論理展開とは、一般論や前提(ルール)に該当する事実(観察事項)から結論を導く論理展開のことで、いわゆる「三段論法」と呼ばれるものです。

 たとえば、「人は必ず死ぬ」というルールがあります。そして、「ソクラテスは人間である」という観察事項があります。この観察事項にルールを当てはめると、別添の図1に示したように「ソクラテスは必ず死ぬ」という結論が必然的に導き出されます。これが演繹的な論理展開です。

結論に違和感がある場合は「ルール」に注目!

 この演繹的な論理展開では、多くの場合ルールが省略されることになります。何度も三段論法の要領で説明していたら、聞いている側はうんざりしてしまうでしょうし、ルールを省いても、たいていの場合は不自然に感じることはありません。

 ただし、これに慣れてしまうと、主張する側が「自分の主張はどんなルールがベースになっているのか」をあまり考えることがなくなってしまいます。そうすると、少しおかしな主張をしたときに修正がきかなくなったり、同じ事実をもとに議論していても話が食い違ったりします。「そもそものルールが違っている」からです。

 そこで、特に大事な主張をする場合、「自分はどんなルールでこの主張をしているのか」を振り返ってみることが必要になります。そして、意見が食い違ったときは、一度お互いどのようなルールなのかを確認しておくと、話が平行線を辿るのを避けることができます。

帰納法は「事実」から結論を導き出す

 たとえば、Aさんは死んだ、Bさんは死んだ、Cさんは死んだ、……歴史上で死ななかった人はいない。こうした事実があったとします。これらの事実から共通していえることは、「人間は必ず死ぬだろう」というもので、これを結論として導き出します。

 別添の図2を見てください。夜間に「ビジネススクール」「ロースクール」「会計専門学校」に通うビジネスパーソンが増えているという3つの事実があったとすれば、「夜間、キャリアアップに役立ちそうなスキルを習得しようとするビジネスパーソンが増えている」という結論を導くことができます。

 

 帰納的な論理展開とは、このように、事実を積み上げて結論を導き出すやり方のことを指します。おそらく普段のビジネスシーンでも、こうした論理展開をするケースは多いでしょう。

取り上げた「事実」はそれで大丈夫?

 帰納的な論理展開をする場合、結論を導き出すために取り上げた事実の扱い方に気をつけなければなりません。そうしないと、強引に結論を導き出したような印象を与えてしまうことになります。気をつけたいポイントは次の2つです。

・ポイント1 事実の「量」

 これは「どの程度の量の事実を元にしているか」という点です。いくら事実から結論を出したといっても、ある商品のニーズを探ろうとする際に2~3人の声を聞いただけでは、説得力に欠けます。市場調査などを通じてニーズをつかもうとするのは、母数の絶対数を少しでも増やすためです。いくら論理展開として間違っていなくても、事実の量によっては、導き出せる結論にも限界があることに注意しなければなりません。

・ポイント2 事実の「偏り」

 これは「取り上げた事実に偏りがないか」という点です。よく「街角インタビュー」と称して、街で聞き取り調査をしたりすることがありますが、街の選び方にも気をつけなければなりません。学生が多い繁華街で聞き取った場合と、会社員の集まる飲食街で聞き取った場合では、ヒアリング対象者がまったく異なるので、結果はおのずと違ってくるはずです。帰納法を使うときは、自分が活用した事実や情報、データに偏りがないか、冷静に振り返っておかなければならないのです。

 また、こういった注意事項がある一方で、帰納法による論理展開では、演繹法にはない「新たな気づきや発想」が生み出される場合もあります。

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まとめ

 あらためてまとめると、演繹法と帰納法は、

・演繹法=「一般論」から結論を導き出す
→相手の話がおかしいと思ったときに、三段論法で言い直してみる。自分の言いたいことが見えてきたら、「主張」「ルール」「観察事項」に分けてみる。

・帰納法=「事実」から結論を導き出す
→いろいろなデータが集まったら、まずは「共通点は何か」を考えてみる。集めたデータから「新たな発想や気づき」を生み出してみる。

という形で仕事の中で使っていくといいでしょう。

 また、普段から、「いま自分が演繹法・帰納法のどちらを使っているのか」を意識してみましょう。そして、それぞれの特徴や注意点に気をつければ、あなたの論理はさらに質の高いものになるでしょう。

(『問題解決のためのロジカルシンキング』をもとに編集)

 

■ 生方 正也(うぶかた・まさや)

HRデザインスタジオ代表。東京大学文学部卒業。日産自動車、ウイリアム・エム・マーサー(現マーサージャパン)、グロービスを経て独立。人材開発・組織変革に関するコンサルティングや、ロジカルシンキング・仮説思考などの指導・著作活動を行っている。

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