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年金生活の親「介護費用くらい自分で出せる!」と言うわりに、年金や貯蓄額は内緒にしたがるのですが……。

LIMO / 2024年1月16日 19時55分

年金生活の親「介護費用くらい自分で出せる!」と言うわりに、年金や貯蓄額は内緒にしたがるのですが……。

年金生活の親「介護費用くらい自分で出せる!」と言うわりに、年金や貯蓄額は内緒にしたがるのですが……。

【年金世代の親を持つ人が気になる】年金・貯蓄と介護費用のデータを見る!

「老後子どもの世話になるつもりなんてサラサラない」多くの親は、我が子にこう言います。

事実、内閣府の「令和4年高齢者の健康に関する調査結果」でも、65歳以上男女の9割がトイレなどの介護が必要となった際、年金や貯蓄など自分の資産から介護費用を捻出するつもりだと回答。

一方で、働き盛りのアラフォー・アラフィフ世代の中には「介護はもはや他人事ではない」と感じながらも、親の健康状態や資産を把握できておらず、漠然とした不安を持つ人もいるでしょう。

団塊の世代が全て75歳以上となる2025年は、65歳以上の約5人に1人が認知症になるという推計されている年でもあります。親が元気で意思疎通をはかれるうちに、年金や貯蓄などの資産状況を聞いておきたいものですが……。

みなさんのおたくではどうでしょう?今回は、シニア世代の年金・貯蓄、そして介護費用について考えてみましょう。

シニア世代「老齢年金」みんなの平均はいくら?

年金暮らしの親を持つみなさんの中には、「親がどのくらい資産を持っているか教えてくれない」「年金受給額がどのくらいかも知らない」という人もいるはず。まずは、イマドキシニアの老齢年金、そして貯蓄事情に関するデータから。

厚生労働省が2023年12月に公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、今のシニア世代が受け取る年金額を見ていきます。

国民年金のみを受け取る場合

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

国民年金(老齢基礎年金)の受給額

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

〈男性〉平均年金月額:5万8798円

〈女性〉平均年金月額:5万4426円

受給額ごとの人数

1万円未満:6万5660人

1万円以上~2万円未満:27万4330人

2万円以上~3万円未満:88万1065人

3万円以上~4万円未満:266万1520人

4万円以上~5万円未満:465万5774人

5万円以上~6万円未満:824万6178人

6万円以上~7万円未満:1484万7491人

7万円以上~:178万3609人

自営業や専業主婦(主夫)だった人など、国民年金(基礎年金)のみを受給する場合は、平均年金月額は男女ともに5万円台です。

厚生年金を受け取る場合

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

〈男性〉平均年金月額:16万3875円

〈女性〉平均年金月額:10万4878円

受給額ごとの人数

1万円未満:6万1358人

1万円以上~2万円未満:1万5728人

2万円以上~3万円未満:5万4921人

3万円以上~4万円未満:9万5172人

4万円以上~5万円未満:10万2402人

5万円以上~6万円未満:15万2773人

6万円以上~7万円未満:41万1749人

7万円以上~8万円未満:68万7473人

8万円以上~9万円未満:92万8511人

9万円以上~10万円未満:112万3972人

10万円以上~11万円未満:112万7493人

11万円以上~12万円未満:103万4254人

12万円以上~13万円未満:94万5662人

13万円以上~14万円未満:92万5503人

14万円以上~15万円未満:95万3156人

15万円以上~16万円未満:99万4044人

16万円以上~17万円未満:104万730人

17万円以上~18万円未満:105万8410人

18万円以上~19万円未満:101万554人

19万円以上~20万円未満:90万9998人

20万円以上~21万円未満:75万9086人

21万円以上~22万円未満:56万9206人

22万円以上~23万円未満:38万3582人

23万円以上~24万円未満:25万3529人

24万円以上~25万円未満:16万6281人

25万円以上~26万円未満:10万2291人

26万円以上~27万円未満:5万9766人

27万円以上~28万円未満:3万3463人

28万円以上~29万円未満:1万5793人

29万円以上~30万円未満:7351人

30万円以上~:1万2490人

会社員や公務員など、サラリーマンだった人であれば、国民年金にプラスして厚生年金を受け取ります。この場合は、男性平均16万3875円、女性平均10万4878円。いずれも国民年金の月額を含む金額です。

