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電気代・灯油代・薪代 1か月でいくらかかるか平均でシミュレーション 政府資料を基に概算・比較

LIMO / 2024年1月8日 19時50分

電気代・灯油代・薪代 1か月でいくらかかるか平均でシミュレーション 政府資料を基に概算・比較

電気代・灯油代・薪代 1か月でいくらかかるか平均でシミュレーション 政府資料を基に概算・比較

どちらがおトク? いまだに薪ストーブなどを使う人がいるのはナゼ?

寒くなってきたこの季節、気になるのが冬の暖房代です。一般的には、電気や灯油を消費して暖をとります。

今回はさらに、林業従事者に話を伺いつつ、薪も含めた暖房代の比較を行ってみました。

結果を見ていきながら、薪に関しては暖房費だけではない魅力も紹介します。薪のよさを知る機会になれば幸いです。

電気・灯油・薪の費用を比べてみる

出所:筆者作成

公的機関の情報などをもとに、各燃料のひと月にかかる平均額をそれぞれ比較します。

電気料金は約5281円

出所:経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/)

総務省統計局で行われている家計調査によると、冬場3カ月の電気代の平均は1万6151円です。

※2人以上の世帯で算出(厚生労働省「国民生活基礎調査」によると、1世帯当たりの人員は2.25人程度)

電気代ですので、純粋な暖房費ではありません。

経済産業省資源エネルギー庁省エネポータルサイトによると、電気代に占める暖房費の割合は約32.7%。エアコンが該当します。

つまり、電気料金に32.7%をかけた数字がおよその暖房費といえます。計算すると、ひと月の電気料金は約5281円ということになります。

灯油代は約6024円

出所:筆者作成

環境省によると、令和2年における家庭の灯油の年間使用量は約155Lです。灯油を主に使う12~2月までの3カ月間として想定します。

出所:環境省「家庭でのエネルギー消費量について」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/01/)

2024年12月25日時点の石油製品価格調査の結果では、1L当たりの灯油価格は約116.6円です。

155Lに116.6円をかけて1万8073円。3カ月で割ってひと月あたりを計算すると約6024円となりました。

出所:経済産業省資源エネルギー庁「石油製品価格調査」(https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html)

薪代金は割高

出所:筆者作成

林野庁の「薪の生産量(販売向け)と価格の推移」によると、薪1m3の値段は約4万6800円です。

出所:林野庁「令和4年度 森林・林業白書」(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r4hakusyo_h/all/chap2_2_2.html)

実際に薪ストーブを使っている東北在住の方によれば、ひと月の使用量は2m3ほど。9万3600円が暖房費となっている計算です。東北という点を考慮しても、割高な印象があるのが薪といえそうです。

暖房設備を買えるまでに至らない金額?

灯油と電気では大きな差異はなく、暖房設備を変えるまでには至らないでしょう。

薪に関しては、他の費用と比べ約10倍もの差がついた結果です。このままでは薪はただの高級品として、一部の人にしか扱えないものに……。

しかし、使っている人もいるため、いいところがあるのではないかと思い、さらなる調査を行いました。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

薪を使った場合のメリット

出所:筆者作成

独特のぬくもりが感じられたり、持続可能な資源であったり、費用以外の面でのメリットを感じる人が一定数いるようです。

さらに調達方法次第では、電気や灯油を使うより安上がりな可能性もありました。

持続可能な資源である

薪は持続可能な資源です。なぜなら、切ったあと30年前後で再び収穫できるからです。その間、基本的に手入れをする必要もありません。

ひと昔前は、薪や炭が暖をとる一般的な方法でした。毎年伐採する山を変え、切りごろになったらまた戻ってくる。そんなサイクルを繰り返していたのです。

都会などは供給面の問題はあるものの、薪は現在も繰り返し使える暖房資源のひとつといえます。

価格が安定している

薪の購入価格に影響するものといえば、大きいのが人件費です。人件費が急に倍になるとは想定しにくいため、価格は比較的安定しています。

また、日本は国土の約66%が森林です。そのため、資源が枯渇しにくく高騰しにくいといえます。

ただし、薪が乾ききっていないと、多くの量が必要になる場合があります。その結果、薪代は安定していても費用がふくらむことに。

長年薪を使っている人に乾燥のコツをたずねると、「風通しのいいところに積むことだ」と教えてくれました。安定した価格を享受するためにも、一定の品質を保つのが大切です。

自分で調達できる場合は破格

持ち山に自生する木を自分で伐採し薪にする場合、費用の大部分はチェーンソーに必要な燃料代です。燃料費は、林業従事者がチェーンソーを一日中目いっぱい使っても、多く見積もってガソリン5Lほどがいいところ。

慣れている人であれば、1年分を切り出すのに5000円もかからず調達できるでしょう。チェーンソーなどへの初期投資は必要なものの、自分で切って出す場合の費用は格安です。

山間部では今も薪ストーブを使っている家庭があります。その背景には、格安に調達できる理由がある部分もあると考えられます。

火のぬくもりが感じられる

火がそこにある温かさを皆さんはご存じでしょうか。エアコンの風とはまた違った温かさがあります。

秋から冬の寒い時期、たき火を経験するとわかります。なかなかその場から離れられないものです。

また、薪のぬくもりは直接的な温かさだけでなく、見た目にも感じられます。まったくの主観ではありますが、暖炉や薪ストーブから見える炎は温かさを連想させます。

例えば、薪ストーブの展示販売などでは、実際には火をたいていなくても燃えて見える仕掛けがあります。温かさを訴求していると考えられます。エアコンでは表現できない温かさなのでしょう。

暖房費だけを見れば電気がお得! しかし薪にはひと味違う魅力がある

各種の暖房費を比較した結果、電気がお得であるという結論に至りました。

しかし、間取りや地域などによって費用は変動するものの、灯油と比べると大差はありません。

薪は世間一般に浸透していないように、高額な印象を受ける結果でした。

しかし、他の暖房にはない魅力が薪にはあります。

それは暖房費だけにとらわれない、持続的な暮らしを営むうえで欠かせない要素です。さらには格安で調達できる可能性も秘めています。

薪に興味のある方は、その魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

参考資料

総務省統計「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)」(https://www.stat.go.jp/data/kakei/longtime/index.html#time2)

経済産業省資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/)

厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/02.pdf)

環境省「家庭でのエネルギー消費量について」(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/01/)

経済産業省資源エネルギー庁「石油製品価格調査」(https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html)

林野庁「令和4年度 森林・林業白書」(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r4hakusyo_h/all/chap2_2_2.html)

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