【特養】特別養護老人ホームが一番安いとは限らない<一覧表つき>介護施設選びで知っておきたい「特養は安い」の落とし穴
LIMO / 2024年2月15日 7時30分
【特養】特別養護老人ホームが一番安いとは限らない<一覧表つき>介護施設選びで知っておきたい「特養は安い」の落とし穴
住民税非課税世帯でも資産が多いと対象外「減免制度」の盲点
介護施設への入所を考える際に「特別養護老人ホーム(以下、特養)が一番安い」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし資産や収入額によっては、民間の有料老人ホームの方が安く利用できるケースもあります。
「実は有料老人ホームの方が自分には合っていた!」と後悔しないためにも、費用の減免制度や特養の料金について把握しておくことは重要です。
この記事では、減免制度や特養の費用について確認しつつ「特養が一番安い」とは限らない理由について解説しています。
「特養が一番安い」とは限らない理由
特養は社会福祉法人などが運営する公的な介護施設であり、比較的安い費用で利用できます。
入居一時金は不要で、月額利用料を支払えば利用可能です。また介護サービス費は介護保険制度の対象となるため、収入に応じて1~3割の負担で利用できます。
【特養の減免制度】資産や収入が多いと対象外となるケースも
ただし食費や住居費については介護保険の対象外であり、全額自己負担です。そのため資産や収入が少ない人にとって、これらの費用は大きな負担となります。
そこで導入されているのが「負担限度額認定制度」という仕組みです。一定基準を満たす場合は申請することで、特養の食費や住居費を軽減してもらえます。
ここで問題になるのが「資産や収入が多い人」のケース。一定以上の資産・収入がある人は、特養の軽減制度が受けられないため、民間の有料老人ホームを利用する方が安くなることがあるのです。
よって「特養が一番安い」という考え方は、時に危険であると言えます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
住民税非課税世帯でも要注意「減免制度の落とし穴」
資産や収入に応じた施設を選ぶためには「負担限度額認定制度」という減免制度についての知識が必要です。ここでは、負担限度額認定制度について詳しく解説します。
負担限度額認定制度とは
特養での食費や住居費は介護保険適用外であり、低所得の人にとっては大きな負担となります。そこで資産や収入を考慮し、支払い能力に応じて負担を軽減するのが「負担限度額認定制度」です。
制度を利用するには市町村の窓口へ申請書を提出し、認定証の交付を受ける必要があります。また認定証は、毎年更新しなければなりません。介護サービスなどを利用する内に数年が経過し、資産が減少した場合でも申請は可能です。
認定は1~4段階に分かれています。段階が低いほど、住居費や食費の負担が少なくなる仕組みです。詳しい要件と特養の費用については、次章にて解説いたします。
住民税非課税世帯でも資産が多いと対象外「認定の要件と特養費用について」
負担限度額認定制度を受けるには、以下の3つ全てを満たす必要があります。
本人及び同一世帯全員が住民税非課税である
本人の配偶者(別世帯も含む)が住民税非課税である
預貯金等合計額が、基準額以下である(※)
※基準額については、以下の一覧表を参照
【一覧表】特別養護老人ホーム「利用者負担段階と負担限度額」
上記の表は、特養の負担限度額を示しています。第1段階が最も軽減を受けられ、第4段階は負担が大きくなる仕組みです。
【一覧表】特別養護老人ホームの利用者負担段階別「所得・資産の条件」
■第1段階
世帯全員が住民税非課税の人で、老齢福祉年金受給者の人
生活保護を受給されている人
預貯金などの資産が、単身1000万円以下、夫婦2000万円以下
■第2段階
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額80万円以下の人
預貯金などの資産が、単身650万円以下、夫婦1650万円以下
■第3段階(1)
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額80万円を超え120万円以下の人
預貯金などの資産が、単身550万円以下、夫婦1550万円以下
■第3段階(2)
世帯全員が住民税非課税で、本人の合計所得金額と課税年金収入額と非課税年金収入額の合計が年額120万円を超える人
預貯金などの資産が単身500万円以下、夫婦1500万円以下
第4段階
上記以外の人
例として、第1段階の人は1日の食費について、300円以上の負担はありません。300円を超える食費は介護保険から支払われます。居住費については、複数の入居者が同じ部屋で生活する多床室なら0円です。
ここで注目したいのは、第4段階の対象となる人の場合です。特養では、個室対応を受けられる「ユニット型個室」の居住費がもっとも高くなります。多床室と比較すると、ユニット型の費用が高額であることは明らかです。
第4段階で「ユニット型個室」にした場合の月額費用はどのくらいになる?
例)第4段階の人が「ユニット型個室」に入居した場合の負担限度額は以下の通りです。
居住費:2006円×30日=6万180円
食費:1445円×30日=4万3350円
介護サービス費:1カ月 2万5000円 (介護度によって異なる)
合計:12万8530円
上記に加えて、施設によっては「サービス加算」も必要になります。これは施設でリハビリや看取りケアを実施した際に発生するものです。
介護サービスや人員配置が充実している特養では、合計の利用金額が16~17万円必要になる場合も珍しくありません。
つまり「安い」とされる特養においても、資産や収入、部屋のタイプによっては高額となるケースがあるのです。
「ユニット型特養」より民間の老人ホームが安くなるケース
「資産や収入を考慮すると、少しでも月額費用を安くしたい」と考える方は多くおられます。
そこで人気になるのは、特養の中でもっとも安い金額で利用できる「多床室」タイプです。しかし人気が高いため、満床かつ待機者が多いことも珍しくありません。
一方で、有料老人ホームへの入居を選択する人も多いです。
有料老人ホームの料金は高額なイメージがありますが、施設の立地や居室の広さなどによって大きく異なります。中には「ユニット型特養」と同程度、もしくは安い金額で利用できる施設もあるのです。
しかも有料老人ホームは民間法人が運営しているため、独自のサービスや医療体制を整えています。利用者の状態によっては、特養よりもピッタリのサービスを受けられるケースもあるのです。
つまり「特養が一番安い!」と決めつけず、有料老人ホームなど様々なタイプの施設から選ぶことが重要であると言えます。
まとめにかえて
「大切なご家族が安心して暮らせるように、少しでも良い施設を見つけたい」この記事をご覧いただいている方は、そう考えておられると思います。
とは言え、介護施設で受けられるサービスや必要な金額は施設によって大きく異なります。
お忙しい毎日の中で、理想の施設を見つけるのは大変な作業です。周囲のケアマネジャーや施設スタッフなどの専門家へ相談されることをお勧めします。
この記事が、希望に合った条件の施設を見つける際の参考になれば幸いです。
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