厚生年金は何かと手厚いイメージがあるものの、現役時代の収入や年金加入期間などにより、年金受給額は大きな個人差が生じる点は、受給額のバラツキを見ても一目瞭然。年金振込通知書などで確認しておく必要がありますね。

ちなみに、年金振込口座の通帳に記載される入金額は、「2カ月分の年金の合算」さらに、介護保険料などの天引きが行われた後の金額である点には注意が必要です。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【年金世代】70歳代世帯の貯蓄「平均と中央値」

次は、大多数の人が年金生活をスタートしている70歳代世帯の貯蓄事情についても見ていましょう。ご紹介するのは金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」のデータです。

70歳代世帯・二人以上世帯の貯蓄額「平均と中央値」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)

【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値

平均:1905万円

中央値:800万円

70歳代世帯・単身世帯の貯蓄額「平均と中央値」

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)

平均:1433万円

中央値:485万円

70歳代世帯の金融資産保有額の平均を見ると、二人以上世帯は1905万円、単身世帯は1433万円です。ただしこちらは「貯蓄ゼロ世帯」から資産家までを含めた平均。より実態に近い中央値で見ると、単身世帯は485万円、二人以上世帯は800万円にまで下がります。

二人以上世帯では18.7%、単身世帯では28.3%が「金融資産ゼロ」となっているのも看過できない点と言えるでしょう。

【年金世代の親を持つ人が気になる】在宅介護にかかる費用は平均いくら?

次は、生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」から、介護費用の月額についても見ていきます。

この金額には、公的介護保険サービスの限度額を超えて自己負担となった費用も含まれます。

在宅介護に要した費用の平均額は、介護用ベッド購入や住宅改修といった一時費用の合計が74万円、月々の費用が4万8000円です。介護費用の分布についても見てみましょう。

介護費用「在宅介護ならひと月いくら必要?」

出所:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する 全国実態調査 」(2021年12月)(http://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)

在宅介護にかかる費用「平均4万8000円」

支払った費用はない:0.0%

1万円未満:7.2%

1万~2万5000円未満:

2万5000~5万円未満:22.3%

5万~7万5000円未満:13.3%

7万5000~10万円:2.3%

10万~12万5000円未満:4.3%

12万5000~15万円未満:1.2%

15万円以上:5.8%

不明:26.0%

在宅介護にかかった費用の平均はひと月4万8000円。ただしこの中には「支払った費用がない」人から、ひと月15万円以上払った人までが含まれている点には注意が必要です。

「介護費用くらい自分で出せる!」を信じすぎると想定外の事態も!?

takasu/shutterstock.com

シニア世代の家族や、私たち自分自身が要介護になる可能性は誰にでもあります。そのとき、年金などの本人の収入や貯蓄で、どこまでカバーできるかにより、介護計画も変わってくるでしょう。

冒頭で触れたように「子どもの世話にはならない」と考える人がほとんどなのかもしれません。とはいえ、これは「そこそこ元気な時」だから言えること。

預貯金をしっかりキープ、不労所得源となる不動産などを持ち、いずれは自宅を売却して老人ホームに入るつもりという準備万端というシニアも多いでしょう。とはいえ、認知症になり金融機関の口座が凍結されてお金が引き出せなくなったり、不動産の売買ができなくなったりする可能性もあります。

介護施設に入所したは良いが、途中で資金がショートという事態も起こりえるでしょう。夫婦二人とも施設入所となった場合や、物価上昇により施設費用が値上がりするケースなども想定が必要となるおたくもあるでしょう。

「要介護」は突然やってくることも。あなたはどう備える?

公益財団法人生命保険文化センターが公表する「生活保障に関する調査 2022年(令和4)年度」によると、親などの介護について、74.9%の人が何らかの不安を感じていると回答。「自分の経済的負担(49.5%)」「介護サービスの費用がわからない(49.0%)」「公的介護保険だけでは不十分(48.4%)」といった介護費用に関する具体的な内容も上がっています。

要介護は突然やってくることもあります。親がそこそこ元気なうちに、年金や貯蓄などの資産状況をざっくりとでも把握しておけるのが理想的かもしれませんね。家族信託や任意後見などの活用を適宜検討していくのも一案です。

参考資料

内閣府「令和4年高齢者の健康に関する調査結果」(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf_index.html)

厚生労働省「我が国の人口について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html)

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.mhlw.go.jp/content/001027360.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/)

生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する 全国実態調査 」(2021年12月)(http://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)

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