お隣の花見客は訪日外国人? 桜の魅力はグローバル化へ
LIMO / 2018年3月6日 20時20分
お隣の花見客は訪日外国人? 桜の魅力はグローバル化へ
桜の開花が待ち遠しいのは日本人だけじゃない
今年の桜の開花は平年より早まる可能性が高まる
3月に入ってから急に暖かくなりました。季節が春に向かっていますので当然と言えば当然なのですが、そこで気になるのが桜(=ソメイヨシノ)の開花時期です。今年の桜の開花予想はどうでしょうか。
ウェザーマップが公表する「さくら開花予想2018」によれば、今年は平年より早く咲くようであり、とりわけ、関東から西では大幅に早い地域もあるだろうと予測されています。その理由として、今冬は寒い日が続いたために花芽が成長しやすい状態にあること、また3月の高温の程度が非常に大きく、下旬まで続くと見られることがあげられています。
西日本では昨年の開花時期より大幅に早まる?
ウェザーマップによる3月5日時点の主な地域の開花予想日は、以下の通りです。カッコ内は昨年2017年の開花日を表しています。
福岡 3月19日(3月25日)
高知 3月17日(3月29日)
大阪 3月22日(3月30日)
名古屋 3月21日(3月28日)
東京 3月22日(3月21日)
仙台 4月8日(4月7日)
札幌 4月30日(4月28日)
これだけを見ても、西日本での開花が相当に早い予想になっていることがわかります。高知の3月17日は、現在では最も早い開花予想になっています。ちなみに、昨年全国で一番早い開花となったのは、意外にも東京でした(沖縄地域を除く)。
開花から満開までの気候の変化には注意が必要
さて、桜の開花予想が気になるのは、春の訪れが待ち遠しいことに加え、やはり、お花見の予定を立てたいからでしょう。開花日から概ね6~7日後に訪れる満開日は、お花見シーズン最盛期となります。
ただ、開花日以降に気候が大きく変化すると、満開日が前倒しになったり後ろにズレ込んだりする場合もあります。実際、昨年の東京は3月21日に開花した後、満開日(4月2日)まで12日間を要しました。これは、3月下旬の寒の戻りが想定以上に厳しかったためと考えられます。
そんなこともありますから、お花見の幹事役の方は、しばらくの間は開花予想と天気予報から目が離せないかもしれません。
欧米地域を中心に人気が高まる「お花見」
ところで、日本伝統の春の行事である「お花見」は、近年は外国人にも大人気となっているようです。実際、欧米地域や一部アジア地域からの訪日観光客数の推移を見ると、3月と4月の訪日客の増加トレンドが強まっており、とりわけ、4月の増加が顕著になっています。
具体的に見てみましょう。以下に示すのは各地域からの訪日観光客数で、1年間(12カ月)に占める4月の構成比の2012年→2017年での変化、および同じ5年間における4月の年間平均増加率です。なお、カッコ内は年間合計(1~12月)の平均増加率です(注:2017年12月分は一部地域の速報値のみのため、筆者推定値を含む)。
欧州 9.9%→12.6%、+20.0%増(+14.5%増)
北米 9.1%→10.5%、+18.1%増(+14.9%増)
オセアニア 8.6%→11.2%、+25.0%増(+18.5%増)
アジア 9.3%→8.6%、+29.0%増(+31.1%増)
このように、欧米やオセアニア(主に豪州)からの訪日観光客数は、明らかに4月が他の月以上の大幅増加となっていることがわかります。特に、欧州でその傾向が強まっています。
この4月の大幅増加トレンドの理由は様々あるかもしれませんが、最大の牽引役の1つが「花見」だということは容易に推測できましょう。実際、日本の満開となった桜を見に行く観光ツアーが増えているようです。
これら地域の外国人は、日本の桜の開花時期が気になっているかもしれません。
近隣4カ国を除くアジア諸国でもお花見への関心度が高まっている兆候
一方で、訪日観光客で最大構成比(約86%)を誇るアジア地域では、この傾向が見られていません。お花見に対する関心度が低いということでしょうか?
しかし、このアジア地域から近隣4カ国(韓国、中国、台湾、香港)を除いたベースで見ると、
その他アジア 11.4%→12.2%、+30.4%増(+28.8%増)
となっており、欧米やオセアニアと似たような傾向を見ることができます。中には、タイのように4月の訪日客数が5年間で3倍以上に増加し、3月と4月を合わせた2カ月間の構成比が25%超となる国も散見されます。
なお、タイの場合はビザ発行緩和の効果も大きいと思われますが、それを差し引いても、3~4月の増加トレンドに変わりありません。
お花見が訪日外国人観光客のさらなる増加の牽引役へ
逆に言うと、3~4月人気が今一歩の近隣アジア4カ国に対しては、“花見ツアー”の拡大余地がまだ大きいということかもしれません。この“潜在需要”が少しでも顕在化すれば、訪日外国人観光客数は、もう一段上のステージへ上がっていく可能性は十分あるのではないでしょうか。
いずれにせよ、今後はお花見の場所で海外観光客と一緒になるケースは益々増えるでしょう。場所取りのトラブルなどなく、仲良く満開の桜を楽しむことが、お花見をさらにグローバルな行事へと押し上げていくと考えられます。
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