シマノは“自転車のインテル”とも呼ばれるが株価が不調。その理由とは
LIMO / 2018年3月19日 9時45分
シマノは“自転車のインテル”とも呼ばれるが株価が不調。その理由とは
シェアライドでシマノの自転車部品は影響を受けるのか
シマノと聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。釣り好きなら高性能リールなどの釣り具を思い浮かべるかもしれませんが、同社は営業利益の9割を自転車部品で稼いでいます。
サイクリングなどを楽しむ自転車ファンであればご存じの方も多いと思いますが、シマノの自転車部品、たとえば変速機やブレーキなどは世界的にも大きな市場シェアを獲得しています。そのため、PC向けCPUメーカーのインテルにちなんで「自転車のインテル」とも呼ばれています。
ところが、同社は2017年7月に中間期の決算を発表して以降、株価が冴えません。今回はその背景について見ていきましょう。
シマノの時価総額は1.4兆円超
シマノは株式市場では優良企業として知られていますが、自転車や釣り具と縁のない方にはあまり馴染みがないかもしれません。その時価総額は1.4超円を超え、2018年3月13日現在、東証1部の時価総額ランキングで100位以内に入っています。
時価総額で1.4兆円といえば、JR西日本、オリンパス、いすゞなどと同水準です。部品メーカーとしては存在感があるといえるでしょう。
2017年12月期の同社の売上高は3358億円。営業利益は644億円と、営業利益率が約20%近くもあります。ここからも、非常に優良な企業と評価できます。
また、同社の売上高を仕向地別で見ると、ヨーロッパが38%、アジアが35%、北米が11%で、日本の売上高は10%強というグローバル企業です。
昨年夏以降、冴えないシマノの株価
そのシマノの株価が冴えません。2017年7月に同社は2017年12月期第2四半期累計決算を発表しましたが、その際の決算短信に記された以下の一文が株式市場で話題となりました。
「中国市場では、急激に成長したシェアバイクの影響を受け、2015年から続いた完成車の店頭販売の不振回復に水を差しました」
最近、日本でも見かけるようになってきたシェアバイクとは、街中においてある共同利用の自転車です。何かを複数の人が共有・使用することを英語で「シェア」といい、そうした仕組みや市場は「シェアリングエコノミー」と呼ばれています。
たしかに、自転車を多くの人が共有・利用するようになれば、これまでのように個々人が自転車を「所有」する機会は減ることになるでしょう。そうなれば同社が提供する自転車部品も需要が減ることになります。株式市場はこうした点を懸念した可能性があります。
実際、先述の決算発表後に株価は大きく下落しています。シェアバイクに関するコメントもさることながら、業績見通しを下方修正したことも影響したと見られます。
株価はその後いったんは持ち直したものの、2017年12月期第2四半期決算発表前の水準には戻っていません。
シェアリングエコノミーで影響を受けるのは自転車だけではない
もっとも、シェアリングエコノミーが広がりつつあるのは自転車だけではありません。現在は自動車をみんなで利用するシェアライドも注目を集めています。今後、自動車を共有するような社会になれば、自動車部品メーカーも影響を受ける可能性があります。
自動車は持っているけれど、利用するのは週末だけという場合も少なくないでしょう。また、保険料だけではなく、駐車場の費用などがかかることを考えると、保有するよりも必要な時だけ借りれればよいと考える人も増えてくるはずです。そういう人が多くなればなるほど、自動車の販売台数に影響が出てくることでしょう。
話をシマノに戻すと、2018年12月期のシマノの会社による連結業績予想は増収増益を想定しています。今後、同社の自転車部品事業がシェアリングエコノミーの影響をどの程度受けるかに注目が集まりそうです。
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