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【親の介護施設】有料老人ホームの「入居一時金0円プラン」向いている人・いない人<現役ケアマネ解説>

LIMO / 2024年3月19日 7時30分

【親の介護施設】有料老人ホームの「入居一時金0円プラン」向いている人・いない人<現役ケアマネ解説>

【親の介護施設】有料老人ホームの「入居一時金0円プラン」向いている人・いない人<現役ケアマネ解説>

結局のところどっちがお得?ケースごとに整理【シニアの年金・貯蓄データも紹介】

来たる2025年は「団塊の世代」がすべて後期高齢者となる年。シニア世代の親を持つ多くが、介護費用に関する不安や疑問を抱えていることでしょう。

なかでも、有料老人ホームを探す際の「入居一時金」は大きな金額。「0円プラン」を設けている有料老人ホームもあり、プラン選択で迷っている人もいるのでは?

ちなみに70歳代が受け取る公的年金額の平均は、厚生年金を受け取る場合14万円台、国民年金のみを受け取る場合は5万円台(※1)また、金融資産保有額の平均は二人以上世帯で1757万円、単身世帯で1529万円(※2)です。

介護施設を選ぶ基準はご家庭によって異なりますが、途中で資金が枯渇してしまうことは避けたいもの。親の年金・資産の状況に応じた適切な介護資金計画を立てる上で「入居一時金の有無」は大きな要素となるでしょう。

この記事では「入居金0円プラン」に向いている人・いない人について、現役ケアマネジャーが解説していきます。最後にシニア世代の年金と貯蓄事情に関するデータも掲載しています。

(※1)厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
(※2)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)[二人以上世帯][単身世帯]」

【老人ホーム】入居一時金とは、そもそもどんなもの?

入居一時金とは、有料老人ホームに入居する際に支払う初期費用のことを指します。

家賃の前払い金のような意味合いを持つ入居一時金は、施設によって金額が大きく異なり、0円から数百万円まで様々です。

一般的には、入居一時金が高額なほど月額利用料は低くなります。これは入居一時金が家賃として償却されていくからです。償却期間は、施設によって異なります。施設に合わないなどの理由で早期退去した場合、未償却分の入居一時金は返還されます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【有料老人ホーム】入居一時金0円プランに向いている人

ここでは「入居一時金0円プラン」に向いている人の特徴を紹介していきます。それでは、一緒にみていきましょう。

【向いている人・ケース1】初期費用を抑えたい人

入居一時金0円プランは、初期費用を抑えたい人におすすめです。入居時に、まとまった金額を用意するのが難しい場合には、入居一時金0円プランのある施設を検討するとよいでしょう。

入居時には家具や寝具、引っ越し費用等も必要であり何かと物入りです。施設によっては、持ち込める家具に制限を設けていることもあります。入居金0円プランは「初期費用を抑えたい!」と考えている人に最適です。

【向いている人・ケース2】他の介護施設への「つなぎ」と考えている人

空きが出たら他の介護施設へ移りたいと考えている人にも、入居一時金0円プランは向いています。「本当は費用の安い特別養護老人ホーム(特養)に入りたいけど、とりあえず待機者の少ない有料老人ホームへ」と考える人は少なくありません。

有料老人ホームを利用しながら特養に申し込み、空きを待つことは可能です。仮に高額の入居一時金を支払った後、2〜3年で特養に転居したとしましょう。

支払った入居一時金は返金されますが、償却分は差し引かれてしまいます。

しかし入居一時金0円プランなら、償却分を心配する必要はありません。つまり他の介護施設へ短期間のうちに住み替える予定なら、入居一時金0円プランが向いているのです。

【向いている人・ケース3】近いうちに同居を予定している人

たとえば「あと3年で定年になるので、地元に帰って親と同居する」など、最初から短期間で利用することが決まっている場合には、入居一時金0円プランが向いています。

また「骨折して今は動作が不安定だが、短期間で回復する見込み」など、期間限定で施設利用するケースにも入居一時金0円プランは最適な選択肢のひとつです。

【向いている人・ケース4】早期退所の不安がある人

「認知症の症状が強く、施設でずっとみてもらえるか不安」など、早期退所の可能性がある場合にも入居一時金0円プランは有効です。

スタッフや他の利用者への暴言や暴力があると、退去しなければならないことも。また体調の変化によって、高度な医療行為が必要になった場合も退去を求められるケースがあります。

