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仮想通貨凋落の中、投資家が目の色を変えるブロックチェーンETFの中身とリスク

LIMO / 2018年4月3日 21時20分

仮想通貨凋落の中、投資家が目の色を変えるブロックチェーンETFの中身とリスク

仮想通貨凋落の中、投資家が目の色を変えるブロックチェーンETFの中身とリスク

2017年が仮想通貨元年といわれたのも今は昔、人気が凋落している仮想通貨に代わって投資家の関心を集めているのがその基幹技術となるブロックチェーンです。

ビットコインETFの認可が遅れる中、ブロックチェーンETFが相次いで上場され、まとまった資金を集めています。今回は1月にスタートした4つのブロックチェーンETFを紹介するとともに、投資に際しての注意点をまとめてみました。

仮想通貨そのものよりもブロックチェーンに高まる期待

人気の凋落に歯止めがかからない仮想通貨に代わって、視線を集めているのがブロックチェーンです。

ブロックチェーンとはビットコインをはじめとする仮想通貨の基幹技術として知られる分散型のネットワークのことで、仮想通貨以外にも広く応用が可能とされています。

もともと米金融業界では、仮想通貨そのものよりもブロックチェーンに対する期待が高く、「金融の世界を根底から覆すかも知れない」と恐れられてもいました。

ブロックチェーンが既存のインフラに取って代わり、証券や支払いの処理が迅速化、低コスト化すると考えられたからです。

こうしたブロックチェーン人気にあやかって、今年に入り米国では4つのブロックチェーン上場型投資信託(ETF)が相次いで上場され、あっという間に資金をかき集めています。

ちなみに、社名に「ブロックチェーン」という言葉を加えただけで株価が急騰している事例(※)があることから、米証券取引委員会(SEC)は根拠のない熱狂を引き起こす恐れがあるとして、ブロックチェーンとういう名称をETFに利用することに難色を示しているようです。

したがって、直接的にブロックチェーンの名を冠するブロックチェーンETFは存在していません。

※たとえば昨年12月、飲料会社のロングアイランド・アイスティーが「ロング・ブロックチェーン」に社名を変更すると、株価が一時4倍に跳ね上がり、金融市場が騒然となりました。

4つのブロックチェーンETF、それぞれの特徴は?

ビットコインETFの認可がSECに待ったをかけられている状況の中、1月下旬にブロックチェーン関連のETF4本が相次いで上場しています。

まず、1月17日にリアリティ・シェアーズ・ナスダック・ネクスジェン・エコノミーETF(BLCN)の取引がスタートしました。

BLCNはブロックチェーンと連動して成長が期待できる企業を厳選しています。すなわち、ブロックチェーンを実際に利用してそこから利益を得ている企業、もしくはブロックチェーンを応用・発展させた技術から利益を得ている企業を集めたポートフォリオということです。経費率は0.68%です。

最大の保有銘柄はインテルで、他にはIBM、シスコシステムズ、マイクロソフトなど大手ハイテク銘柄の名前が上位に並んでいます。また、SBIや日立といった日本企業も上位に顔を出しています。

同じく1月17日に取引が開始されたのがアンプリファイ・トランスフォーメーショナル・データ・シェアリングETF(BLOK)です。BLOKは唯一のアクティブ型ファンドで、経費率は0.70%と他よりも若干高めです。

BLOKはハイテク株を多く保有していますが、BLCNと比べると仮想通貨のマイニングや取引から利益を上げる企業への投資比率が高くなっています。たとえば、日本のGMOやデジタルガレージ、自社の半導体が仮想通貨のマイニングに利用されている台湾積体電路製造が上位3社となっています。

このBLOK とBLCNには、上場後1週間ほどで合わせて2億5000万ドル以上(260億円超)が殺到しています。

続いて1月24日にはファースト・トラスト・インデックス・イノベーティブ・トランザクション・アンド・プロセスETF(LEGR)が上場されました。経費率は0.65%です。

LEGRは意識的にパッシブ運用を心がけているETFで、インデックス・プロバイダーのIndxxが算出しているIndxx Blockchain Indexと連動しています。

業界がまだ新しいことから、株価のバリュエーションへの信頼性が乏しく、アクティブな運用には適さないと判断。また、真に付加価値をもたらすことができる、信頼できるファンドマネージャーを見つけることが難しいこともパッシブ運用に傾いた理由としています。

投資先はサービスのプロバイダーと利用者側とで50%ずつに分けられています。前者を代表するのはIBMやマイクロソフト、NVIDIAなどです。残りの半分をブロックチェーンを利用して業務プロセスを効率化している企業に当てており、主に金融業に投資しているようです。

したがって、セクター別で見ると、テクノロジーが大半を占め、そこに金融が加わる感じとなります。具体的にはテクノロジーが68%、金融が24%でこの2業種でポートフォリオの92%を占めています。

4つ目が1月30日に上場したイノベーション・シェアーズ・ネクストジェネ・プロトコルETF(KOIN)です。経費率は0.65%です。

KOINの特徴は人工知能(AI)を利用して銘柄を選択していることです。ブロックチェーンに関連したキーワードと企業との結びつきの強さを、報道されているテキストを読み込んで銘柄選択に利用しています。

メディアによる集合知への信頼の上に成り立つポートフォリオと言い換えることができそうです。

テクノロジーの比率が高いことは他のETFと同じですが、ビザ(V)やマスターカード(MA)、アマゾン(AMZN)なども保有銘柄の上位に顔を出しています。

ブロックチェーンETFへの投資、注意点は?

これら4つのETFはブロックチェーン企業への投資環境を整えるという観点で一致していますが、構成銘柄の中には業績のごく一部にしかブロックチェーンが反映されていない企業も少なくありません。

その結果、テクノロジー・セレクト・セクター SPDR ファンド(XLK)との類似性が指摘されています。XLKとBLCNの日次ベースのリターンの相関係数は0.95と非常に高い正の相関を示しており、他の3つのETFとXLKとの相関もそれぞれ0.92~0.94となっています。

XLKの経費率は0.14%、BLCNの経費率が0.68%であることを考慮すると、果たしてBLCNに投資妙味があるのかどうかはよく吟味する必要がありそうです。

また、4つのETFが似通った銘柄を持ち合っている点も気がかりです。たとえば、4つのETFのすべてでインテルが保有銘柄のトップ10に入っており、IBMやマイクロソフトも3つのETFでトップテン入りしています。

この点を簡単に数字で確認すると、4つのETFから2つを選ぶ組み合わせは6つありますが、すべての組み合わせで値動きの相関係数は0.90以上となっています。すなわち、4つのETFはそれぞれが独自色を出そうと知恵を絞ってはいるのですが、結果的にはどれを買っても大差がなく、分散効果も小さいのは否めないところです。

最後に、少々うがった見方となりますが、ビットコインETFにSECから待ったがかかる中、仮想通貨フィーバーで知名度が上がったブロックチェーンでてっとり早く2匹目のどじょうを狙おうとの思惑も見え隠れしています。

というのも、最近ではブロックチェーンを利用したプロジェクトのとん挫が目立っているからです。

米金融業界では、数年前からブロックチェーンを利用した試験的なプロジェクトがいくつも立ち上がっています。継続しているプロジェクトもありますが、コストや業界の準備不足などさまざまな理由でプロジェクトからの撤退が相次いでいるのも事実です。

ブロックチェーンが夢のようなテクノロジーとして現実離れした評価を受けている恐れもあり、夢が実現するまでにはもう少し時間が必要なのかもしれません。

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