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年金暮らし・末期ガンの父の介護で痛感 「介護と医療費」事前に知っておきたかった2つのこと【年金・貯蓄一覧表つき】

LIMO / 2024年1月28日 7時30分

年金暮らし・末期ガンの父の介護で痛感 「介護と医療費」事前に知っておきたかった2つのこと【年金・貯蓄一覧表つき】

年金暮らし・末期ガンの父の介護で痛感 「介護と医療費」事前に知っておきたかった2つのこと【年金・貯蓄一覧表つき】

親世代の年金&貯蓄額「平均や中央値を知っていますか?」

「親が高齢になり、介護が必要になってきた」「親の介護資金は月々の年金で足りるのだろうか」「私が援助する必要あるの?」

こんな悩みや疑問を抱えていらっしゃる方は少なくないはず。

内閣府の「令和4年高齢者の健康に関する調査結果」によると、65歳以上男女の約9割が、介護が必要となった際、年金や貯蓄など自分の資産から介護費用を捻出するつもりだと回答しています。

しかし、実際問題として、本当に年金で介護費用をまかなうことはできるのでしょうか。

本記事はデータを用いながら、介護・医療にかかる費用と年金の関係を考えていきます。

年金暮らし・末期ガンの父を介護した経験がある聡子さん(仮名・48歳)が、介護のお金について「事前に知っておきたかった!」と感じる点にスポットをあてて、生々しいエピソードをまじえながら話してくれました。

【事前に知っておきたかったこと1】介護費用を年金で賄うことは難しい!

聡子さんが「事前に知っておきたかったこと」の1つめは、介護費用は年金で賄うことは難しいということでした

まず、シニア世代ををとりまくお金の状況を整理しましょう。

【年金・貯蓄の一覧表】親世代の年金&貯蓄額「平均や中央値を知っていますか?」

【年金・貯蓄の一覧表】今のシニア世代の「公的年金」と「貯蓄事情」

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf) 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 令和5年(2023年)二人以上世帯・単身世帯」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)をもとに筆者作成

今のシニア世代が受け取る公的年金の平均月額や、金融資産の平均・中央値は以下の通りです。

 国民年金(老齢基礎年金)の受給額

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

〈男性〉平均年金月額:5万8798円

〈女性〉平均年金月額:5万4426円

 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

〈男性〉平均年金月額:16万3875円

〈女性〉平均年金月額:10万4878円

 70歳代世帯の金融資産保有額

<二人以上世帯>平均1906万円・中央値800万円

<単身世帯>平均1433万円・中央値485万円

介護にかかる費用の目安

一方で介護費用は、介護保険を適用した後の実費負担分であっても、以下の金額が平均してかかります(各種資料をもとに筆者調査)。

在宅介護 平均月額:約5万円

介護付き有料老人ホーム 平均月額:約24万円

住宅型有料老人ホーム 平均月額:約14万円

サービス付き高齢者向け住宅 平均月額:約16万円

グループホーム 平均月額:約13万円

ケアハウス 平均月額:約11万円

仮に約14万円の年金で生活している親であっても、一番負担の少ない在宅介護でさえ、決して費用の負担感は軽くないでしょう。介護費以外にも日常生活費などの出費がかかるわけですから。

また、在宅介護であればなんとか年金でまかなえるにしても、施設に入所した際はほとんどの場合、年金をオーバーすることが確実であることも分かります。

年金でまかなうことが難しい場合は、親が自分たちの貯蓄を切り崩していくことになるでしょう。

しかし親の貯蓄が少ない場合や、施設入所期間が長く貯蓄が足りない場合は、子供が援助するなどの手段を取ることにもなりかねません。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【事前に知っておきたかったこと2】貯蓄額が減っていくと、親は不安で不安でたまらなくなる

貯蓄額が減っていくと、親は不安で不安でたまらなくなる

Tero Vesalainen/shutterstock.com

聡子さんが事前に知っておきたかったことの2つめは、「介護・医療費がかさむようになり貯蓄額が減っていくと、親は不安で不安でたまらなくなる」ということ。

介護費用のトラブルと聞くと「平均よりもずっと低い貯蓄額しかなかったのでしょ!」と思われ、「自分の親には関係ないわ!」と思う方も多いでしょう。

しかし、今からご紹介するのは、聡子さんが実際に体験した、貯蓄額が平均額以上ある親との間で起こったトラブルです。

平均以上の貯蓄はあったのに……。ガンになって状況は一変

聡子さんの父は私立高校で新卒から定年まで教師をしており、定年退職後も65歳まで再雇用されて働いていました。

還暦を過ぎても月々いくらかは貯蓄に回す余裕のある生活をしており、退職金もまとまった金額が支給されたため、貯蓄額は平均を超える金額がありました。娘の聡子さんがが住宅を購入した際には、頭金を援助するほど、金銭的に余裕があったのだそう。

「そんな父がある日、ガンと診断されました。そして、3年間の自宅での闘病生活を経て、痛みが酷くなり緩和ケアが必要となった段階で、住宅型有料老人ホームでへ入所することになります。

住宅型有料老人ホームの費用は月に25万円ほどかかり、年金で賄うことは不可能です。そこで父は母と相談し、自分たちの貯蓄から足りない分を毎月支払うことになりました」と聡子さんは続けます。

こうした例は決して珍しくないケースでしょう。しかしこの後、予想していなかった展開が訪れるのです。

老人ホームの入所が近づいたある日、母が発した衝撃の一言とは!?

「しかし、住宅型有料老人ホームへの入所が長引くにつれ、母は貯蓄額が目に見えて目減りすることに不安を覚えたのです。

「援助した住宅購入資金を返して!!」

そしてある日、私に「あなたに渡した住宅購入資金を返してくれ!」と言ったのです。あまりに突然の親からのお金の要求に、私は正直びっくりしました。

「え!?そんなにお金がないの?」と聞くと、「今すぐ生活に困るわけではないが、貯蓄が目に見えて減っていくことが不安だ。父に先立たれたあとの自分の生活が不安で不安でたまらない。」と涙ながらに訴えたのだと、聡子さんは話してくれました。

「今まで真面目にコツコツ貯蓄をしてきて、資産は増える一方であった母にとって、介護費用として目に見えて貯蓄額が減っていくというのは相当な不安だったようです」と、当時を振り返りながら話してくれました。

まとめにかえて

本記事はデータを用いながら、介護・医療にかかる費用と年金の関係や、想定外のできごとを、介護経験者の声を交えながらお伝えしました。

「転ばぬ先の杖」ということわざがある通り、介護にどれくらいの費用がかかり、どのようなトラブルが起こるのかを知っていることは、ご自身が親を介護する立場になった時にと役立つことでしょう。

聡子さんのエピソードが、今家族のケアに奮闘するみなさんや、「介護予備軍」たちのヒントとなれば幸いです。

参考資料

内閣府「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」(https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r04/zentai/pdf_index.html)

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/)

生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/2021honshi_all.pdf)

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