【介護のお悩み】80歳父、要介護認定調査の時だけ元気になります。正しい判定を受けるコツを教えてください!
LIMO / 2024年1月6日 7時30分
【介護のお悩み】80歳父、要介護認定調査の時だけ元気になります。正しい判定を受けるコツを教えてください!
「要介護認定調査の困りごとあるある」にケアマネがお答えします
年末年始の帰省時、親の小さな変化に気づき「そろそろ要介護では?」「要介護度が上がったのでは?」などと感じた人もいるでしょう。
介護保険サービスの利用するために必要なのが、どのくらい介護を必要とするかを判定する「要介護認定調査」です。
実は、介護保険の認定調査で起こりがちなのが「高齢者本人がよく見せようと頑張りすぎる」こと。今回の相談者の由美子さん(仮名・40代)も、そんな父親に悩んでいるようです。
話を聞いてみましょう。
【お悩み】80歳父、要介護認定調査の時だけ元気になります。介護度が低く認定されてしまうので困っているのですが……。
80歳になる父が、認定調査のときだけ元気になることに困っています。
調査員から「これできますか?」と聞かれると、本当はできないのに「できます!」と答えてしまったり、「やってみてください」と言われると一生懸命がんばって無理をしてやってしまったり……。
本人が元気に振る舞うので、調査員に本当のことが伝わらず、結果として介護度が低く認定されてしまいました。
正しい判定をもらうには、どうすれば良いのでしょうか?
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「要介護認定調査あるある」ですね!でもそれでは困りますよね……。
高齢者が認定調査の際に、できないことを「できる」と答えてしまったり、普段やらないことを調査員の前で張り切ってやってしまったりするのは、実はよくあることです。
ただ、実際の状態とは異なる介護度に認定されてしまうと、必要なサービスが受けられなくなったり、介護保険で利用できる費用の上限が少なくなったりするなどの影響が出るため、困ってしまいますよね。
そこで、今回は、認定調査で正しい判定を受けるための3つのコツを紹介していきます。
要介護認定調査で正しい判定を受けるためのコツ3つ
【一覧表】要介護認定で正しい判定を受けるためのコツ3つ
①家族が立ち会う
正しい判定を受けるには、調査員に普段の状態を把握してもらうことが何よりも大切です。
そのため、認定調査のときには、本人の状況をよくわかってる家族が立ち会うようにしましょう。
家族が立ち会っていれば、いつもできないことがたまたまできてしまっても、家族から調査員に普段の状態を伝えることができます。
しかし、本人の目の前で「いつもはできません」と調査員に言ってしまうと、プライドを傷つけてしまうことになりかねませんよね。
そのような場合は、やんわりと「今日はなんとかできたけど、手伝うことも多いよね」などと伝えると良いでしょう。
また、事前に調査員へ「最後に本人が聞いていないところで話を聞いて欲しい」と伝えておくと時間をとってもらえますので、その時に実際の状況を説明しましょう。
②普段の様子を記録しておく
本人が生活の中で何ができるかできないか、家族が行っている介護の内容など普段の様子を日頃から詳細に記録しておきましょう。
生活の様子をスマートフォンの動画や写真で残しておき、調査員に見てもらうのも方法のひとつです。
認定調査の時には、その記録をもとに正確な情報を伝えることができます。
加えて、普段の生活での困りごとや介護者が大変だと感じていることも忘れずに伝えてください。
調査員が重要な出来事だと判断すれば、調査票に「特記事項」として記載してくれます。この「特記事項」も正しい判定を受けるための重要な情報となります。
③調査内容を把握しておく
認定調査は「基本調査」という74項目の質問に口頭で答える形で進められます。
次々と質問されるので、何を聞かれるか内容がわからないまま調査を受けると、記憶も曖昧で焦ってしまい、正しい状況を伝えられないかもしれません。
そのため、認定調査を受ける前には、どのような質問をされるのか内容を把握しておくと落ち着いて答えることができるでしょう。
介護認定調査の主な項目とは?
では、介護認定調査の主な項目についても整理してみましょう。
【一覧表】介護認定調査の主な項目
①身体機能・起居動作
体に麻痺や拘縮があるか
寝返りができるか
起き上がりができるか
座った状態を保持できるか
片足で立てるか など
②生活機能
移動の介助が行われているか
飲み込みはどうか
食事に介助が必要か
1人でトイレに行けるか
外出の頻度はどのくらいか など
③認知機能
意思の伝達ができるか
生年月日・年齢を答えられるか
自分の名前が答えられるか
自分がいる場所を答えられるか など
④精神・行動障害
物を取られたなど被害的になるか
作り話をすることがあるか
昼夜逆転があるか
大声出すことが頻繁にあるか
介護に抵抗することがあるか
ひどい物忘れがあるか など
⑤社会生活への適応
お金の管理ができるか
介助なしに薬を飲めるか
介助なしに買い物ができるか
簡単な料理ができるか など
認定調査で質問される項目の詳細は、厚生労働省がウェブサイトに掲載しています。
初めて介護認定調査を受ける場合などは、一度目を通しておくと良いでしょう。
介護認定のやり直しは可能?
要介護認定の結果に納得いかなかった場合、介護認定のやり直し(再認定)は可能です。
「不服申し立て(審査請求)」と「区分変更申請」の2つの方法がありますが、審査請求は結果が出るまでに数カ月かかるため、筆者としては「区分変更申請」をおすすめします。
「区分変更申請」であれば、1カ月程度で結果が通知されます。
ただし、区分変更申請をしても必ずしも希望の介護度に認定してもらえるとは限りません。「介護度が高くなる」と想定して申請しても、逆に介護度が下がってしまうこともあるので、注意してください。
参考資料
厚生労働省「認定調査員テキスト2009改訂版(平成27年4月改訂)」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077237.pdf)
東京都福祉局「介護保険の審査請求(不服申立て)」(https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/yokyu.html)
江東区「要介護・要支援認定の申請について(区分変更申請)」(https://www.city.koto.lg.jp/212103/fukushi/kaigohoken/tetsuzuki/72338.html)
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