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中学受験は人生の無駄遣いか? 難関校合格者のその後は本当に幸せなのか

LIMO / 2018年3月21日 20時40分

中学受験は人生の無駄遣いか? 難関校合格者のその後は本当に幸せなのか

中学受験は人生の無駄遣いか? 難関校合格者のその後は本当に幸せなのか

首都圏では2月の中学受験シーズンが終わり、お子さんが受験をされたご家庭では一段落という感じではないかと思います。そんな中、あらためて「中学受験とは何だったのか」と考えることはないでしょうか。

そもそも必死になって中学受験をするのは何のためでしょうか。一般的には「名門大学に入学し、一流と言われる企業に就職する」という目的で子供に頑張らせる親が多いと見られます。しかし、中学受験で成功すれば、本当にその後は安泰な人生が待っているのでしょうか。

中学受験の成功はその後の人生に役立っているのか

都内に住むA氏は、中高一貫の私立校に中学受験を経て入学。その後は都内の有名私立大学を卒業し、日系大手金融機関、外資系大手金融機関に勤務した経歴を持ちます。

中学受験組で成功し、成人して誰もが知る金融機関に勤務したという経歴は、中学受験がその後の人生を左右する大きな転機になったと見る人もいるでしょう。では、当のA氏は中学受験についてどのように考えているのでしょうか。

「中学受験は、徹底した暗記と頭の体操を繰り返し訓練したように思います。そうした経験はあとあと様々なシーンで役立ちましたね。中学受験が人生の転換点かというとそうでもない気がしますが、受験勉強で頑張ったということと、自分よりも優秀な人が世の中にはたくさんいるということが分かっただけでもよかったですね。小学校ではオールAで自分は優秀だと思っていたのですが、お山の大将だったということがよくわかりました。模試を受けると自分の成績は大したことがなくて、難しい問題をすらすら解く友人を横目で見てすごいなぁと思ったものです」

中学受験は大学受験で役に立ったのでしょうか。

「中学受験をしてから大学受験をするまでに6年もあります(笑)。その間に思春期もありますし、どうなるかは人それぞれでしょう。中学受験の勢いで勉強し続ける人もいますし、興味が勉強以外に向いて成績が急激に落ちる人もいます。私が進学した私立中学でも何人かは退学していって、地元の中学に入り直した人もいました。自分の実力以上の学校に無理をして進学しても、限界が来る人もいます。中学に入学してすぐ、5月頃に初めての中間試験がありますよね。あそこでいきなり順位がついてしまうので、その順位を見てみんな現実を突きつけられるんですよね。残酷といえば残酷です」

中学受験の本当のメリットとは何か

では、中学受験をすることのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

「極端なことをいえば、自分の精神力を確認することができますね。あの年齢であれくらい頑張れたのだから、今回も頑張れるだろうと、何かあるたびに思います」

A氏は昔を振り返りつつ、こう続けます。

「平日は塾に行き、夜遅くに塾から帰ってきて、母親が準備してくれている夜食を食べ、風呂に入って、次の日の学校の宿題を軽く済ませて寝る。塾に行く前には、弁当屋でのり弁を買い、電車で通塾。電車の中でテキストを広げて勉強していたら、高校生に『難しい勉強しているね』とからかわれたこともありましたね。そして授業が始まる前に買った弁当を急いで食べていました。週末は塾の授業か模試です。その繰り返しです。今考えると恐ろしいですね(笑)」

中学受験をして、後に仕事で役立ったことはあるのでしょうか。

「自分の希望する中学に入ってよかったなと感じるのは友人関係ではないでしょうか。良い学校に良い友人がいるとは限りませんが、自分と同じように苦労して勉強してきたという体験を共有することができますし、自分より優秀な友人ができればそれはそれで勉強になります」

「自分が知らない分野で秀でた友人を目にすることからも学ぶことは多いですね。大学でも友人はできます。ただ、より親密なのは中学からの友人です。社会に出た後、中学時代からの同級生と一緒に仕事をすることもあります。そうした時は本当に楽しいですね。大学の『○○会』というようなネットワークよりもはるかに信頼を置いています」

