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暴落相場の中で上昇した三菱自動車株、その理由は?

LIMO / 2018年2月8日 12時20分

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暴落相場の中で上昇した三菱自動車株、その理由は?

ゴーン流改革効果に対する期待は確信へ

6日の東京株式市場は久しぶりの暴落相場

2月6日(火)、この日の東京株式市場は久しぶりに“暴落”と呼べるような大幅下落となりました。前日のNY市場で過去最大の下げ幅を記録したこと等を受け、日経平均株価の終値は前日比▲1,071円安(▲4.7%安)の21,610円で引けました。終値の下落率としては、アベノミクス始動以降(2013年~)で第8位となる急落です。

また、取引時間中には、一時同▲1,603円安(▲7.1%安)の21,078円まで下落する場面もありました。ザラバ値とはいえ、▲1,600円超安というのは滅多に見られるものではありません。

暴落で全面安の中、三菱自動車の株価が逆行高

この日は、東証1部上場2,065銘柄のうち98%強の2,027銘柄が値下がりした“全面安相場”でした。値上がり銘柄数はわずか35(全体の2%弱)に止まったわけですが、その中でひときわ注目を集めたのが三菱自動車です。

この日、三菱自動車の株価は寄り付きこそ小安かったものの、終値は+12円高(+1.5%高)の830円で引けました。また、取引時間中には一時+24円高の842円まで上昇する場面もありました。

普段ならば、終値の上昇率は決して高いものではありません。しかし、こうした全面安の暴落相場での上昇には目を見張るものがあります。しかも、日経平均株価の構成銘柄である三菱自動車は、裁定取引の影響を受けやすい傾向があります。先物主導で大幅下落になった中での値上がりは、まさしく特筆すべきと言えましょう。

なぜ三菱自動車株は、このような暴落相場にもかかわらず上昇したのでしょうか?

業績見通しの上方修正は株価上昇の一因だが・・・

三菱自動車は前日(2月5日)に第3四半期累計(4-12月期)の決算発表を行いました。9カ月間の実績値が大幅改善になったことに加え、2018年3月通期見通しを上方修正しています。営業利益は従来700億円から今回950億円(対前期比+18.6倍)、最終利益は同680億円から1,000億円(前期は▲1,985億円)への増額でした。

この上方修正を含めた決算発表が、翌日の株価上昇につながった要因の1つだったことは間違いありません。

しかし、決算発表が相次ぐこの時期、好決算を発表したのは三菱自動車だけではありません。実際、三菱自動車以外にも多くの企業が上方修正を発表しています。しかし、好決算で上方修正を発表しても、6日の暴落相場で株価急落となった企業が圧倒的に多いのです。

では、なぜ三菱自動車の決算が好感されたのでしょうか?

カルロス・ゴーン氏が主導する改革効果への期待

それは、今後のさらなる収益回復・拡大への期待が高まったからと考えられます。その牽引役になるのが、筆頭株主である日産自動車による抜本的な改革であり、とりわけ、三菱自動車の会長に就任したカルロス・ゴーン氏主導の改革です。

カルロス・ゴーン氏は、瀕死の経営危機にあった日産自動車を見事に復活させた経営者で、その後も日産やルノー社(フランス)の社長・会長を歴任しました。日本で最も有名な企業経営者の1人であることはご存じの通りです。

三菱自動車が日産自動車の傘下に入った経緯

まず、三菱自動車が日産自動車の傘下に入った経緯を簡単に振り返ってみましょう。

2011年6月:三菱自動車と日産自動車が軽自動車生産の合弁会社設立を発表

2016年4月:三菱自動車による軽自動車の燃費データ改ざんが発覚、大きな社会問題に

2016年5月:三菱自動車の国内販売が激減、ユーザーへの多額の補償問題が浮上

2016年5月:日産自動車が三菱自動車の発行済株式の34%取得等のアライアンス発表

2016年6月:三菱自動車がユーザーへの補償費用など特別損失▲1,500億円の計上を公表

2016年10月:特別損失を▲1,650億円へ増額、最終損益が▲2,400億円の巨額赤字へ

2016年12月:カルロス・ゴーン氏が三菱自動車の代表取締役会長に就任

三菱自動車の会長就任後しばらくは期待先行

日産を建て直したゴーン氏が三菱自動車の事実上の最高経営責任者となった時、ゴーン氏の手腕に対する期待は大きく膨らみました。そして、相場全体が強含んだこともありますが、その後の株価は上昇基調が続いたのです。

その一方で、ゴーン氏のトップダウンマネジメントでも、三菱自動車を再生するのは難しいのではないかという懸念があったことも否めません。実際、ゴーン氏の会長就任後しばらくは、大きな成果は乏しかったとも言えます。つまり、期待先行だった可能性があります。

三菱自動車の過去2年間の株価推移

ゴーン流改革効果への期待が確信に

しかし今回、業績見通しの上方修正のみならず、ゴーン氏主導による改革効果が着実に表れていることが明確になりました。

一般に、こうした改革効果は、徐々に出始めた後は一気に拡大するケースが多いようです。かつての日産自動車の構造改革時もそうでした。

今回、多くの投資家が今後の三菱自動車の再生、ならびに収益拡大に対して確信度を深めたと考えられます。今後の三菱自動車の大きな変化に注目したいと思います。

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