【アラフォー世代】40歳代以上に迫り来る「親の介護」問題。考えておきたい<介護のお金と心構えのこと>
LIMO / 2024年1月4日 7時5分
【アラフォー世代】40歳代以上に迫り来る「親の介護」問題。考えておきたい<介護のお金と心構えのこと>
正月の実家で感じた「親の異変」に目を背けないで!
年末年始、帰省して親とゆっくり顔を合わせた人も多いのではないでしょうか。親に会えて嬉しい反面、「歳をとったな」と気づかされることがあったかもしれません。
団塊ジュニア世代の筆者の周りでも「親が運転する車に傷がついていて心配になった」「几帳面で整理整頓が得意なはずの母なのに、冷蔵庫に賞味期限切れの食べ物がたくさんあったり、部屋が散らかり気味で驚いた」などという話を聞くことがあります。
いつまでも元気でいるはず、と思い込んでいても親は確実に歳を重ねています。ちょっとした異変を感じたら、目を背けずにその先の適切な介護や医療に繋げていきましょう。
40歳代以上の世代に迫り来る「親の介護」問題。今回はお金の面についてもしっかり見ていきましょう。
【親の介護】平均的な介護費用はどのくらい?
いったん介護が始まると、その先の見通しは立ちにくくなります。
育児とは異なり、何年続くかわからないのがつらいところ。もちろん介護費用はひとそれぞれですが、平均額のデータを把握しておけば、「介護予備軍」にとって何らかの参考になるでしょう。
介護費用トータルの平均額「在宅で370万円、施設なら820万円」
一時的な費用の合計【平均額】:74万円
ひと月の介護費用「在宅で4万8000円、施設なら12万2000円」
生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護費用や介護期間の平均データが公表されています。
一時的な費用の合計【平均額】:74万円
月々の費用【平均額】:在宅介護4万8000円、施設介護12万2000円
介護期間:平均61.1カ月
この調査によると、介護期間の平均は約5年。その期間に月々かかる費用と一時的な費用を合計すると、在宅介護で約370万円、施設介護で約820万円という計算になります。ただし、これは「0円」の回答も含めた平均額。
在宅介護の場合は、本人の健康状態や家族と同居かどうかでも必要経費が変わってくるでしょう。いっぽう、施設介護の場合は有料老人ホームなどの民間施設を選ぶと入居時に数百万円が飛んでいくケースも少なくありません。
また、特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設は、入所希望者が多く「空き待ち」となる可能性が高いです。さらに利用費は本人世帯の収入や資産(預貯金など)の状況でも変わってきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
65歳以上の85%が「介護費用は自分でまかなうつもり」と回答
内閣府の「令和4年高齢者の健康に関する調査結果」によると、排泄などの介護が必要となった際、その介護費用を63.8%の人が「年金等の収入でまかなう」と回答しています。
「貯蓄でまかなう(18.3%)」「資産を売却する(3.1%)」と合わせると、介護費用を自分自身の資産から捻出すると回答した人は9割近いという結果になりました。
しかしながら、要介護状態が進むと本人が金銭管理を行うことは難しくなるものです。特に認知症の場合、進行とともに判断能力が低下して金融機関の口座が凍結されることもないとはいえません。
親の資産状況を把握し、その資産を守るためには、必要に応じて家族信託や任意後見などの制度の活用を検討していくのも有効でしょう。
一度の転倒が要介護に繋がる可能性も
とはいえ「まだうちの親は要介護ではないし……」と思うかもしれません。しかし、持病もなく元気だった人が、たった一度の転倒で大怪我をして要介護状態になってしまうこともあるのです。
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によると、要介護者の介護が必要になった主な原因として「認知症(23.6%)」「脳血管疾患(脳卒中)19.0%」に続き、3位に「骨折・転倒(13.0%)」があがっています。
骨折がきっかけで長期入院中に一気に認知面が低下してしまったというケースもよく聞かれます。
若い頃と違ってたかが転倒と侮ってはなりません。家の中、日頃の買い物の道中、お散歩コースに段差や危ない場所がないかなども気をつけて見ておきましょう。
アラフォー世代に迫り来る「親の介護問題」
2025年は「団塊の世代」すべてが75歳以上の後期高齢者となります。アラフォー世代にとって、親の介護や終活はもはや他人事では済まされなくなってきているのです。
育児や仕事とは違って先の見通しが立ちにくい中でも、長丁場を覚悟して「介護」と向き合わねばならない家族もいることでしょう。
要介護の状態や家族構成によってもケースバイケースでしょうが、親以上に子の世代にも心身のストレスや経済的な負担がかかってくるのは確かです。
介護する子の世代の生活基盤が崩れてしまっては元も子もありません。介護保険サービスをはじめとする社会資源を活用するなど、金銭面はもちろん、心理面での負荷もできるだけ減らせるような工夫や知恵が必要になってくるのです。
参考資料
生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)
内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf/2_3_3.pdf)
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf)
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