日本人は果物を食べなくなった!? 「もぐもぐタイム」でイチゴは注目されたが
LIMO / 2018年3月21日 21時20分
日本人は果物を食べなくなった!? 「もぐもぐタイム」でイチゴは注目されたが
減少が続く国内のイチゴ消費量
平昌五輪で女子カーリングは初の銅メダルを獲得
早いもので、日本人選手が大活躍した平昌オリンピックの閉会から3週間強が過ぎました。私たちを興奮させた様々なシーンは、まるで昨日のことのような印象があります。皆さんはどの競技、どのシーンが印象に残ったでしょうか。
銅メダルを獲得した女子カーリングも、多くの人に鮮烈な印象を残したのではないでしょうか。カーリングとしては史上初のメダル獲得となった上、日本にとって今大会で最後を飾る13個目のメダルになったのも記憶に新しいところです。
女子カーリングの「もぐもぐタイム」は大きな話題に
また、女子カーリングは競技結果以外でも大きな話題を提供してくれました。
その1つが、ハーフタイム(通称「もぐもぐタイム」)中に栄養補給として摂取していた“おやつ”です。選手たちが食べていた北海道のチーズケーキ菓子『赤いサイロ』は、テレビ中継の翌日に売り切れとなる大人気となりました。
美味しそうに頬張っていたイチゴに注目集まる
その「もぐもぐタイム」でもう一つ大きな注目を集めたのが、選手たちがおいしそうに頬張っていた苺(イチゴ)でした。イチゴは韓国で購入したようですが、あの大きな真っ赤なイチゴは、カーリングの試合内容と同じくらい話題になったようです。
あのイチゴを見て“あー、美味しいイチゴが食べたい”と思った人も少なくないのではないでしょうか。
なお、「もぐもぐタイム」で食べたイチゴが話題となった後、斎藤農水相が「以前に日本から流出した品種をもとに、韓国で交配されたものが主だ」と指摘し、日本の品種保護を強化していく方針を示すなど、ちょっとキナ臭い話が出たことも注目を集めました。
また、その後に国内で開催された競技大会では、JA全農から国産イチゴが提供されており、今はちょっとした“イチゴブーム”と見られます。
3月と4月はイチゴの年間販売の約50%を占める最盛期
スーパーマーケットの生鮮果物売り場に行くと、様々なイチゴが並んでいます。日本国内におけるイチゴの販売は、毎年11月に始まって翌年6月まで続くようですが、3~4月はまさしく旬と言えます。
実際、平成28年の統計数値によれば、イチゴの年間販売に占める3~4月分の割合は51%(数量ベース)、46%(金額ベース)に上りました。金額ベースがやや少ないのは、クリスマスケーキ向け需要が多い12月に高値を付けるケースが多いと推測されるためです。
減少傾向に歯止めがかからない国内のイチゴ消費量
ところで、国内のイチゴの消費量(消費量=購入量としています、以下同)はどのように推移しているかご存じですか?
結論から言うと、減少傾向が続いており、特にここ数年間は過去にない低水準となっています。まずはその推移を見てみましょう。左から、年、世帯当たり年間購入量、購入金額、100gあたり単価です。
1986年:4,806(g)、4,442(円)、92.4(円/100g)
1990年:4,511(g)、4,770(円)、105.7(円/100g)
1995年:3,817(g)、4,509(円)、118.1(円/100g)
2000年:4,060(g)、4,969(円)、122.4(円/100g)
2005年:3,594(g)、4,153(円)、115.6(円/100g)
2010年:2,952(g)、3,242(円)、109.8(円/100g)
2011年:3,116(g)、3,376(円)、108.3(円/100g)
2012年:2,515(g)、3,110(円)、123.7(円/100g)
2013年:2,794(g)、3,287(円)、117.7(円/100g)
2014年:2,567(g)、3,254(円)、126.8(円/100g)
2015年:2,542(g)、3,353(円)、131.9(円/100g)
2016年:2,269(g)、3,215(円)、141.7(円/100g)
注1)総務省「家計調査」1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格(2人以上の世帯)
注2)2000年以前は集計対象がやや異なるため完全な連続性はない
このように、購入数量、購入金額ともに減少傾向にあることが見て取れます。特に、購入数量の落ち込みは大きく、2016年は過去最低水準を更新し、確認できる範囲でピークだった1986年の半分にも満たない状況です。
一方で、単価は上昇基調が続いており、高級品への関心が強いことが伺えます。いずれにせよ、少なくとも統計データを見る限り、日本人は年々イチゴを食べなくなったと言えるのです。
摂取高が減っているのはイチゴだけではない
ところが、摂取高(=購入)が減ったのはイチゴだけではありません。家計調査が統計対象とする果物全てが減っているのが実情です。
実際に「生鮮果物」という分類で見ると、数量・金額とも減少が続いており、2016年の購入数量(76,236グラム)は1983年(151,871グラム)の約半分でした。日本人は生鮮果物を食べなくなったことがよくわかります。
ジュースや加工品へのシフトによる影響は限定的
なぜ日本人はイチゴを含めた生鮮果物を摂取しなくなったのでしょうか。
ジュースや加工品(果実入りゼリーなど)にシフトしたのでは?という見解があるかもしれません。しかし、家計調査にある「果物加工品」はほぼ横ばい、もしくは微増程度に止まっていますし、「果実・野菜ジュース」に限っては、生鮮果物以上の減少トレンドにあります。
ジュースや加工品へのシフトによる影響は限定的と言えましょう。
「獲れないから食べない」ではなく、その逆?
果物の収穫量そのものが減っているのでは?という見解もあるでしょう。確かに、種類によって異なりますが、収穫量は漸減傾向にあります。
ただ、これは「収穫が少ないから食べなくなった」ではなく、「食べなくなったから収穫が減っている」というほうが適切なトレンドになっています。
こうして考えてみると、結局は“食生活の変化”という理由に辿り着かざるを得ません。皆さんはいかがでしょうか。“そう言えば、以前より果物を食べなくなったなぁ”と感じる人が多いと思われます。果物を摂取しなくなった何か大きな理由がありますか?
“もぐもぐタイム”でイチゴが注目された今だからこそ、果物を食べなくなった理由を今一度考えてみるのもいいでしょう。
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