遺品整理士から伝えたい、悪徳業者の見分け方〜ニーズが高まる遺品整理業務
LIMO / 2018年4月8日 20時15分
遺品整理士から伝えたい、悪徳業者の見分け方〜ニーズが高まる遺品整理業務
「もの」と「心」を扱う遺品整理業の世界
大切な人が亡くなったとき、故人が遺したさまざまな品をどう扱っていいのか、戸惑ったことがある人も多いでしょう。遺品には故人の「心」が宿っているように感じられ、簡単には捨てられない気持ちになります。
また、預金通帳や保険証書など相続手続きに必要な書類や、手帳や住所録など個人情報が書き残されたものも含まれているため、遺品の分類やどう処分するかの判断には時間と労力がかかるものです。
筆者が遺品整理士資格を取得したきっかけ
身近な人との死別。その日は突然やってくることも多く、死別を経験した遺族は、日常とは違う心身の状態におかれます。そのような状態にある人のそばに寄り添い、支援することを「グリーフケア(悲嘆ケア)」と呼びます。
筆者は、2008年の夏まで祖母の介護をしていましたが、介護がすむと燃え尽き症候群になりました。自分では異常に気づくことができませんでしたが、持病のメニエール病が急激に悪化したことに、耳鼻科の先生が気づいて診察の頻度を上げ、話す機会を増やしてくださいました。
先生とは、特に深い話し合いをしたわけではありませんが、ただ日々の報告をするうちに、半年ほどかけて気力や体力が回復していきました。
後に、グリーフケアについて知ったとき、耳鼻科の先生は、耳の病気だけでなく心の状態にまで配慮をしてくださったのだと、初めて気づいたのです。
さらに、筆者は3級FP技能士資格を持つライターとして、相続や事業承継に関する記事を手掛けてきました。遺産や遺品、事業などを遺す側は、遺言書やエンディングノートで、自分の希望を伝え、節税などの準備ができます。しかし、遺される側の立場になるのは「ある日、突然」であることを、執筆活動のなかで実感しました。
親に「遺言書を書いておいてね」「身辺の整理をしておいてね」と頼むことは難しく、親がすでに認知症になっている場合など、対応ができないケースもあります。
死別を経験したご遺族には、相続、税務、お金の問題、心理面などさまざまな側面について、サポートが必要です。遺品整理を行うことは、遺族の生活の場を整え、心の整理をつけるための支援となります。
相続や事業承継に関わる職業の人、さらには精神・心理面での支援を行う職業の人が、遺品整理について知識を深めることに、きっと意味があると考え、遺品整理士認定協会の通信講座を受講することにしました。
遺品整理士へのニーズが高まる理由
「遺品整理士」というと、映画で知られるようになった「おくりびと」とどう違うの? とよく聞かれます。いわゆる「おくりびと」は「納棺師」といい、一言で言うと故人のご遺体を整える仕事です。
一方、遺品整理士認定協会が認定を行う「遺品整理士」とは、遺品にまつわる様々な業務を引き受けることができ、さらに法令を遵守する形で業務を行うことができる専門家と認められた人が認定を受ける制度です。
この制度が設けられた背景には、遺品整理業務へのニーズの高まりと、それに伴う悪質な業者の出現があります。
遺品整理業者が必要とされている理由は、次のようなものです。
高齢の親や祖父母と離れて暮らす世帯が増えていること:高齢者が亡くなった後、離れて暮らしてきた子や孫が「どう遺品を整理していいか分からない」とプロに依頼することが増えています
働き盛りのご遺族にとって遺品整理作業が負担になること:仕事を持つ子や孫にとって、遺品整理作業そのものが負担であるため、お金を払ってでもプロに依頼したいと考える場合も増えています
生前整理への関心も高まってきていること:独り暮らしの高齢者が「子や孫に迷惑をかけないように」と、いわば終活の一環として身辺整理をプロの業者に依頼する動きがあります
遺品整理士が取り扱う「もの」と「心」
遺品とは、亡くなった方が生前に使用していた生活用品や家電製品、衣類、家具など全般のことを指します。
遺品には、住所録や日記、手帳、パソコン、スマートフォンなど個人情報が掲載されたものや、中古品市場では値がつかないようなものであっても、故人やご遺族にとっては非常に意味深いものがあったり、逆に思いがけず貴金属や宝石などが出てくる場合もあります。
そのため、ご遺族は「遺品をどう整理し、処分したいか」について、様々な要望を持つことになります。
故人の思いがこもった品物は、単なるごみとして処理せず供養をしてほしい
パソコンやスマートフォンの個人情報が漏洩しないような形で処分してほしい
もしも高価なものが見つかったら、捨てるのではなくリサイクル店などに買い取ってもらいたい
大量に出る不用物を、ごみとして処分してほしい
家電リサイクル法の対象となる製品を、適切に処分してほしい
ご要望の中には、誰でも引き受けられる業務と、資格や免許がなければ引き受けてはならない業務、深い知識や技術がなければ対応が難しい業務があります。
たとえば、遺品に含まれていた宝石や貴金属などの買取をはじめとする、古物商許可が必要な業務もあります。不用なものをごみとして処分して欲しいというご要望に応えるには、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けるか、許可を受けている業者との連携をすることが必要です。
さらに、悪臭が立ち込めている現場や、虫がわいている現場などもありますので、特殊清掃の知識や技術が必要となる場合もあります。このように、遺品整理士資格を取得しただけでは、ビジネスを成立させるのが難しいことが、ご理解いただけるでしょう。
信頼できる遺品整理業者の見分け方
遺品整理をプロに依頼したいと考える場合は、次のような点を確認し、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。
1.遺品整理に必要となる他の業者に依頼する作業内容と依頼先を具体的に説明してくれるか
廃棄することを決めた不用物の収集運搬を依頼する業者や、デジタル遺品の処理を依頼する業者、特殊清掃業者などに作業を依頼するかどうか、なぜ自社で作業をせず他の業者に依頼する必要があるのか、などをわかりやすく説明してくれるかどうか確認しましょう。
2.契約を急がせないか
遺品整理を依頼するご遺族は、死別の哀しみを抱え、普段とは違う心身の状態におかれています。そのような状態のご遺族に、むやみに契約を急がせる業者よりも、余裕を与えてくれる業者のほうが安心です。
3.遺品は単なる「ごみ」ではないと認識しているかどうか
ご遺族が、自らの手で遺品を整理できない理由の1つに、心理面での問題があります。もしも遺品を「ごみであり、捨ててもいいもの」とご遺族が思っているなら、ごみ袋に遺品を片っ端から放り込んで、家庭ごみとして出しても構わないはずです。
そのような扱いをせず、遺品整理業者の手を借りようとするご遺族の心に寄り添うことができる業者かどうかが、大きなポイントです。
まとめ
遺品整理は「もの」と「心」の両面にかかわる業務です。遺品整理業務を適正に行うだけでなく、ご遺族がグリーフケアをはじめどのようなサポートを必要としているかを理解し、さまざまな業種と連携してサービスを提供できる遺品整理業者が増えることや、他業種から遺品整理についての知識と理解のある人が生まれることも、今後ますます重要になるでしょう。
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