認知症や医療行為の対応力は、老人ホームによって様々です。入居前に、どの程度対応してもらえるかは、確認しておきましょう。

【有料老人ホーム】入居一時金0円プランに向いていない人

ここでは、入居一時金0円プランに向いていない人の特徴を紹介します。それでは、一緒にみていきましょう。

【向いていない人・ケース1】長期間の利用を検討している人

入居一時金は、前払い家賃の意味合いを持ちます。よって初期費用はかさみますが上乗せ料金なしで利用できるため、長く住み続ける場合にはトータル費用が安くなるのです。

【向いていない人・ケース2】月々の支払いを抑えたい人

月々の支払いを抑えたい人も、入居一時金0円プランは向いていない可能性があります。

入居一時金を支払うことで、月額費用を低く抑えることが可能だからです。入居一時金は、入居時の負担は大きくなります。

しかし月々の支払いを抑えたい人には、一時金を支払う方がメリットが大きくなる場合があるのです。

【向いていない人・ケース3】ある程度の資金力がある人

ある程度の資金力がある人も、入居一時金0円プランが最適とは限りません。入居一時金を支払うことで、月々の負担を軽減できるなどのメリットがあるためです。

一定の資産がある場合には、入居一時金を支払う方が長期的な視点でメリットを得られる場合があります。

【有料老人ホーム】結局のところ「入居一時金0円」はお得なの?

有料老人ホーム「入居一時金0円プラン」結局どうなの?

有料老人ホーム「入居一時金0円プラン」についての表

出所:LIMO編集部作成

今回は、有料老人ホームの「入居金0円プラン」について解説してきました。結論としては、以下のようになります。

早期退所の可能性が高い場合は、入居金0円プランがお得になる可能性がある

長期間利用する予定なら、入居一時金を支払うプランがお得になる可能性がある

人の寿命や将来的に医療行為が必要になるかどうかを予想することはできません。大切なのは、親御さんの体調や資産状況をよく考えて、明らかに誤った判断をしないことです。

以下のような事態は避けましょう。

短期間で退所するのに、高額の入居一時金を支払ってしまった

資金に余裕があり長期間利用する予定なのに、入居金0円プランを選択してしまった

早期退所における一時金の返還率は施設によって異なります。「何年目から得になるか」の分岐点を入居前に確認しておくと、より安心です。

この記事を参考に、親御さんに最適なプランを選択していただければ幸いです。

【ご参考】データ集「70歳代の平均年金月額・金融資産保有額」

【70歳代】厚生年金保険(第1号):平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(http://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)」をもとにLIMO編集部作成

70歳:14万1350円

71歳:14万212円

72歳:14万2013円

73歳:14万5203円

74歳:14万4865円

75歳:14万4523円

76歳:14万4407円

77歳:14万6518円

78歳:14万7166円

79歳:14万8877円

【70歳代】国民年金:平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(http://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)」をもとにLIMO編集部作成

70歳:5万7320円

71歳:5万7294円

72歳:5万7092円

73歳:5万6945円

74歳:5万6852円

75歳:5万6659円

76歳:5万6453円

77歳:5万6017円

78歳:5万5981円

79歳:5万5652円

【70歳代】金融資産保有額の平均・中央値(金融資産非保有世帯を含む)

二人以上世帯:平均1757万円 中央値700万円

単身世帯:平均 1529万円 中央値500万円

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年)[二人以上世帯(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2023/)][単身世帯(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2023/)]」

参考資料

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2023/)

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2023/)

厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/001180700.pdf)

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