【株価急落】どうなる富士通、決算が嫌気された理由
LIMO / 2018年2月2日 8時15分
【株価急落】どうなる富士通、決算が嫌気された理由
携帯事業売却を発表したのに株価が暴落したのはなぜか?
決算後の株価が一時13%安に
2018年1月31日、富士通(6702)は、2018年3月期第3四半期(4-12月期)決算と同時に、携帯電話子会社の持分の70%を投資ファンドの「ポラリス・キャピタル・グループ」に売却することを発表しました。
富士通は11月に、2019年3月期第1四半期をめどにパソコン事業を切り離し中国のレノボ傘下で運営する体制に切り替えることを発表しています。今回の発表で、携帯電話事業についても事業再編が正式に決定したため、本業である情報サービス事業への経営資源の集中が一段と進むことになります。
ただ、事業構造改革の進展という前向きなニュースも関わらず、翌日2月1日の株価が一時前日比約13%安と、日経平均が前日比300円を超える大幅高となるなかで逆行安となりました。
どこが嫌気されたのか
では、1日の大幅な下げは何が嫌気されたのでしょうか。携帯電話事業売却ニュースは「2018年3月期に約300億円の売却益(税引後利益段階で)」とされているため、それほど悪いニュースとは考えられません。よって、大幅下落の主因は前日に発表された決算内容にあるようです。
まず、実績(9カ月累計)ですが、営業利益は金額では▲159億円の減益でしたが、ニフティの売却益、前年同期にあったビジネスモデル変革費用の一巡などの特殊要因(+164億円)を除いた本業ベースでは、国内基地局が低迷したことや、国内外のサービス事業で不採算案件が発生したことにより、実質的には▲323億円の大幅な減益となっていました。
このため、実績の弱さが嫌気された可能性が考えられます。
加えて、通期会社予想も悪材料と捉えられた可能性も考えられます。
今回の決算では通期予想は据え置かれましたが、セグメント別営業利益の見通しは、サービスと基地局関連で合計▲300億円下方修正されています。このため、仮に今回発表された携帯電話事業の売却益がなければ、営業利益は実質的には300億円程度の下方修正となっていたことになるからです。
来年度見通しにも不透明感が
1月31日に行われた決算説明会において会社側は、同社が主力とするITサービスの事業環境は堅調であり、不採算案件を抑えることができれば、これまで行われた事業構造改革を刈り取ることで着実に利益改善が期待できることを強調していました。
また、2017年6月に行われた経営説明会で掲げられた中期的な営業利益率の見通し(2019年3月期6%ゾーン、中期目標10%ゾーン)についても変える必要はないという趣旨のコメントがありました。
ただし一方では、海外ではAIやクラウドを活用したデジタルサービスの立ち上がりが遅れ気味であり、国内でも次世代携帯電話システムの5G関連の設備投資が立ち上がるのは2019年後半以降となる可能性が高い(よって、基地局関連の低迷は当面継続する可能性が高い)という気になるコメントもありました。
このため、営業利益率が2018年3月期会社予想の4.5%(携帯電話の売却益を含めなければ3%台後半)から、2019年3月期6%ゾーンに急改善するという目標には、依然として不透明感が残ることになります。
なお、直近のIFISコンセンサス予想では、2019年3月期の営業利益は2,085億円(2018年3月期会社予想比+13%増益)、営業利益率は5%となっています。
このため、既に株式市場では2019年3月期の営業利益率6%ゾーンの達成は困難であることを織り込んでいたことになりますが、今回の決算を受けてさらにコンセンサス予想が切り下がる可能性も考えられます。
まとめ
日本の株式市場全体については、なお先高観が強いという見方が大勢を占めているようですが、その大きな前提となっているのは、企業業績の持続的な改善です。
このような相場を「業績相場」と呼びますが、こうした相場環境下において富士通が注目企業として再び評価されていくためには、業績改善の道筋を明確に示していくことが求められます。
これまで行ってきたパソコン・携帯電話事業などノンコア事業の切り離しや、デジタルサービスへの注力によりそれが可能なのか、決算発表シーズンが一段落したところでじっくりと考えていきたいと思います。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
高配当株ランキング~7-9月期の決算発表を受けて株価評価が高まった高配当利回り銘柄
トウシル / 2024年11月20日 16時0分
-
凄腕アナリスト ザ・覆面 「住友電工」は上昇ステージ第2幕、通期利益予想を上方修正 電線御三家で最割安、株価低位の魅力
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月20日 11時0分
-
三菱UFJ・三井住友FG「買い」継続。金利上昇が追い風、二期連続の最高益(窪田真之)
トウシル / 2024年11月19日 8時0分
-
ウイルスバスターの「トレンドマイクロ」が配当と自社株買いで「利益100%還元」宣言、 気になる株価と業績予想、進捗は?
Finasee / 2024年11月7日 6時0分
-
投資有価証券売却益(特別利益)計上見込み、2025年3月期第2四半期(中間期)の業績予想値と実績値との差異および2025年3月期通期業績予想の修正に関するお知らせ
PR TIMES / 2024年11月1日 20時40分
ランキング
-
1スシロー「パペットスンスン」コラボに言及「追加販売を検討」 発売当日に一部完売したグッズも
ORICON NEWS / 2024年11月22日 17時45分
-
2【独自】船井電機前社長『不正を働いたことはない』 “破産の申し立て”は報道で知る「本当に驚いた。なんでこんなことに…」
MBSニュース / 2024年11月22日 18時20分
-
3「無人餃子」閉店ラッシュの中、なぜスーパーの冷凍餃子は“復権”できたのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月20日 6時15分
-
4農協へコネ入社の元プー太郎が高知山奥「道の駅」で年商5億…地元へのふるさと納税額を600万→8億にできた訳
プレジデントオンライン / 2024年11月23日 10時15分
-
5ファミマ、プラ製スプーン「有料化」の実験結果を発表 大手コンビニで初、どうなった?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月21日 12時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください