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本当に”死んだ猫”は? 富士フイルムHD、富士通、三菱自動車・・・株価急落その後

LIMO / 2018年2月23日 11時50分

本当に”死んだ猫”は? 富士フイルムHD、富士通、三菱自動車・・・株価急落その後

本当に”死んだ猫”は? 富士フイルムHD、富士通、三菱自動車・・・株価急落その後

投資格言「デッド・キャット・バウンス」が示唆するもの

投資格言「デッド・キャット・バウンス」とは

年明けの強気相場から一転、2月に入り世界的に株式市場が不安定です。また、1月前半から2月中旬までに発表された決算でも株価が急落する銘柄が散見されました。

このような時に思い出されるのが、ウォール街の投資格言として有名な「デッド・キャット・バウンス」というものです。

猫好きの方には受け入れ難いであろう非常に残酷な表現ですが、その意味を直訳すると、「死んだ猫でも高いところから叩き付けられれば跳ね上がる」となり、急落後の株価の一時的な小幅回復を表現する時に使われます。

また、誰もが株価は安値で仕込みたいものですが、こうしたボトムフィッシング狙いには、”死んだ猫”を掴んでしまうリスクもあるということへの警鐘の意味も込められています。

急落後の株価はどうなった? 気になる3銘柄を検証

では、急落後の株価はどうなったのか。『投信1(http://www.toushin-1.jp/)』が平日朝に配信している東京株式市場の概況をまとめた最近の記事のなかから、「急落」というキーワードで目に留まった以下の3銘柄について具体的に見ていきたいと思います。

まずは、富士フイルムホールディングス(4901)です。

2月1日付けの投信1の記事、『富士フイルムHDの暴落はまるで“ナイアガラの滝”! 日経平均は6日続落(http://www.toushin-1.jp/articles/-/5129)』に述べられているように、同社の株価は富士ゼロックスと米ゼロックスとの経営統合に関する観測記事が報道された1月31日に前日比▲380円安(▲8%安)と急落しています。

ただし、その翌日は一転して+12%高と急騰しており、その後も経営統合の先行きが不透明であることなどを背景に売られる場面もあったものの、2月21日の終値は急落した1月31日の株価に比べて+5%高の水準にあります。

富士フイルムHDの過去1カ月間の株価推移

次は、富士通(6702)です。

2月2日付けの投信1の記事、『富士通がまさかの大暴落! 日経平均株価は7日ぶり反発(http://www.toushin-1.jp/articles/-/5154)』にあるように、同社の株価は決算を発表した翌日の2月1日に一時前日比約13%安と、日経平均が前日比で400円近い大幅高となるなかで逆行安となっています。

また、その後、証券アナリストによる投資判断などの引き下げなどもあり、ほとんど反発することがなく株価の下落は続き、2月21日の終値は急落直前の1月31日の株価に比べ▲20%安、急落した2月1日の株価と比べても▲8%安と大きく下落しています。

富士通の過去1カ月間の株価推移

3番目は三菱自動車(7211)です。

1月29日付けの投信1の記事、『三菱自動車が急落、スズキも大幅安! 日経平均株価は3日続落(http://www.toushin-1.jp/articles/-/5088)』によると、26日の同社の株価は▲5%超安の急落となり、その後も下落が続きました。

しかし、2月6日に業績の上方修正を発表したことなどもあって株価は持ち直し、2月21日には急落した1月26日の終値とほぼ変わらない水準になりました(22日終値は前日比3%超の下落)。

三菱自動車の過去1カ月間の株価推移

“死に体”でも株価安定のジャパンディスプレイ

このように、急落後の株価の動きはまちまちで、なかには富士通のように”バウンス”すらしないこともあります。よって、短期間で見た場合、「デッド・キャット・バウンス」は必ずしも全ての急落には当てはまらないようです。

さらに悩ましいのは、どう見ても厳しい決算であるにも関わらず、株価が下落しないケースもあることです。その一例がジャパンディスプレイ(6740)です。

同社が2月14日に発表した決算は、主力のスマホ用小型液晶の不振から、2017年4~12月の9か月累計の最終損失が▲1,006億円と巨額の赤字となりました。

また、通期予想は売上高のみしか開示されていないものの、市場コンセンサスの最終損益の予想は▲2,225億円の赤字、4年連続の最終赤字という、まさに“死に体”のような業績が見込まれています。

ただし、同社の株価は急落しておらず、決算発表があった14日とほぼ同水準を維持しています。

まとめ:“死んだ猫”なのかは時間をかけて判断したい

ちなみに、ジャパンディスプレイの場合、会社側ではリストラによる損益分岐点の引き下げによる効果やフルアクティブと呼ばれる新型液晶の効果で、来年度下期からの業績回復を目指しています。また、少し予定より遅れてはいるものの、海外企業との資金支援を含む協業の交渉は継続しているとしています。

こうした施策による業績改善期待が株式市場にあることが、厳しい業績にもかかわらず株価が急落しない一因であると推測されます。

ただし、少し時間軸を長くして同社の株価を振り返ると、急落は既にかなり前に起きており、その後は停滞が続いていたとも捉えられます。直近の同社の株価は、上場来高値(2014年4月:836円)の約4分の1、過去2年間の高値(2016年12月:398円)の約半分に留まっているためです。

ジャパンディスプレイの過去5年間の株価推移

つまり、短期ではなく、このように長い時間軸で捉えると、ウォール街の投資格言「デッド・キャット・バウンス」には一理あるということになります。別の言い方をすれば、“デッド・キャット”であるかどうの判断には時間が必要であるということです。

このため、特に、足元のように不安定な相場環境においてボトムフィッシングを行う場合は、急落の背景をじっくりと見定め、“死んでしまった猫”を掴まないようにしたいものです。

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