【介護】認知症の父、最近老人ホームと折り合い悪化で家族は困惑。どうしたらいい…?<ケアマネ回答>
LIMO / 2024年3月11日 7時5分
【介護】認知症の父、最近老人ホームと折り合い悪化で家族は困惑。どうしたらいい…?<ケアマネ回答>
寂しさからくるイライラ、恋愛関係のもつれ…。介護施設でのトラブル原因は色々。
「人生100年時代」と言われるいま。厚生労働省が公表する「厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」によると、健康寿命と平均寿命の差は約10年。
介護を担う家族にとっては、決して短い期間ではありませんね。そして在宅介護から施設介護への切り替えは、お金の面でも気持ちの面でも、一大決心が必要です。
そんな中、「やっとの思いで親が老人ホームに入居したのに、最近は施設との折り合いが悪くて困っている……」という悩みをお持ちのご家族もいらっしゃるのではないでしょうか。
「終の棲家」として選んだ施設を移ることは、お金の面でも気持ちの面でも、そう簡単に決断できることではありませんよね。
今回の記事では、老人ホームでトラブルが発生した場合に、家族ができることについて解説していきます。
老人ホームでよく起こるトラブルの原因の中には、恋愛関係のもつれも。
老人ホームでのトラブルは、様々な要因が絡み合って発生します。ここでは主な原因を紹介します。
寂しさや喪失感が背景にあることも
自宅や家族と離れて生活する寂しさは、大きなストレスになることがあります。このストレスがイライラなどの症状となり、他の入居者とのトラブルに発展する可能性があるのです。
また家庭や地域、会社などで重要な役割を担ってきた方が老人ホームに入居することは、社会的な役割を終えることを意味します。この喪失感は大きな心の負担となり、認知症の症状を進行させることも。
寂しさや喪失感は、周囲の人と口論になるなどのトラブル発生の原因となることもあります。
他の入居者とのトラブル
老人ホームは、集団生活の場です。食事やレクリエーション、イベント時には多くの人が顔を合わせ、自然に人間関係が生まれます。人間関係には相性があり、入居者同士で「合う合わない」を感じるのも当然のことです。
また入居者の中には認知症の影響を受けている方がおり、自分の言動をコントロールできず他の人々を傷つけてしまうことがあります。このように認知症の影響により、入居者間でトラブルになることがあるのです。
スタッフが原因のトラブル
スタッフが原因となり、トラブルに発展してしまうこともあります。例えば、以下のようなケースです。
お気に入りのスタッフが他の入居者とばかり仲良くしていると感じる
自分が「のけ者」にされていると感じる
スタッフの対応や態度が気に入らない(対応が遅い、音を立てるなど)
スタッフに悪意がなくても、入居者が誤解や思い込みからスタッフへの不信感を抱いてしまうケースは少なくありません。
その結果、大きな声でスタッフに詰め寄ってしまうなどのトラブルに発展することもあります。
恋愛感情のもつれ
老人ホームで入居者同士の恋愛に発展するケースです。自分には恋愛感情がなくても、相手から一方的にアプローチを受けて困ってしまう場合もあります。中には、プレゼントや手紙を頻繁に送られて、迷惑に感じてしまうことも。
また恋愛関係にあった二人が別れてしまい、その後の人間関係に支障をきたすこともあります。三角関係によるトラブルなど、一般社会でみられるような問題になることもあるのです。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
老人ホームでのトラブルが起こったら「施設はどう対応している?」
前章では、老人ホームで起こりうる様々なトラブルについてご紹介しました。本章では施設側がトラブルにどのように対応しているのか見ていきましょう。
まずは事実を確認する
人間関係にトラブルが発生した場合は、まず施設スタッフが事実確認します。状況を正しく把握するために当事者双方の話を聞き、それぞれの言い分を確認します。
スタッフはどちらにも肩入れせず、中立の立場を保ちながら事実関係を明らかにするのが一般的です。
解決しない場合は居室やフロアを移ってもらうことも
スタッフは事実確認に基づいて、解決に向けた話し合いを促します。
互いの理解を深めるサポートを行いますが、解決に至らない場合は当事者同士の距離をできるだけ保つことも多いです。
食事やレクリエーションの席次調整、ユニットや居室の変更など、状況に応じて対応します。
トラブル時に入居者家族がするべきこと
それではトラブルが発生した際に、家族ができることはあるのでしょうか?ここでは入居者の家族がするべきことについて、一緒にみていきましょう。
管理者やスタッフに相談する
入居者同士の人間関係トラブルが発生した場合は、まずは施設の管理者やスタッフに相談しましょう。相談することで、以下のことが可能になります。
トラブルの詳細を把握
施設の対応を確認
本人の言い分や状態を確認
以上の情報を踏まえ、施設と連携しながら解決策を探ります。問題解決にはスタッフとの協力が不可欠です。日頃からスタッフとの良好な関係を築いておきましょう。
本人とコミュニケーションをとる
状況を正しく把握した上で、本人とコミュニケーションを図ります。本人の気持ちに寄り添い、理解を示すことが重要です。可能であれば、施設を訪問して面談を行います。直接面談が難しい場合は、オンライン面談や電話も有効です。
認知症の方は、寂しさや孤独感を感じやすいと言われています。トラブルによって傷ついている可能性もあるので、温かい言葉をかけてあげましょう。
負担の少ない住み替えを検討する
老人ホームによっては小規模であるなどの理由により、フロア換えなどの対応が難しい場合もあります。
本人の心身状態が悪化しているなどの場合には、住み替えも検討しなければなりません。しかし住み替えには施設探しの手間や費用が発生するため、家族にとっては大きな負担となります。
どうしても現在の施設での生活が困難な場合は、以下の方法を検討しましょう。
運営法人の他施設で空きがないか確認する
時間はかかるかもしれないが、特別養護老人ホームなどの申し込みをする
いずれの場合も施設スタッフやケアマネジャーと相談しながら、最適な対応方法を検討することが大切です。
まとめにかえて
老人ホームは多くの人が生活する場所であり、人間関係のトラブルは避けられません。大切なのは、トラブルが大きくなる前に早期発見・対応することです。
多忙な毎日の中で、頻繁に親御さんやスタッフとコミュニケーションをとるのは難しいかもしれません。
スタッフに「些細なことでも、何か気になることがあれば連絡ください」と伝えておくだけでも、トラブルの芽を摘むことは可能です。
参考データ:厚生労働省「令和4年版高齢社会白書」で見る「健康寿命と平均寿命の差の推移」
参考資料
厚生労働省「令和4年版高齢社会白書(全体版)」(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s2s_02.pdf)
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