中学受験は人生の無駄遣いか

A氏の中学受験にかけた時間や努力は並大抵のものではないことが見えてきました。それでは、中学受験にデメリットはないのでしょうか。

「昔は偏差値の高い学校に行って、東大に進学し官僚になったり、医学部に進学して医師になるのが日本での成功者だと思い込んでいました(笑)。ただ、外資系企業に勤めるとハーバードやスタンフォード、オックスフォードを卒業した人がごろごろいて、日本の大学って何なんだとも感じました」

「海外の有名なMBAを取得した人も多いのですが、中には仕事ができない人もいたので、ある程度の大学を卒業しておけば、日本の大学か海外の大学かにかかわらず後は実力かなと思うようになりました。その時には中学なんて関係ありませんし、出身中学や高校を聞かれたこともありません。日本の金融機関では高校を聞かれたことはありましたが。そう考えると、何も中学で頑張らなくても大学受験でつじつまを合わせればいいのではないかと思いますし、そもそも日本の大学でいいのかとも思いますね」

中学受験は人生の無駄遣いでしょうか。

「そうではないと思いますよ。先ほどもお話した通り、頑張ったという経験は残ります。これは受験ではなくてもスポーツやそれ以外の稽古事でも同じではないでしょうか。一ついいたいのは、中学受験なんてその後の人生の長さを考えれば、ほんのスタートに過ぎないということですよ」

子供にも中学受験をさせたいのか

中学受験の長所も短所も知っているA氏は、子供の中学受験をどのように考えているのでしょうか。

「やりたければやればいいですし、地元の公立中学でいいと判断するならそれでもいいと思います。ただ、通っている公立の小学校では中学受験をする比率は高く、クラスのほとんどの子は受験をするそうです。そうした環境では、子供が受験をしてみたいと思うのは仕方がないと思います」

では、子供にはどうしてほしいと思っているのでしょうか。

「行きたい学校があれば受験をすればいいといっています。ただし、勉強以外の習い事は可能な限り続けるようにもいっています。それは勉強だけに時間を使いすぎるのは、その後の人生にとってもったいないからという考えです。私自身、受験勉強が本格的になった小学5年生で水泳や絵などの習い事をやめてしまいました。今考えると、頑張って続けていればよかったと猛烈に後悔しています。子供の時の感性は子供の時にしかないものですから」

理想の中学受験はあるのか

A氏は中学受験をどのように見ているのでしょうか。

「みんなが行きたがる企業に勤めたいというだけであれば、中学受験はどうしても必要な選択肢というわけではないでしょう。先ほども述べたように、大学受験でそこそこの大学に進学すればいいだけです」

そこそこの大学とはどのレベルでしょうか。

「日本の金融機関にいる頃にリクルーターをしていましたが、旧帝大の国立大学、東工大や一橋、早稲田や慶應などで採用グループが形成されており、卒業生がリクルーターを務めることが多かったですね。東工大や一橋などは入試では偏差値が高く、実際に優秀な人も多かったですが、優秀な人が多い割には採用枠が少ないと感じていました。これは様々な意見があることを承知でいいますが、卒業生の数が多い大学のほうが、学生の質にかかわらず結果として採用枠が多いのではないかと思いました。もっとも、卒業生が多い大学は競争相手の数も多いですが、間口は広いというのが実感です」

では、中学受験をする意味はないのでしょうか。

「これは私が外資系企業に勤めたことが関係していますが、海外の大学への進学の可能性を広げてくれる学校であれば意味があると考えています。それならインターナショナルスクールに行けば、といわれるのですが、端的にいって学費が高いです。日本の教育費は私立といえども世界的に見れば安いでしょう。その選択肢は捨てなくていいと思います」

A氏は、”個人的な意見であるが”として、こう続けます。

「私の両親の時代であれば、有名大学を卒業して一流企業に就職すれば安定した人生が待っていて、それで定年を迎える、というのが目指すところだったのかもしれませんが、いまはそんなシナリオは理想に過ぎません。人生100年時代といわれますし、定年を60歳や65歳で迎えた後の人生は結構長い可能性があります。そうした時には、勤め人であることのリスクもあるでしょう。そう考えると自分で起業して自分自身の体験を積み上げ、納得した人生を過ごすほうがよいのではと思うようになりました」

最後に

中学受験は、多くの親が考えざるを得ない子供にとっての大きな人生のイベントともいえます。今年の中学受験で合格した子供もいれば、希望通りの中学に合格しなかったという場合もあるでしょう。ただ、そこですべてが決まってしまうというわけではありません。皆さんは中学受験をどのように考えていますか。

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