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年金暮らし末期がんの父を看取って感じた「40~50歳代で準備すべき」終活リスト3カ条

LIMO / 2024年2月2日 14時34分

年金暮らし末期がんの父を看取って感じた「40~50歳代で準備すべき」終活リスト3カ条

年金暮らし末期がんの父を看取って感じた「40~50歳代で準備すべき」終活リスト3カ条

【一覧表】知っておきたい「いまどきシニアの年金・貯蓄事情」

「40~50歳代でもう終活?」この記事のタイトルをご覧になった方は、このように思ったのではないでしょうか。

SBIインシュアランスグループが全国の50歳以上の男女1019人を対象に行った“終活・葬儀”に関するアンケート調査(2023年12月公表)の結果によると、終活の必要性を感じている人が8割に対して、実際に取り組んでいる人は4人に1人という結果となりました。

現役時代の早い段階で、終活を意識することは、のちに訪れる年金生活や、病気や要介護状態になった時どうするかを考えるための大切な準備。お金と暮らしのプランに見通しを立てることにも繋がるでしょう。

今回は、年金暮らし末期がんの父の看取りを経験した聡子さん(仮名・48歳)が、40歳~50歳代のみなさんにぜひ取り組んでもらいたい「終活」を3つ紹介します。

年金暮らし末期がんの父の看取りを経験して感じた「40歳~50歳代」でやっておきたい終活

40歳~50歳代のみなさん、「終活」って意識したことありますか?

Christopher Sharpe/shutterstock.com

実は私自身も「終活はまだまだ先の話。還暦を過ぎたら始めればよい」と思っていました。

しかし、年金暮らし末期がんの父の看護・看取りを経て、私の終活に対する意識は180度変わりました。

終活を全くといっていいほど行わなかった父の闘病・最期の姿を通して、終活とは「自分が大切にしているものは何か」を考える前向きな活動だということに気が付いたからです。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【終活1】最期を「どこで過ごしたいか」考える

みなさんに行っていただきたい終活の1つ目は、最期をどこで過ごしたいか考えること。

父は末期がんと診断され、手の施しようがない状態になった際、家族の意向で住宅型有料老人ホームに入所しました。

この老人ホームへの入所は、父に意向を聞くことなく、自宅での看護・介護に限界を感じていた家族が決めたものでした。

もちろん家族全員で、父が少しでも安楽に過ごせるようにと考え、施設を見学した際のスタッフさんの対応も申し分ないことを確認した上で決めたことです。

しかし自分の意思とは関係なく、最期を過ごすホームが決まり、そのホームに連れて行かれ、ベッドに寝かせられた父の姿を見ていた時、「父はどうしたかったのだろうか?」と、ふと思ったのです。

最期を過ごす場所の選択肢は、自宅・病院・ホスピス・老人ホームなど様々なものがあります。また、老人ホームと一口に言っても、どんな立地がよいのか、部屋は何人部屋がよいのかなど選ぶ基準は色々とあります。

父の入所後、私は「自分は最期の時、誰と一緒にどこに住みたいのか」と考えるようになりました。

その結果、私にとって老人ホームに1人で入所するというのは幸せではないこと、家族と当たり前の日常を過ごす中で少しずつ年齢を重ねていき、やがて最期を迎えたいという自分の想いに気付きました。

そして、この想いを夫にも伝え、子どもが独立したら現在の持家を売却し、子供の家からそう遠くない場所にシニア向けの分譲マンションを購入して、夫婦で住もうというプランを立てました。

今ではこのプランを実現するために、毎月の貯蓄計画・貯蓄方法も見直し、前向きに準備を始めています。

【終活2】お葬式に誰を呼びたいのかを考える

自分自身の「お葬式」誰に来てもらいたいですか?

Robert Hoetink/shutterstock.com

みなさんに行っていただきたい終活の2つ目は、お葬式に誰を呼びたいのか考えることです。

父が亡くなりお葬式をする際、誰を呼べば良いのか分からずに、私たち家族は困りました。父はエンディングノートのようなものを書いていませんでしたし、私たち家族には「お葬式に誰を呼びたい?」と父に生前に聞く勇気はなかったのです。

結局、父のお葬式は家族と親戚のみで行いました。

しかし、そんなお葬式を見ていた私の夫がぼそっと「俺だったら、会社の人にも、友達にも来てほしいな。お義父さんはどう思っていたのだろう」と言ったのです。夫は何気なく言っただけだったのですが、私の心には深く残った言葉でした。

父のお葬式以来、私は「自分のお葬式には誰を呼びたいか」を考えるようになりました。そして、お葬式に呼ぶ人を考えていると、自然と「自分が大切にしている人が誰なのか」を考えることに繋がりました。

その結果、家族との時間を大切にするようになりましたし、お葬式に呼びたいと思った友人とは、頻繁に連絡を取るようになりました。

【終活3】お墓や供養のスタイルについて考える

みなさんに行っていただきたい終活の3つ目は、埋葬方法、つまりお墓や供養のスタイルについて考えることです。

父のお骨は先祖代々の墓に埋葬しました。しかし、父は婿養子であり、母も母の両親も存命のため、その墓には父が生前会ったことのある人は誰もいないのです。

また、父はがんが進行してくると、しきりに生まれ育った故郷に帰省したいと言うようになりました。しかし、体力的な問題や新型コロナウイルスの問題もあり、父ががんと診断されてから亡くなるまでの3年半の間に故郷に帰省できたのは1回だけでした。

四十九日に父のお骨をさも当然のごとく先祖代々の墓に埋葬する時に、ふっと「父は母が死ぬまで自宅のリビングにいたかったのかな?分骨して故郷にも埋葬してほしかったのかな?」と思いました。

それ以来、私は新しい供養の方法を色々と調べるようになりました。現在は樹木葬や海洋散骨、遺骨をアクセサリーとするなど、お墓の在り方・供養の在り方も多様化してきています。
そして、色々調べた結果、私のお骨は夫が亡くなるまではリビングにお骨を置いてもらって、夫婦そろって、どこか自分たちが気にいったお墓に埋葬してもらいたいと思うようになりました。

そうなると、先祖代々の墓をどうするかなど、親戚の間で調整しなければならいことが多くあります。自分の埋葬方法について早めに考えておいて、本当に良かったと痛感しています。

まとめにかえて

終活と聞くと、暗いイメージがあり、考えることを躊躇してしまう人が多いのではないでしょうか。

しかし、聡子さんの体験からも分かるように、終活とは「自分が大切にしているものは何か」を考え続けることであり、とても前向きなこと。

これは単なる感情論ではないでしょう。40歳~50歳代で終活を意識することで、その後のマネー&ライフプランも変わってくるかもしれません。

「人生100年時代」という超長寿時代に老後を過ごす私たち。健康で長寿を全うできれば嬉しいことですが、「そうではないとき」も含めた覚悟が必要。

この記事が、働き盛りの現役世代のみなさんが、終活をはじめるきっかけになればと思います。

【一覧表】親世代の年金&貯蓄額「平均や中央値を知っていますか?」

【年金・貯蓄の一覧表】今のシニア世代の「公的年金」と「貯蓄事情」

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf) 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 令和5年(2023年)二人以上世帯・単身世帯」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/)をもとに筆者作成

今のシニア世代が受け取る公的年金の平均月額や、金融資産の平均・中央値は以下の通りです。

 国民年金(老齢基礎年金)の受給額

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

〈男性〉平均年金月額:5万8798円

〈女性〉平均年金月額:5万4426円

 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

〈男性〉平均年金月額:16万3875円

〈女性〉平均年金月額:10万4878円

 70歳代世帯の金融資産保有額

<二人以上世帯>平均1906万円・中央値800万円

<単身世帯>平均1433万円・中央値485万円

参考資料

SBIインシュアランスグループ「【SBIいきいき少短】“終活・葬儀”に関するアンケート調査を実施(2023年度)」(PR TIMES)2023年12月21日(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000208.000098438.html)

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/)

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